EICMA2019のドゥカティブースに突如登場した隠し球、デザートXとモタード、2台のスクランブラー・コンセプトの開発秘話を伺った。これまでのスクランブラー・ファミリーとは趣を異にするこの2台は、一体どのような経緯で誕生したのだろうか?
(レポート:オートバイ編集部 松本正雅)

休日返上、わずか3カ月で作り上げたコンセプトモデル

ロッコ・カノーザ

Ducati Motor Holding spa

スクランブラーブランド
プロダクト・マーケティング・マネージャー

画像: 【開発者インタビュー】ドゥカティ「SCRAMBLER DESERT X」「SCRAMBLER MOTARD」/スクランブラーブランドの世界観を大きく広げる次世代コンセプト!【新型誕生の舞台裏】

EICMAでのドゥカティブース。来場者の視線はストリートファイターV4やパニガーレV4、V2に注がれていたが、それに負けないくらいの人だかりができていたのが、スクランブラーコーナーに突如展示された2台のコンセプトバイクだった。その名もデザートXとモタード。このマシンはいつ頃開発がスタートしたのだろうか。

「2台とも、アイデア自体は何年も前からあったのですが、実際に動き出したのは最近になってからでした。具体的にEICMAに出展してもいい、というゴーサインが会社から出たのは今年の7月ごろのこと。そこから先は、夏休み返上で制作にかかりました」

画像: DUCATI SCRAMBLER DESERT X

DUCATI SCRAMBLER DESERT X

画像: DUCATI SCRAMBLER MOTARD

DUCATI SCRAMBLER MOTARD

こう教えてくれたのは、スクランブラーブランドのプロダクトマネージャー、ロッコさん。それぞれ個性の際立った、8機種のモデルラインアップを誇るスクランブラー・ファミリーのカギを握る人物のひとりだ。

聞けば、ドゥカティという会社は市販予定が決まっていないバイクは、原則としてショーには展示しない方針のようで、過去にコンセプトモデルが展示されたのは、唯一初代ハイパーモタードがデビュー前にコンセプトバイクを展示した1度きりだそう。いかに今回の展示が「例外中の例外」であるかが、お分かりいただけるだろう。

ということで、まずは気になる2台、それぞれのマシンの説明をしていただいた。

「デザートXはスクランブラー1100のエンジンとフレームを使用したコンセプトモデルで、イメージしているのはビッグタンクを備えた、ラリー用のマシンです」

ここで言うラリー用のマシンとは、当然ながらかつてのパリ・ダカールラリーを戦ったマシンのこと。独創的なマスクを形作っているLEDの2眼ヘッドライトも、そうしたラリーマシンをイメージしてのことだ。

その独特なスタイルがかつてのダカールレーサー、カジバの「エレファント」を想わせるが、何か関係はありますか、という質問に対して、ロッコさんはこう答えてくれた。

「確かにカジバのエレファントからもインスピレーションを得ています。かつてはドゥカティもカジバグループに属していたこともありますから、カジバは言ってみればドゥカティのヒストリーの一部なのです」

スクリーンと丸目2眼ヘッドライトが織りなす、ユニークなマスクはかつてのダカールマシン、カジバ・エレファントがモチーフ。

一方のモタードについては、このような説明をしてくれた。

「モタードはスクランブラー800のエンジンとフレームを使ったコンセプトで、パーツの一部はデザート・スレッドのものを使用しています。位置づけとしてはスポーティなグレードとなっていて、既存のラインアップで最もスポーティな『フル・スロットル』よりもスポーティな性格という設定です」

画像: 中央から左右に2分割できるタイプのタンクカバーを採用。これは「デザイナーの新たなアイデア」なのだそう。

中央から左右に2分割できるタイプのタンクカバーを採用。これは「デザイナーの新たなアイデア」なのだそう。

また、このモタードコンセプトは、タンクの化粧パネルが中央から左右に2分割できるカバーとなっており、従来とはまた違った「着せ替え」が楽しめる仕様となっている。

初のコンセプトモデル展示となったハイパーモタードがそのまま市販化されたことを考えれば、このスクランブラー・ファミリーの2台が市販化される可能性も十分にありそう。期待して待ちたいところだ。

(レポート:オートバイ編集部 松本正雅)

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