展示された車両はコンセプトモデルとしての参考出品に過ぎないのだが、日に日に市販化を求める声は高まる一方。これはもう市販化するしかない！
冒険心をくすぐる新世代ハンターカブ
かねてから噂されていた「新世代ハンターカブ」ホンダCT125が、ついに東京モーターショー2019で姿を現した。
狩猟などの足として山深い道を走る、今でいうトレッキングモデルとして初代スーパーカブをベースに1961年に北米で売られたC100Tや、さらに改良を加えたハンターカブC105Hがルーツとなる。
Honda CT125／東京モーターショー参考出品車
月刊オートバイの予想する登場時期：2020年初夏
そこから発展したCTシリーズの現代版であるCT125は、2018年発売のスーパーカブの上級モデル・C125を基に開発された。
軽快なカットレッグスタイル、アンダーガードやアップマフラーなどが目立つデザインは、1980年に発売されたCT110をそっくり再現したもの。
しかしLEDヘッドライトをはじめ最新の装備で、現代に求められる利便性の高さも備える。
力強さと高い信頼性、優れた経済性を発揮する125㏄空冷単気筒エンジンや、車体の基本構造もC125譲り。
これにストロークの長いサス、ブロックタイヤ&スポークホイールなどオフロード向けの足回りを組み合わせたCT125は、ルックスでも走りでも冒険心をくすぐられる仕上がりとなっている。
まだ試作だが市販化は濃厚。楽しみな1台！
クロスカブが人気を得たことで、よりオフロード適性を高めたバリエーションモデルとしてハンターカブが登場することを期待していたが、かなり現実味を帯びてきた。
展示車両はとりあえず形にしただけの試作段階だが、どこを見ても破綻のない作り込みで、このままの形で市販化できそう。
エンジンは好評のC125系なので、低中回転域での力強さと上質なシフトフィーリングを受け継ぐはずだし、リアキャリア部に空気取り入れ口を設け、アップマフラーと合わせて深い水たまりも走破できるタフな構造はCT110譲り。
アンダーガードも装備していて、荒れた林道も不安なく走れるだろう。
道路事情の悪い途上国だけではなく、何かと自然災害が多い日本でも、手軽さと機動性の高さを両立したオートバイは大いに評価されるはず。
会場での高い注目度を受けて開発が加速するだろうから、来春のモーターサイクルショーには市販予定車として登場してほしいところだ。
太田安治のお気に入りポイント！
オフロード走行で跳ね上がる石などからクランクケースやシリンダー、マフラーを守るしっかりしたエンジンガードでハードな走りも楽しめそう。
ホコリや水の侵入を防ぐため、エアクリーナーの吸気口をリアキャリアまで伸ばしているところなんか、昔のCT110そのままで懐かしいな。
開発者VOICE
鳥山英二氏
本田技研工業株式会社
二輪事業本部
ものづくりセンター
デザイン開発部
MD・SD課
技師 モデラー
このCT125は、お客様からの「欲しい！」という声にお応えする形で開発がスタートしたモデルです。
ちょうど同時期に、タイのR&Dの方でも似たプロジェクトの提案があったこともあり、グローバルモデルとして開発されることになりました。
スタイリングは往年のCT110をオマージュしたものですが、気を付けたポイントは、トレッキングを楽しむバイクなので、グラウンドクリアランスをしっかり確保することと、足つき性を考えて、シート高を高くしすぎないこと。
この2つは相反する要素なので、ここをどうまとめるかで苦労しました。
今はまだ試作ですが、早くみなさんに楽しんでいただけるよう頑張ります！
ホンダ CT125の各部をチェック！
車体左側のエンジン後方にエアクリーナーボックスがあるが、CT110を模して吸気口をリアキャリア下にするためむき出しのダクトで延長。
右クランクケースカバーは、中央にメッシュ状マークをあしらったもの。アンダーガードは障害物へ乗り上げた時スキッドプレートにもなる。
シートの基本的なデザインはスーパーカブC125と同様。細かく見るとシート前方の形状が異なっていて、足着き性を改善しているようだ。
文：太田安治／写真：赤松 孝・南 孝幸
ホンダ 公式サイト
月刊『オートバイ』12月号では、東京モーターショー2019に登場した新型車を徹底解説しています。
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