「バリバリ伝説」が始まると、編集部に苦情のハガキが来るようになった。その鉾先は「ララバイ」。さらに研二の相棒、Z2も非難されるようになる。
 
©楠みちはる/講談社 ※全ての写真及び記事の無断転載を硬く禁じます。

第17回「Z2なんて誰も興味ナシ」

「苦情ハガキは『ヘルメットを被れ』、『Z2って何? そんなの知らない』、『作者はバイクを理解していない』等々。

言われてみれば研二はノーヘルです。中学生や高校生の読者はZ2なんて知らないし興味もないでしょう。担当が提案します。『研二にヘルメットを被らせバイクも今風のヤツに乗り換えさせよう』と。

断りました。『自分が高校生の時はノーヘルが当たり前だったし、漫画だから別に』と。『じゃあ、バイクだけでも換えよう。Z2なんて読者は誰も興味を持ってないぞ』と。

『誰も興味を持っていない』。これは本当でした。83年にZ2に興味を持つ人なんて皆無でした。かつて乗っていた人でさえ『今さらZ2なんて』でした」。

画像: 50cc超のオートバイのヘルメット着用が罰則ありの義務化されたのは1975年。このときは政令指定都市区間だけであったが、78年には全ての道路に広げられ、原付にまで及んだのは86年だ。カットは唯一、研二がヘルメット(BELL製)着用で登場した回で、アンケート人気はアップした。ストーリーの面白さに加え、新鮮なイメージが功を奏した、のか?

50cc超のオートバイのヘルメット着用が罰則ありの義務化されたのは1975年。このときは政令指定都市区間だけであったが、78年には全ての道路に広げられ、原付にまで及んだのは86年だ。カットは唯一、研二がヘルメット(BELL製)着用で登場した回で、アンケート人気はアップした。ストーリーの面白さに加え、新鮮なイメージが功を奏した、のか?

画像: 現在、途轍もない中古価格となっているZ2が不人気だったなんて信じられないという方は、上の月刊オートバイ1983年3月号の広告ページをご覧ください。74年式のZ2(程度・上)が車検2年付きで21万円。読者売買のコーナーでは15万円から車検付きのZ2があった。タマ数も多くなく、まさに「今さらZ2なんて」という時代。

現在、途轍もない中古価格となっているZ2が不人気だったなんて信じられないという方は、上の月刊オートバイ1983年3月号の広告ページをご覧ください。74年式のZ2(程度・上)が車検2年付きで21万円。読者売買のコーナーでは15万円から車検付きのZ2があった。タマ数も多くなく、まさに「今さらZ2なんて」という時代。

「Z2に拘っているとバイクブームに乗り遅れる。その通りだと思いました。でも拘っていただけではないんです。Z2だと隅から隅まで知っているから早く描けるんです。

バイクやクルマはアシスタントではなく自分で描きます。これは今もそうです。だから好きなモノで早く描けるモノがいいんです。

『Z2に興味を持つ人はいない』と忠告を受けている時、僕はもう一つの『Z2に乗る主人公』を描きます。

83年春。ヤングマガジンで『J物語』スタート。ヤンマガは隔週誌ですからマガジンと合わせて月に6回の締切。テーマは『黒いZ2に乗るJと呼ばれる時代遅れの不良』。『ララバイとは違うZ2』でしたが、2本の連載は無謀で、三たび原稿をオトします」。

人気があるわけでもないZ2をメインに据え続け、席巻するバイクブームに背を向け、己の描きたいものを貫く。だが、月6回の締切は過酷で、またもや原稿をオトした楠先生の奇策とは…!?

(以下、第18回「もう一度、Z2に乗ろう」をお楽しみに!)

過去の回はこちらからご覧いただけます。

「あいつとララバイ ファンブック」(モーターマガジン社)好評発売中

画像: 「あいつとララバイ ファンブック」(モーターマガジン社)好評発売中

登場バイクをカラー写真で楽しめる「ララバイの名車アルバム」や書き下ろしの自叙伝「僕のバイク道・漫画道」完全版など盛り沢山の内容です。

■A4変型ワイド版・オールカラー164ページ
■定価:1527円+税

Amazonでもお買い求めいただけます。

あいつとララバイ ファンブック (Motor Magazine Mook)

モーターマガジン社 (2019-10-30)
売り上げランキング: 319

This article is a sponsored article by
''.