「カワサキらしい」独創の250cc 4気筒スポーツ復活に拍手
Kawasaki Ninja ZX-25R
総排気量：249cc
エンジン：水冷4ストDOHC4バルブ並列4気筒
メーカー希望小売価格（税込）：82万5,000円／SE、SE KRT EDITIONは、91万3,000円
発売予定日：2020年9月10日
250ccクラスに4気筒エンジン搭載モデルが登場したのは1980年代。各メーカーが続々と新型車を投入したが、中でも「なんだこれ？ 2万回転まで軽く回る！」と驚いたのが、カワサキのZXR250だった。しかし、排ガス／騒音規制の強化、レプリカブームの終焉によってZXRは1995年に生産を終了した。
それから25年。「今後二度と登場しない」と言われていただけに、4気筒モデルの復活は感慨深い。時代に迎合せず、予定調和を覆すカワサキの姿勢は素晴らしいと思う。
45馬力という数値は想像どおり。現代の技術なら50馬力超えも可能だろうが、公道での扱いやすさを考慮すればこのあたりに落ち着くはず。ZXRのように完全な高回転／高出力特性ではなく、中回転域（と言っても1万回転近辺だが）でもレスポンスが良く、街中でもシャキッと走る特性だろう。
ラムエア加給時の最高出力は46馬力なので最高速は実測180km/hあたり。つまり、ZXRと同等の動力性能を持ち、しかも乗りやすさを確保しているということ。250cc4気筒特有の高周波サウンドと伸びを公道で楽しめるというだけでワクワクする。
車重は184kg（SE）と、2気筒のニンジャ250よりも18kg重い。これはエンジンの重量増に加え、足回りとメインフレームの剛性を高めた影響と思われる。前傾ポジション、大径ディスク＋モノブロックキャリパーと併せ、ハードブレーキングでのコントロール性、寝かし込んだときの初期旋回力は間違いなくZX-25Rの方が高い。
250cc初のクイックシフター（SE）とKTRC（トラクションコントロール）の採用で、リズミカルにシフトダウンし、深いバンク角から躊躇なくスロットルを開けられるはず。上級モデルのZX-6R、ZX-10Rに通じるエキサイティングな走りを軽二輪で楽しめるのは何とも贅沢な話だ。
この内容でスタンダード仕様が82万5000円、クイックシフターなどの装備も加えたSEが91万3000円というのは安いと感じる。一日も早く突き抜ける快音を響かせてみたい。
文：太田安治／写真：鶴身 健
