持っていてもクルマを運転できない「運転経歴証明書」、外観は運転免許証によく似ているが、どんな機能や意味があるのだろうか。
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運転免許証に代わる、公的な本人確認書類が運転経歴証明書

ある年齢を過ぎると筋力や視力、反射神経や判断力などさまざまな能力が衰え、同時に交通事故のリスクも高まると言われている。さらに運転機会の減少など、さまざま理由からクルマを降りる……、すべての運転免許を都道府県公安委員会(警察や免許センター)に自主返納する高齢者が増えている。

運転免許証(以下、免許証)は、自動車やオートバイなどの運転を許可されていることを示すだけでなく、持ち主の公的な本人確認書類としても機能する。保有者数が約8225万人(2018年警察庁発表)と多いことからも、日本でもっともポピュラーな本人確認書類と言えるかもしれない。

そのため免許証返納によって本人確認書類が減り、困る人も多いという。そんな不便さを解消する手段が「運転経歴証明書」の発行だ。免許証と違って有効期限はなく、生涯にわたって公的な本人確認書類としてさまざまな場面で提示することができる。

クルマに乗らなくなった高齢者のための制度と思われがちだが、実は免許をすべて返納すれば年齢に関係なく発行することができる。管轄の警察署や運転免許センターなどで、免許証と免許証用サイズの写真を提出、手数料1100円を支払うことで手続きできる(印鑑が必要な地域もある)。

※自主返納してから5年以上経過しているひと/免許取消しとなっているひと/免許を失効させたひとは、運転経歴証明書の交付を受けられない。

画像: 運転経歴証明書のカードサイズは免許証と同じ。

運転経歴証明書のカードサイズは免許証と同じ。

カードの寸法は免許証と同じ縦5.4×横8.56cmで、顔写真入り、デザインも免許証とよく似ている。外観の大きな違いと言ったら「運転経歴証明書」、「自動車等の運転はできません」と書いてあり、免許証を返納した時の色(ゴールドやブルーなど)にかかわらず、帯はすべてグレーになることくらいだろう。

ここまで読んで「どのへんが“運転経歴”の証明書なのか」と疑問に思った人もいるだろう。違反回数や事故回数、ましてや運転免許学科試験の点数が書いてあるわけでもない。色だってグレーで統一だ。どういうことなのかというと……。

ある数字が、過去5年間の運転経歴を証明する

その名称から免許取得以降の経歴がわかってしまうのかと思いきや、証明しているのは返納までの過去5年間の経歴だ。所有者が「優良運転者」か「一般運転者」、「違反運転者」だったかを、交付年月日の横に並ぶ数字のうち、最後のひと桁で表している。1であれば優良運転者、2なら一般運転者、3なら違反運転者ということになる。

画像: 赤線で囲った数字で、過去5年間の運転経歴を証明する。

赤線で囲った数字で、過去5年間の運転経歴を証明する。

免許証番号や取得した免許の種類などは引き継がれる

運転免許証に書かれた12桁の数字、いわゆる免許証番号は運転経歴証明書にも引き継がれる。そのため、「最初に運転免許交付を受けた都道府県」や「紛失回数」などがわかってしまう。

詳しくはWebモーターマガジンのこの記事を参照。

運転に関係ないが、これも証明のひとつといえる。また、免許証番号の下に取得した免許の日付や種類も引き継ぎ記載される。その人の運転経歴を垣間見ることができそうだ。

画像: 免許証番号12桁は、運転経歴証明書にも引き継がれる。12桁の意味は上記記事参照。

免許証番号12桁は、運転経歴証明書にも引き継がれる。12桁の意味は上記記事参照。

運転経歴証明書の所有者が亡くなったら?

ちなみに、所有者が亡くなっても運転経歴証明書を都道府県公安委員会(警察)に返納する必要はないようだ。返納の規定のある免許証と違ってICチップは入っていない。しかも顔写真付きなので、紛失や盗難などにより悪用される危険性は低いという。穴あけや裁断など加工を施さずに形見として持っていてもよさそうだ。

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