かたや、1990年代の4気筒。かたや、2気筒の最新モデル。同じホンダ、同じ、CBR250RRという車名。時代背景やマシンの成り立ちは違えど、当代きってのスーパースポーツという基本コンセプト、そして走りにかける情熱は同じ。
新旧CBR250RRの徹底比較バトル、今回は「ハンドリング」編!

低重心型の4気筒と、人車一体感の2気筒

画像: Honda CBR250RR(1990年)

Honda CBR250RR(1990年)

旧CBR250RRはレーサーレプリカ全盛期に開発され、4スト250cc車による『SP250F』レースで大活躍した。それだけに、ヒラヒラ軽くてシャープな動きを想像するだろうが、実際はベタッと路面に吸い付くような落ち着いたハンドリング。エンジン/フレームの重心位置を低くした車体に加え、低シート高によってライダーの重心位置も低い。

この「重心の低さ」が姿勢変化を穏やかにし、抜群の接地性能を生んでいる。さらに並列4気筒エンジンはカムシャフトやクランクシャフトが横長でジャイロ効果が大きく、安定性を高めている。逆に言えば寝かし込みや切り返しは重くなるが、もともと軽量なので、このハンドリングに不満はないだろう。

ツインスパータイプのメインフレームと、ガルアームと呼ばれる「への字形状」のスイングアームはアルミ製。剛性は高めで、サーキット走行でも車体の捻れは出ない。それだけに市街地走行では硬さを感じるが、前後サスペンションをややソフトな設定とすることで乗り心地の良さを確保している。

画像: Honda CBR250RR(2019年)

Honda CBR250RR(2019年)

新CBR250RRは現行250スポーツモデルの中で最もスポーティなキャラクターだ。メインフレームはスチールパイプ製のトラス構造で、剛性は公道での速度域に合わせたもの。旧CBRよりハンドリングが軽く、旋回性も素直。スポーツライディングではフレームの適度なしなりによってタイヤの滑り出しが穏やかでコントロールしやすいことも大きな武器だ。

前後サスペンションはやや硬めで、急な加減速やコーナリングGをしっかり受け止める。車体姿勢の変化が少ないからライダーは積極的に操作でき、操作に対する車体の反応も鋭い。車体との一体感が高いライポジと併せ、このクラスには珍しく、スポーツライディングの楽しさを追求したハンドリングも魅力だ。

ホンダ「CBR250RR」(2019年)のフレームと足回り

画像: ホンダ「CBR250RR」(2019年)のフレーム。

ホンダ「CBR250RR」(2019年)のフレーム。

画像: フロントフォークはショーワの倒立。ダンパーを左側のみとして摺動抵抗低減も実現。ブレーキローターは310㎜径のシングル。

フロントフォークはショーワの倒立。ダンパーを左側のみとして摺動抵抗低減も実現。ブレーキローターは310㎜径のシングル。

画像: アルミキャストのスイングアーム。GDC(重力鋳造)製法により、部位ごとの肉厚最適化を実現し、左右の剛性バランスも確保する。

アルミキャストのスイングアーム。GDC(重力鋳造)製法により、部位ごとの肉厚最適化を実現し、左右の剛性バランスも確保する。

リアサスは「プロリンク」と呼ばれるリンク式を採用。サスペンションユニットには5段階のプリロードアジャストを備える。

画像: スイングアームは左右非対称。マフラー側はエキパイとマフラーのレイアウトに配慮した湾曲形状としている。

スイングアームは左右非対称。マフラー側はエキパイとマフラーのレイアウトに配慮した湾曲形状としている。

ホンダ「CBR250RR」(1990年)のフレームと足回り

画像: ホンダ「CBR250RR」(1990年)のフレーム。

ホンダ「CBR250RR」(1990年)のフレーム。

正立フォークはストローク量によってリアルタイムに減衰力が変化するダンパー機構を採用。タイヤは前後ともラジアルが標準。

画像: エキゾーストパイプをより重心位置へ近づけてレイアウトできるよう、「へ」の字型に湾曲したアルミ製「ガルアーム」を採用。

エキゾーストパイプをより重心位置へ近づけてレイアウトできるよう、「へ」の字型に湾曲したアルミ製「ガルアーム」を採用。

画像: スイングアームは左右非対称。左側は剛性を高めるためにプレス成型のアルミプレートを溶接した構造としている。

スイングアームは左右非対称。左側は剛性を高めるためにプレス成型のアルミプレートを溶接した構造としている。

リアサスはプロリンク。ショックユニットをピボットシャフト上部にスラントさせ、重心位置に近づけてマウントしている。

文:太田安治、月刊オートバイ編集部
写真:南 孝幸、松川 忍、島村栄二、BIKERS STATION(遊風社)

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