革新的な仕様と、レースでの圧倒的な強さ。伝説的な昔話が多くなりがちな初期型油冷GSX-R750だが、今の時代にライディングしても魅力的だ。いや“今だからこそ”である。

撮影●鈴木広一郎 文●濱矢文夫 情報提供●ミスターバイクBG

やっぱり、かっこいい

画像1: やっぱり、かっこいい

上体をふせてスクリーン越しに前を見て、体が触れているところから油冷4気筒エンジンの微振動を感じながら突き進む。それを押しとどめようと向かってくる風を大きなフロントフェアリングがいなし、防いで、隠れているライダーは独特な世界の中で気持ちが踊る。

20代の数年間を86年型GSX-R750と共にすごしていたから、限定車とはいえ同じ年式で同じライディングポジション、ライダーから見える景色もほぼ同じGSX-R750Rはノスタルジックな気持ちにさせる。

友人たちといろんなところで走り回ったり、リアシートにでかいバッグを無理やりくくりつけて北海道へ行ったあの日を思い出しながら乗った。

画像2: やっぱり、かっこいい

自分の面白くもない昔話は置いといて、初期タイプのGSX-R750に乗ったことがない人に向けて、このオートバイがどんな乗り味なのかを伝えよう。

セパレートハンドルで前傾姿勢がつらそうに見えるかもしれないが、それほどでもない、というか確かに前傾姿勢でもそれが気にならない。ハンドルの絞りとタレ角がちょうどよくて負担のない手首と腕の開きになる。座るシート座面と対比したハンドルの高さは決して低くない。

これの前にあったスズキのフラッグシップモデル、あのカタナシリーズとは違い、ハンドルグリップ位置が遠くなく余裕がある。ステップ位置も含めて実に自然で楽な前傾姿勢でのライディング。

画像1: 1986 GSX-R750R GR71G

1986 GSX-R750R GR71G

空冷4気筒時代からスポーツ度をすごく高めた進化をしたようだけど、実はそれ程でもなかったりする。特に現行のスポーツモデルを知っていると、余計にそう思う。GSX-R750が好きな私からあえて言わせてもらえば、油冷ナナハンエンジンはスタンダード状態だとそれほどパワフルじゃない。

画像1: 1985 GSX-R750 GR71F

1985 GSX-R750 GR71F

今回乗らせてもらった限定車GSX-R750Rは驚くくらい程度が良く、機関はどこも絶好調で、変更しているのはマフラーだけ。個人的にいまいち好きになれなかったフラットバルブの純正VM29キャブだけど、これが拍子抜けするくらい調子が良くて、私が乗っていたのよりスロットル操作が軽くて高回転までスムーズに回る。この状態だとどこまでもフラットトルクに近く乗りやすい。ただ、それは高回転域でのトルクの盛り上がりにかけるということでもある。

画像: 1986 GSX-R750R GR71G(右)、1985 GSX-R750 GR71F(左)

1986 GSX-R750R GR71G(右)、1985 GSX-R750 GR71F(左)

1985 GSX-R750 GR71F

画像2: 1985 GSX-R750 GR71F

1985 GSX-R750 GR71F

画像: 油冷エンジンの中身には手を付けず、パワーフィルター装着のFCR35 キャブレターとヨシムラのデュプレックスサイクロンで吸気と排気を変更。

油冷エンジンの中身には手を付けず、パワーフィルター装着のFCR35 キャブレターとヨシムラのデュプレックスサイクロンで吸気と排気を変更。

画像: スタンダード然としたこのフロントカウル。実はFRP で新たに作られたものだ。このスタンダードと同じカラーグラフィックは全部塗装である。

スタンダード然としたこのフロントカウル。実はFRP で新たに作られたものだ。このスタンダードと同じカラーグラフィックは全部塗装である。

画像: 上面がフラットに近いレーシーな形状の燃料タンク。エアプレーンタイプの給油キャップは当時スズキの十八番だった。

上面がフラットに近いレーシーな形状の燃料タンク。エアプレーンタイプの給油キャップは当時スズキの十八番だった。

画像: サイドカバーとテールカウルもFRP で新たに製作された。純正ナンバー灯を使わないことを決めていたので、テールエンド下にそれ用の切り欠きがない。

サイドカバーとテールカウルもFRP で新たに製作された。純正ナンバー灯を使わないことを決めていたので、テールエンド下にそれ用の切り欠きがない。

画像: ホイールサイズはGSX-R750R と同じ2.75-18、4.00-18 とスタンダードよりワンサイズ太いものを履く。ブレーキ周りも変更。フロントフォークの圧側減衰力調整機構(PDF) は取り外されている。アンダーカウルを装着しない予定でFRP 製外装を作ったのでフロントサイドカウル下部に取り付け穴がない。

