発売直後のモデルじゃないけれど、もう一度じっくり乗りたい現行モデルをインプレする「現行車再検証」。今回は、ホンダのミドル・ネオスポーツ・カフェのホンダCB650Rをチュートリアル福田充徳さんが九州・阿蘇のワインディングを走り回ります!
文:中村浩史/写真:赤松 孝・中村浩史/車両協力:ホンダドリーム熊本
※月刊オートバイ2020年2月号掲載「現行車再検証」より

味わい深い2気筒より、ヒュンヒュン回る4気筒!

※このパートは福田充徳さんによる試乗後のコメントです。

画像: Honda CB650R 水冷4ストロークDOHC4バルブ並列4気筒/648cc/税込97万9,000円

Honda CB650R

水冷4ストロークDOHC4バルブ並列4気筒/648cc/税込97万9,000円

もともと650㏄って排気量が、狙いどころがいいんだと思います。このモデルの先代(=CB650F)に試乗したことがあったんですが、ナナハン、つまり大型モデルのパワーをコンパクトな車体で味わえる、ってところが狙いなんだな、と思ってました。

そして新型は、兄貴分のCB1000Rとデザイン同じイメージにしたんやな、と思ったら、走りもすごく良くなってる! 旧モデルに乗った僕が『あれ? こんなキビキビ走るバイクだっけ?』って思いましたから、初めて乗る人は『650㏄ってこんなに走るのか!』ってビックリすると思いますよ。

650㏄って、やっぱりナナハンより気軽に回せるエンジンやと思います。しかも、気持ちイイっすね、この4発は! 1000㏄とか1300㏄といった大排気量エンジンって、回さなくてもトルクがブ厚いし、力がモリモリあふれ出てくるのが楽しい、頼もしいですけど、650㏄はもっと高回転を回したい。キャンキャンって言うとおかしい? でも各ギア引っ張って乗るのが楽しいエンジンだと思います。

画像1: 味わい深い2気筒より、ヒュンヒュン回る4気筒!

これが400㏄だと、感覚にスピードが遅れてついてくるんですよね。650㏄はそこがダイレクト! 今ホンダにはナナハンクラスの4発ってラインアップがないですけど、このCBの軽快に回るシャープさは400㏄っぽいし、アッという間におっそろしいスピードに届いちゃおうとするパワーはリッターバイクですよね、これ。そういういいところ取りを狙ってるんだったら、大当たりだと思います。

いま、ホンダのナナハンだとNC750シリーズが2気筒だし、ヤマハもスズキもカワサキも、このミドルクラスって2気筒ですよね。2気筒って、扱いやすいし、パワーもあって鼓動があって燃費もいい、ってキャラクターなのは分かりますけど、なーんか違うんですよね。やったるで、って心が燃えないの(笑)。

画像2: 味わい深い2気筒より、ヒュンヒュン回る4気筒!

だから僕は4発がいいです! キャンキャン回して乗りたい! その意味ではNC750のベーシックグレードより20万円とか高くたってイイ。そのぶん仕事頑張るから!

やっぱホンダは4発ですよ! きっとCB650の開発やった技術者の方も、なんかいいコの2気筒より、やんちゃな4発を作りたかったんやと思う。

650Fよりグッとカッコ良くなって、びゅんびゅん回る4発ストリートバイク。僕、大好きです!(福田充徳)

画像: 今回は九州でのイベント出席に合わせて、CB650R試乗をお願いしました。「阿蘇のワインディングで試乗するなら2〜3日はもらわないと」と、誰よりも先に現地入と気合い充分‼

今回は九州でのイベント出席に合わせて、CB650R試乗をお願いしました。「阿蘇のワインディングで試乗するなら2〜3日はもらわないと」と、誰よりも先に現地入と気合い充分‼

この先10年をリードするホンダCBの軸となるモデル

※以降の文は中村浩史

650㏄というと、日本では中間排気量(=ミドルクラス)と呼ばれることが多いクラスだ。400㏄と750㏄のいいところ取りが狙いで、400㏄レベルの軽量コンパクトさと、750㏄クラスのパワーを持つ、というもの。

ちなみにCB400スーパーフォアは56PS/201㎏で、CB650Rは95PS/202㎏――これはもう、400㏄の車体に95PSのエンジンを載せた、そのまま。出力は、CB1100の90PSを超えてしまっている!

