イタリア、スペインに続く一大勢力

鈴木竜生(22歳・SIC58スクアドラコルセ)、佐々木歩夢(19・レッドブルKTM-TECH3)、鳥羽海渡(19・レッドブルKTM-AJO)、小椋藍(19・ホンダTeamアジア)に、山中琉聖(18・エストレージャガリシア)と国井勇輝(17・ホンダTeamアジア)がフル参戦デビューし、総勢6人の日本人ライダーが参戦することになったMoto3クラス。数えてみたらイタリア人とスペイン人が7人で、日本勢はそれに次ぐ一大勢力なんですね。
この中では鈴木が6年目、佐々木と鳥羽が4年目、小椋が2年目のシーズン。それぞれのライダーに、それぞれのテーマや目標があるのはもちろん、鈴木はもうすでにチャンピオン狙わなきゃ、佐々木と鳥羽は常時トップ争いするレースしなきゃ、小椋は驚異のルーキーの2年目でどーよ、ってポイントで注目されるシーズンです。
あ、本誌では仲いい、よく知ってる知らない、ってこと抜きに、Moto3ライダーのこと愛称で呼びたいのでご了承ください。鈴木竜生はタツキ、佐々木歩夢はアユム、鳥羽海渡はカイト、小椋藍はアイ、そして山中琉聖はリュウセイ、国井勇輝はユウキで行きたいです。親愛の情の表われとお考えいただければ。

画像: Moto3エントリー2年目のアイ 体も大きくなってきて、もうMoto2、MotoGPに乗れる体です

Moto3エントリー2年目のアイ 体も大きくなってきて、もうMoto2、MotoGPに乗れる体です

シーズンオフのテストでは、2年目を迎えるアイが絶好調! 2月のヘレステストで2日連続3番手タイムを出したかと思えば、最終日にはトップタイム締め。レース直前のカタールテストでも、総合トップタイムをマーク! タツキも常時4~5番手にはつけ、このふたりが日本勢を引っ張る感じに見えました。アユムとカイトはホンダからKTMにマシンをスイッチしたことで、まだマシンを手なづけている状態でしょうか。ただしアユムとカイトはレッドブルルーキーカップでKTMのマシンには乗り込んでいますから、本領を発揮するの、そう遠くないことでしょう。

画像: 6シーズン目のタツキ 「Moto3は今年で終わりにしたい」ってことはMoto2ステップアップ宣言!

6シーズン目のタツキ 「Moto3は今年で終わりにしたい」ってことはMoto2ステップアップ宣言!

そして迎えた開幕戦、予選から好タイムをマークしていたのはアイ。アユム、カイトがやや苦戦するなか、タツキもQ2進出を逃すなど、あららららら、と思っていたら、Q1を勝ちぬいたタツキがQ2でまさかのポールポジションを獲得! 初優勝を挙げた20191年のサンマリノGP以来、キャリア2度目のポールポジションでした。小椋は2列目5番手で、この2列目あたりまでがMoto3の「必勝グリッド」ですね。

決勝レース、ポールポジションから飛び出したタツキがレースをリードします。ホールショットから常にトップグループを引っ張り、抜いて抜かれて、それでもトップグループにステイ。
Moto3名物で、トップグループはレース終盤まで15台くらい。たとえばこの集団の最後尾15番手あたりにいても、上位のワンミスでアッという間にトップに立てるのがMoto3だし、逆にトップを走っていても、ワンミスで10番手までおっこちる。特にメインストレートが長いカタール・ロサイルサーキットでは、ストレートでスリップの引っ張り合いがあって、ストレートエンドの1コーナーでは、ブワッとばらけて5~6台が横並びになるような、そんなレースが続きました。

画像: 夕方スタートのカタールGP・Moto3クラス

夕方スタートのカタールGP・Moto3クラス

そしてレースは終盤へ。ラスト3周の時点でトップを走っていたタツキは、ワンミスで一気に10番手あたりまでポジションを落とし、8~10番手あたりをずっと走っていたアイがラスト3周でスルスルスルッと4番手あたりまでポジションアップ。レースはアルバート・アレナスとジョン・マクフィがやや2台で抜け、3番手ジャウメ・マシアの後方にアイがつける中、かわすまでには至らず4番手でフィニッシュ! 
しかし、ガッカリと肩を落としてピットに帰ったアイに、レースディレクションの伝令。マシアがコースオーバーでペナルティを受け、ポジションが降順。結果、アイが3位表彰台を獲得したレースとなりました。

「(序盤に接触でポジションを落とし)1台ずつ前のマシンを抜くのに時間がかかって、まわりのマシンがタイヤを消耗してからポジションを上げて、もう少し周回数があったら……。嬉しいけど嬉しくないというか。でも開幕戦で3位っていうのはいいスタートだと思います」と昨年に続くキャリア2度目の表彰台を獲得したアイ。

タツキは、ラスト2周の最終コーナーで一瞬だけ失速しただけで、ポジションを落として5位フィニッシュ。このポジション、もうタツキにとってはうれしくない! ずっとトップにいて、戦略ミスでもペース配分失敗でもなく、Moto3のレースってこういうものなのです。
ほか日本勢は、昨年の開幕戦ウィナーのカイトは14位、ユウキが18位、アユムが19位、リュウセイ20位。ここからドンとポジションを上げてくるのもまた、Moto3クラスの特徴です。

アイとタツキが好調をキープして、カイトもアユムもポジションを上げて、今年みたいシーンは、日本人ライダーによる表彰台独占! そんな夢のようなシーンも、決して不可能じゃないような気がします。

画像: イタリア、スペインに続く一大勢力

■開幕戦カタールGP Moto3クラス正式結果
1 アルバート・アレナス     アスパーTeamGaviota   
2 ジョン・マクフィ      ペトロナススプリンタ   
3 小椋 藍          ホンダTeamアジア     
4 ジャウメ・マシア      レオパードレーシング   
5 鈴木竜生          SIC58スクアドラコルセ   
6 ガブリエル・ロドリゴ    グレジーニMoto3      
7 ジェレミー・アルコバ    グレジーニMoto3     
8 フィリップ・サラック    リバコールド スナイパーズ 
9 デニス・フォッジア     レオパードレーシング    
10 ラウール・フェルナンデス  レッドブルKTM-Ajo    
写真/motogp.com 文責/中村浩史

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