ホイールサイズはGSX-R750R と同じ2.75-18、4.00-18 とスタンダードよりワンサイズ太いものを履く。ブレーキ周りも変更。フロントフォークの圧側減衰力調整機構(PDF) は取り外されている。アンダーカウルを装着しない予定でFRP 製外装を作ったのでフロントサイドカウル下部に取り付け穴がない。

画像: フォークトップのプリロードアジャスターはノンオリジナル。

フォークトップのプリロードアジャスターはノンオリジナル。

画像: 3千回転からのタコメーターは1983 年のRG250 Γが最初だった。

3千回転からのタコメーターは1983 年のRG250 Γが最初だった。

1985 SUZUKI GSX-R750 GR71F SPECIFICATION

● エンジン種類: 油冷4 ストローク4 気筒DOHC4 バルブ● 総排気量( ボア× ストローク):749.0cc(70.0 × 48.7mm) ● 最高出力:77.0PS/9500rpm ● 最大トルク:6.4kgm/8000rpm ● ミッション:6 速リターン● 全長× 全幅× 全高:2120 × 745 × 1215mm● ホイールベース:1430mm ● シート高:765mm ● キャスター/ トレール:26 °00 ′/ 107mm ● タイヤ前・後:110/80-18・140/70-18 ●燃料タンク容量:19.0ℓ●乾燥重量:179kg ●発売当時価格:78 万円

1986 GSX-R750R GR71G

画像2: 1986 GSX-R750R GR71G

1986 GSX-R750R GR71G

画像: 国内初の100 万円の大台を超えたモデルだった。エンジンの大きな違いは一目瞭然の乾式クラッチだ。クラッチレバーを握るとシャリシャリと乾いた音がする。

国内初の100 万円の大台を超えたモデルだった。エンジンの大きな違いは一目瞭然の乾式クラッチだ。クラッチレバーを握るとシャリシャリと乾いた音がする。

画像: ヘッドライトにイエローバルブを使っているところも通常とは違う。

ヘッドライトにイエローバルブを使っているところも通常とは違う。

画像: 全日本ロードレースのTT-F1 クラスでヨシムラGSX-R750 がチャンピオンを獲得したのを記念したモデルなので、それに似せたカラーグラフィック。限定のGSX-R750R は1989 年にも登場していて、それはアルミタンクだったが、これはスタンダードと同じスチール。

全日本ロードレースのTT-F1 クラスでヨシムラGSX-R750 がチャンピオンを獲得したのを記念したモデルなので、それに似せたカラーグラフィック。限定のGSX-R750R は1989 年にも登場していて、それはアルミタンクだったが、これはスタンダードと同じスチール。

画像: シングルシートが標準のひとり乗り。通常モデルと同じテールランプを使わなかったのが興味深い。

シングルシートが標準のひとり乗り。通常モデルと同じテールランプを使わなかったのが興味深い。

画像: 通常モデルの圧側減衰力調整機構(PDF) ではなく電子式圧側減衰力調整機構(NEAS)を採用。初期型のφ 300ローターからフローティングタイプのφ 310 ローターに。ホイールデザインは同じだがリム幅は2.50 → 2.75。リアも3.50 → 4.00 に。

通常モデルの圧側減衰力調整機構(PDF) ではなく電子式圧側減衰力調整機構(NEAS)を採用。初期型のφ 300ローターからフローティングタイプのφ 310 ローターに。ホイールデザインは同じだがリム幅は2.50 → 2.75。リアも3.50 → 4.00 に。

画像: リザーバータンク別体ショックユニットも特別仕様。スイングアームは25mm 伸びた。

リザーバータンク別体ショックユニットも特別仕様。スイングアームは25mm 伸びた。

画像: アンダーブラケットに取り付けたステアリングダンパーも限定車専用。

アンダーブラケットに取り付けたステアリングダンパーも限定車専用。

1986 SUZUKI GSX-R750R GR71G SPECIFICATION

● エンジン種類: 油冷4 ストローク4 気筒DOHC4 バルブ● 総排気量( ボア× ストローク):749.0cc(70.0 × 48.7mm) ● 最高出力:77.0PS/9500rpm ● 最大トルク:6.4kgm/8000rpm ● ミッション:6 速リターン● 全長× 全幅× 全高:2120 × 745 × 1215mm● ホイールベース:1455mm ● シート高:770mm ● キャスター/ トレール:26 °00 ′/ 107mm ● タイヤ前・後:110/80R18・150/70R18 ●燃料タンク容量:19.0ℓ●乾燥重量:181kg ●発売当時価格:105 万円

以下詳細は、ミスター・バイクBG4月号でお楽しみください。

■ミスター・バイクBG 5月号絶賛発売中です

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