多少の無理が、得も言われぬ絶景を引き寄せる……こともある

今回の写真はモーターマガジン社のムック『アドベンチャーズ』に掲載されたのもの。

福島県の猪苗代湖や磐梯山はライダーにはお馴染みのツーリングエリア。アドベンチャーバイクにふさわしい景色の中で極上の撮影できるはずと、このスズキVストローム250のロケ地に設定した。

仕事の都合で撮影の前日の深夜に福島市内の宿に入ることになった。寝る前に早起きが好きな編集者と明日の撮影の打ち合わせをする。

「磐梯吾妻スカイラインのつばくろ谷で、日の出の時間にシャッター押したい。午前4時に出発な。出発ってのはホテルの部屋のドアを出る時間じゃなくて、Vストのクラッチをミートする時間だぞ」と笑いながら就寝した。

翌朝4時。明るくなり始めた空一面に残酷な分厚い雲。

行き先である山は白く煙って見えない。ポツポツ雨も降っている。

部屋に戻って二度寝した方が良いかも知れないが、チェックアウトを済ましているので、しようがなくクラッチミート。

福島市内は標高70m。目指すつばくろ谷は1,200m。

山を上り始めてほどなく霧というか雲というか、とにかく目の前は真っ白に。

雨でも雪でも写真は撮れるが、霧だけはまずい。だってバイクが写らない。

「まいったなぁ」と思いつつ、半分は「もしかしたら」と諦めきれない気持ちがある。

それが標高が上がるにつれて、期待感が確信に変わった。

「こりゃスゲー写真が撮れるかも……」

Vストに乗ってる編集者も同じ気配を感じてか、スロットルが一段と開いている。

雲を突き抜け、もう乾いた山道を登り、ツバクロ谷に着くと大雲海が広がっていた。

画像1: 多少の無理が、得も言われぬ絶景を引き寄せる……こともある

太陽はちょうど雲から上がったばかりで、真横から不動沢橋を照らしている。

俺以外にも景色写真を撮ってるカメラマンがいたので、ツバクロ谷は頻繁にこういう景色なのかも知れませんが、感動症の俺は「十年に1度の大絶景かも」と思いながらシャッターを切った。

ツーリングの早起きは三文ならぬ、一生の徳ってことがある。

写真・文:柴田直行

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【カメラマン 柴田直行/俺の写真で振り返る平成の名車】

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