カワサキ「ニンジャ650」
オトナの走りでいつまでも楽しめる、爽快スポーツ

KAWASAKI NINJA650 KRT EDITION
最高出力:68PS/8000rpm
最大トルク:6.4㎏-m/6700rpm
価格:88万円/90万2000円(KRT)
発売:2020年2月1日
新型ニンジャ650は兄弟モデルのZ650とともにデザインをアップデート。それぞれ最新のニンジャ、Zシリーズらしい、シャープなデザインとなった。また、メーターが大型TFT液晶となり、高級感も向上した。フレームやサスペンションはそのまま踏襲している。
ただ、エンジンについては共に吸気系の配管形状を変更していて、これで低中域でのトルクを向上させているという。
新型ではあるが、今回の変更箇所は案外少ない。でも、これでいいと思う。なにしろ、この650はこのクラスの中でもかなりキャラの立った存在。スポーツテイストを漂わせた非常に扱いやすいスタンダードスポーツであり、のんびりとツーリングしている時の快適さや従順さ、軽快なスポーツツインのパルス感など、数字では説明し難い、乗り込んでわかる魅力が傑出しているからだ。

パワーはホンダのNC750Sよりは強力だが、MT-07やSV650より穏やかな68PS。MTやSVと峠道で目を三角にして競走すれば、立ち上がりの加速で遅れをとるし、車体がしなやかでサスもソフトなので、完全にコントロールするには乗り手のスキルも必要になる。ただ、そうすれば速いペースで走れるが、あまりその必要は感じない。
ニンジャ650は本気で飛ばす手前くらいのペースで峠道を楽しむなら、ライバルよりずっと面白い。これ見よがしの強烈なダッシュなどは発揮しないが、7000回転以上を常用すれば意のままのパワーを得られる。6000回転くらいまでを使って5〜6速で流しても、しなやかな車体とソフトなサスはトラクション不足になることもなく、車体をしっかり路面に押しつける。これがいい。

650㏄クラスということを考えたら、車体は想像以上にコンパクト。感覚としては400クラスに近く、取り回しも軽い。
ニンジャは、まるで大型モデルのように、どこまで走っても飽きのこない、ワインディングのクルーズ適性が高いのだ。これは4〜5000回転あたりまでを多用して田舎道や街中を流していても同じ。ニンジャのサスは小さなギャップを乗り手にあまり伝えないので、乗り心地はライバルたちの上をいく。しかも、この回転域だと乾いた排気音がコラボした心地よいパルス感も楽しめる。
ニンジャ650は運動性能の非常に優れたツーリングスポーツ。オトナの走りで、どこまでも走り続けたい気持ちになる、数少ないバイクだ。
カワサキ「ニンジャ650」ライディングポジションと足つき性
身長:176㎝ 体重:68㎏
ごく自然な弱前傾姿勢で、感覚的にステップ位置が前めのため、ホールドし、上体を支えやすい。体格を選ばず、長時間のライディングでも疲れ難いバランスのいいライポジになってる。シートはスリムで足着き性も良好だ。


カワサキ「ニンジャ650」木川田ステラのタンデム・チェック
スポーツタイプの醍醐味である、抱きつきながらのタンデムです。全体的に目線やヒザの位置などは高めですが、そのおかげで景色を見わたすことができ、ヒザの位置もちょうどライダーの腰付近でニーグリップがしっかりできるので安心でした。
振動がマイルドで乗り心地はとても滑らか。疾走感を感じながらも、穏やかな気分でした。一方で飛ばせばパワフルさも感じられ、色々な表情が飽きさせないバイクです。(ステラ)

カワサキ「ニンジャ650」主なスペックと価格
SPECIFICATIONS
全長×全幅×全高 2055×740×1145㎜
ホイールベース 1410㎜
最低地上高 130㎜
シート高 790㎜
車両重量 194㎏
エンジン形式 水冷4ストDOHC4バルブ並列2気筒
総排気量 649㏄
ボア×ストローク 83×60㎜
圧縮比 10.8
最高出力 68PS/8000rpm
最大トルク 6.4㎏-m/6700rpm
燃料供給方式 FI
燃料タンク容量 15L
キャスター角/トレール 24度/100㎜
変速機形式 6速リターン
ブレーキ形式 前・後 φ300㎜ダブルディスク・φ220㎜ディスク
タイヤサイズ 前・後 120/70ZR17・160/60ZR17
メーカー希望小売価格(税込):88万円/90万2000円(KRT)
カワサキ「ニンジャ650」の各部を解説

Z900と同タイプのTFTメーターは、バーグラフ式タコメーターやシフトポジションなどを表示可能。背景も2種類から選べる。

歯切れのいいパルス感を楽しめるパラレルツインは68PSを発揮。伸びやかで楽しい、数字以上にドラマチックなパワーフィールだ。

ニンジャシリーズのファミリーフェイスに統一され、フロントマスクはスーパースポーツ然としたデザインに一新された。

しなやかな乗り味を生むフロントサスペンションは基本的に従来のものを引き継ぐ。タイヤはダンロップのロードスポーツ2。

タンデムシートの形状を変更、タンデムライダーの快適性を大きく向上させた。表皮はプレーンなものを採用している。

専用アプリの「RIDEOLOGY THE APP」を使って、スマートフォンと連携。マップとの同期やルートの軌跡表示なども可能だ。

専用アプリの「RIDEOLOGY THE APP」を使って、スマートフォンと連携。マップとの同期やルートの軌跡表示なども可能だ。

Z650と共通のテールランプはユニークなデザインのLED式。ウインカーはオーソドックスな電球を使用したものとなる。
PHOTO:南 孝幸 TEXT:宮崎敬一郎、木川田ステラ、月刊オートバイ編集部