日本の鉄道はJR線だけでおよそ2 万km に及ぶ。国内の列車が素晴らしい景色の中を日々駆け抜ける様は「珠玉の絶景」の宝庫といえる。ここでは「見たことがない撮影地」や「写真で見たことはあるが、行き方がわからない撮影地」を中心に厳選した。今回は北海道編。この記事の詳細については弊社刊ムック「鉄道写真の奥義」をご参照ください。
■文・写真/杉山 慧
(※姉妹サイト Webカメラマンより)

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根室本線(石勝線)トマム~新得

日高山脈を越える狩勝越えは、長いアプローチで十勝平野と峠を結んでいる。麓の新得駅を出た列車に乗れば、右に左に進路を振りながら勾配を駆け上がり、気がつくと先ほどまで走っていた街並みが遙か眼下に見えている。

画像: ■180mm 絞りF8 1/1000秒 ISO400 ※2019年8月4日10時47分撮影

■180mm 絞りF8 1/1000秒 ISO400 ※2019年8月4日10時47分撮影

作例は狩勝越えを行く特急「スーパーおおぞら」。途中にある信号場での行き違いの有無で所要時間は異なるが、新得駅を出た列車は10分強でここまで到達する。列車により両数が異なるので、編成は時刻表などで確認したい。背後のカラマツは10月下旬に紅葉する。 

画像: 根室本線(石勝線)トマム~新得

新得駅付近から道道136号を西へ進み、畜産試験場の前を右折する。その後は2つ目の十字路を左折。ここから未舗装の道となる。しばらく道なりに進むが、2度目に線路をくぐる手前で動物避けのゲートがあるので、開けて入る。線路をくぐると勾配が急になり、右カーブを曲がりきった先で右に向かう道があるのでそこを入る。その先の道路の終点部分が撮影地で、南側の斜面が開け線路を見下ろせる。なおこの場所は増田山と呼ばれている。

室蘭本線 有珠~長和

砂浜に躍り出る室蘭本線を狙う撮影地である。作例はキハ40系の普通列車。豊浦や洞爺以東は普通列車の本数も増え、狙いやすい。日高色のキハ40系もこうして頻繁に運行されている。 

画像: ■360m 絞りF11 1/800秒 ISO320 ※2019年8月2日16時18分撮影

■360m 絞りF11 1/800秒 ISO320 ※2019年8月2日16時18分撮影

撮影地はエントモ岬へ向かう道の途中。国道37号を走り、左カーブの途中にある交差点を右折。この道に入って300m程でT字路が2つ連続する交差点がある。車を付近に止めたら、この奥のT字路を右折する。

画像: 室蘭本線 有珠~長和

しばらくは整備された道が続くが、左手の畑が切れたところから、植物を掻き分けて進む。足元の砂利は見えているので、道を間違えることはないだろう。右手に線路が見える、開けた辺り一帯が撮影地だ。作例では手前の樹木を交わすため、道から少し逸れて撮影している。

室蘭本線 大岸~豊浦

室蘭本線は、崖が海に沈み込む厳しい地形を多くのトンネルでクリアしていく。そうした室蘭本線らしい景色を気軽に撮れるのが豊浦海浜公園だ。

画像: ■340mm 絞りF8 1/1000秒 ISO1000 ※2019年8月2日18時28分撮影

■340mm 絞りF8 1/1000秒 ISO1000 ※2019年8月2日18時28分撮影

作例はキハ261系の特急「スーパー北斗」。崖の色や列車の色は明るいので、逆光に浮かび上がった。順光で撮影したいなら昼前後が良い。立ち位置から線路までは遠く、列車の音が聞こえないため、いつでもシャッターを押せるように集中しよう。

画像: 室蘭本線 大岸~豊浦

付近はキャンプ場になっており、海に沿って遊歩道が作られている。撮影場所はとても広いので、大人数でも撮影が可能である。車は公園の駐車場に止めよう。

撮影・解説:杉山慧

1992年11月、静岡県出身。幼少期より鉄道に興味を持ち、日本大学芸術学部写真学科卒業後、ネコ・パブリッシングに入社し月刊誌[レイル・マガジン]の編集に携わる。2017年3月、鉄道写真事務所レイルマンフォトオフィスに入社。2018年12月レイルマンフォトオフィスを退社し、フリーの鉄道写真家として独立。独立後は月刊誌[鉄道ジャーナル]での写真撮影や原稿執筆のほか、レンズメーカー「タムロン」主催するに「タムロン鉄道風景Instagramコンテスト 2019」で審査員を務めた。

画像: 撮影・解説:杉山慧

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