画像: CB650R

CB650R

画像: CB400 SUPER FOUR

CB400 SUPER FOUR

画像: NC750X DCT 写真:島村栄二

NC750X DCT
写真:島村栄二

ここ最近、ホンダのミドルクラスは、NC系の超好燃費2気筒がメインだったけれど、ホンダ開発陣も「気持ちのいい4気筒エンジンモデルを残したかった」と語っているとおり、フルカウル系スーパースポーツとはまた違う、ピュアスポーツモデルなのだ。

新生CB650Rとなったことで、CB1000Rを頂点とするネオスポーツカフェシリーズイメージの統一スタイリングとなり、旧CB650Fよりもグッと洗練された。何より、先代モデルには乏しかった「CB=ホンダの代表機種」という威風堂々さがいい。この先10年の、CBの代表なのだ。

細かい変更を積み重ねて大きな変化に仕上げること

画像1: 細かい変更を積み重ねて大きな変化に仕上げること

それでも、前作CB650Fがさほど目立たない存在だったこともあって、実はニュー650Rは、飛びぬけて超進化を遂げたわけではない。

マイナーチェンジ内容はむしろ細部の熟成とアップデートを図ったもので、小さな変更を積み重ねて大きな違いとしている。変更はすべてスポーツバイクの基本通りのもので、思い通りに動かすことができるバイクに少しでも近づけるという思想が見える。

画像2: 細かい変更を積み重ねて大きな変化に仕上げること

エンジンはレスポンスと吹け上がりをシャープにするために、カムプロファイルとバルブタイミングを見直し。ピストントップも形状変更。吸排気系を新設計しながら、カウル付きCBR-Rには専用吸気ダクトを設定する念の入れようで、新たに採用されたアシストスリッパークラッチとトラクションコントロールも、思い通りに動かせるスポーツバイクを狙ってのものだ。

車体は軽量化をメインにマスの集中化を実施。実は、ネオスポーツカフェシリーズ一連のスタイリングも、この「マスの集中」を狙ってのもので、ショートシートカウルやタンク前に位置するキーシリンダーも、決してスタイリングの変更だけが狙いではなく、重量物を車両のセンターに近づけることを意味している。650Rのようなスポーツバイクにとってみれば、キーシリンダーのわずか数100gといえども、配置変更が重要な重量物なのだ。

画像3: 細かい変更を積み重ねて大きな変化に仕上げること

車体の構成パーツも、スイングアームピボットまわりを鋳造品からプレス成型品に、エンジンリアマウントハンガーを左右一体化したり、シートレール全体をコンパクトにまとめたり。さらにパーツレイアウトを変更してステーを廃止したり、電気系統コードを短縮したり、新型ステップを採用したりで、車両全体でなんと6㎏の軽量化!この軽量化が効いて、ピュアスポーツバイクが出来上がっているのだ。

新しい時代のツウな選択、2&4気筒ミドルクラス

画像1: 新しい時代のツウな選択、2&4気筒ミドルクラス

福ちゃんが熊本・阿蘇のワインディングで乗りまくった分、私は関東近郊で。もちろん、高速道路や市街地、ごく低速で渋滞路を走ったり、コーナーとは呼べないほどの曲がり角をいくつも曲がったり、つまりはまったく普通の使い方をしてみたのだ。

結論、福ちゃんが阿蘇で感じた印象とほとんど変わらない、まさにこれは「まるでヨンヒャク!」な650だ。

新型CB400SFと騙されても気づかないような軽快な車体で、1000㏄にしてはちょっと非力かな(当たり前だ35%も排気量が小さいのだから)と思えるようなパワーフィーリング。小さいハイパワーバイク、思い通りに走らせられるという意味では、理想的なオートバイだった!

画像2: 新しい時代のツウな選択、2&4気筒ミドルクラス

パワー特性は、アイドリングすぐ上からきれいにトルクが出ていて、400㏄ほどトルクが細くなく、1000㏄ほどドンと来ない。そこからタコメーターの表示が3000〜4000rpmというあたりまでで、もうシティランが充分こと足りてしまうのだ。

やはり頭に思い描くライバルは、CB1000Rであり、ニンジャ650。CB1000Rよりも軽々と振り回すことができて、ニンジャよりも力がある! 特に、購入する時の比較検討となりそうなニンジャは、ニンジャの方が軽く背が高く、CBの方がズッシリと実が詰まっていて力がある感じ。

やはりCBの最大の魅力は、福ちゃんも言っていたように4発=4気筒エンジンだ。シャープなレスポンス、6000回転あたりを境にグンと力が増す特性とも、本当に気持ちがいい!

画像3: 新しい時代のツウな選択、2&4気筒ミドルクラス

ニンジャの、フリクションなくコロコロと軽く回るエンジンは快適だし、CBのキュンキュン回るエンジンは官能、といったイメージ。のんびり走りたい時、ガッと勢いよく走りたい時はCBが気持ちいいし、高速道路のクルージングや燃費を稼ぎたいツーリングのペースではニンジャが快適。これはもう、個人の好き好きというよりも、走るシチュエーションでメリットとデメリットが顔を出す――これは迷う!

650という排気量に、がぜん選択肢が増えてきた。1000㏄ではちょっと重くて大きいな、ならば750の2気筒/650の2&4気筒が同じカテゴリーで迷わせてくれる。自分の手の中にあるビッグバイクという意味で、新しい時代のツウな選択だと思う。

新世代CB誕生は、そういう意味でも意義が大きい出来事なのだ。

文:中村浩史/写真:赤松 孝・中村浩史/車両協力:ホンダドリーム熊本

画像4: 新しい時代のツウな選択、2&4気筒ミドルクラス

This article is a sponsored article by
''.