ドゥカティが誇るスーパーバイクの頂点・パニガーレV4シリーズが早くも大幅なアップデートを受けた。レース対応モデルの「R」譲りのウイングレットを装備し、フレームまで見直した新型は、扱いやすさを格段に向上させている。
画像1: ドゥカティ「パニガーレV4S」の魅力。特徴を徹底解説! ゴーグル2020年5月号はDUCATI大特集!

GPテクノロジーでさらに進化したパニガーレシリーズのフラッグシップ

画像: GPテクノロジーでさらに進化したパニガーレシリーズのフラッグシップ

驚くほどの軽さ、素直さで自在に楽しめる214PS

2018年の衝撃的な登場から2年。ドゥカティはパニガーレV4をモデルチェンジした。昨年の販売実績で、スーパースポーツ市場の25%近くを占有するまでに急伸したモデルを、デビューからまだ2年しか経っていないというのにバージョンアップしたのだ。

新型でまず目に付くのは、材質こそ異なるものの、スーパーバイクレースのホモロゲーションモデル・V4Rに装着されていたウイングレットが全車標準装備となったこと。独創的なダブルレイヤー方式のカウリングを、新型はオーソドックスなルーバータイプのエアアウトレットに変更、防風効果と冷却効率の向上を図っている。また、外観からは分からないが、フロントフレームはV4Rと同じ、エンジンハンガー上部が丸く肉抜きされた軽量タイプとなり、電子制御システムも新バージョンにアップデートされている。

画像1: 驚くほどの軽さ、素直さで自在に楽しめる214PS

前方から眺めると大きく張り出しているように見えるウイングだが、実際にバイクにまたがってみるとハンドル幅より狭い上に、ボリュームアップしたアッパーカウルの陰に隠れるため、想像していたよりも違和感は感じられなかった。

試乗車は上級グレードのV4S。「スポーツ」モードで走り出して真っ先に感じるのは、ライダーに対する「当たり」がとても柔らかいということだ。もともと車重が軽く、クラッチやチェンジペダルなどの操作類も軽いパニガーレV4だが、電子制御が進化した新型は、クイックシフターのおかげで、クラッチ操作なしで、ハーフスロットルのまま4000〜5000回転でチェンジペダルを掻き上げても、何の抵抗や衝撃もなく、吸い込まれるようにギアが切り替わる。

それはシフトダウンでも同じで、街中を流すようなスピードから300㎞/hオーバーの最高速からのハードブレーキングでも、チェンジペダルを踏み込むだけで小気味良くギアが切り替わるので、一旦走り出してしまえば、クラッチレバーの存在を忘れてしまうくらいにクイックシフターの信頼性と操作性がアップしている。

また、エンジンハンガー上部がくり抜かれ、剛性バランスの最適化が図られたフロントフレームの効果なのか、ハードブレーキング時にしっかり押し潰されたフロントタイヤが吸い付くように路面をとらえ、強力なストッピングパワーを発揮する。ハードブレーキング後にフロントブレーキを引き摺りながら倒し込む際も、マシンのヘッドパイプまわりが適度にしなり、フロントタイヤがしっかりグリップしていることを感じられるので、自信を持ってマシンをフルバンクさせることができる。

この、しなやかに路面を捉える感覚は従来型にはなかったもので、どのレベルのライダーが乗っても、新型はコーナーの進入速度を上げることを可能にするだろう。

画像2: 驚くほどの軽さ、素直さで自在に楽しめる214PS

見た目のインパクトは非常に大きいウイングレットだが、その効果も見た目同様に大きいものだった。今回の試乗の舞台となったバーレーンの、2速で旋回する低速コーナーからの加速や、ひたすらレブリミットの1万3500rpmでシフトアップを繰り返すストレートでも、マシンのフロントタイヤが路面から離れたりヘッドパイプ周りが不安定になることは皆無。モトGPマシンからフィードバックされた技術はすべてのライダーに絶大な安定性と安心感を与えてくれることを改めて実感した。

圧倒的な動力性能とソリッドなハンドリングでスーパースポーツの覇権を握ったパニガーレV4だが、新型は圧倒的な動力性能をそのままに、より緻密に作り込まれた電子制御としなやかなハンドリングを兼ね備えている。スーパースポーツの門戸を拡げる1台と言っても過言ではないだろう。 (八代俊二)

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