BMWのお家芸であるGTツアラー、R1200RTが2014年にモデルチェンジを果たした。GS譲りの水冷ユニットを新シャシーに搭載、装備も大きく充実し、ライバルの一歩先を行く完成度を誇っている。その実力を試乗しながら検証していこう。

快適性だけでなく愉しさも満喫できるのがRTらしさ

このところGS系やS1000系の話題が多いBMWだが、個人的に「らしさ」と「ならでは」を強く感じるのはRT系だ。

長距離走行時の圧倒的快適さに加え、オートバイを駆っている確かな充実感も与えてくれる。

新型RTに搭載された水平対向2気筒エンジンは、先にモデルチェンジを受けたR1200GSと同じ水冷ユニット。

画像: ●最高出力:125PS/7750rpm ●最大トルク:12.74kg-m/6500rpm ■価格:255万9000円(消費税8%込み)

●最高出力:125PS/7750rpm
●最大トルク:12.74kg-m/6500rpm
■価格:255万9000円(消費税8%込み)

旧空冷ユニットよりも大幅にパワーアップしたが、最大出力発生回転数は同じ。パワーカーブは極低回転からトップエンドまで直線的になった。

エンジンを変更したメリットは走り出してすぐに実感できる。

発進加速では274㎏という車重が信じられないほど軽快で、フル加速ではスポーツモデルのように豪快に伸びていくから、タンデム+荷物満載の高速クルージングでも山岳路ツーリングでも余裕たっぷりの動力性能。

100㎞/h時は約3400回転で、水平対向2気筒独自の優しくて力強い鼓動を味わえる。これこそがどんなに走っても飽きないRT独自の世界なのだ。

画像1: 快適性だけでなく愉しさも満喫できるのがRTらしさ

ハンドリングは当然ながら安定性重視の設定で、高速道路走行は文句なしに快適。

しかし浮遊しているようなスムーズさではなく、路面やトラクションの状態、サスの動きが明確に伝わってくる。

単にどっしりしているのではなく、しっかり地に足が着いたフィーリングがさらなる安心感を与えてくれる。

画像2: 快適性だけでなく愉しさも満喫できるのがRTらしさ

峠道でもトラクションコントロールのASCとセミアクティブサスのダイナミックESAをスポーツ寄りのセッティングに切り替えれば、同クラスのスポーツネイキッドモデル以上にシャープな走りが可能。

しかも現実的なパワーバンドが広いので、ギアの選択を間違えてもスムーズさを失わない。

便利なのが新装備のシフトアシストPRO。

シフトアップ時は従来のオートシフターと同じだが、シフトダウン時もペダルを踏み込むだけで瞬間的にブリッピングして回転を合わせてくれ、エンジンブレーキのショックはゼロに近い。

画像3: 快適性だけでなく愉しさも満喫できるのがRTらしさ

このセミオートマチック的なシステムも疲労を抑える有効な要素だ。

全体に穏やかな性格で市街地でも扱いやすいが、真価を発揮するのは500㎞以上のロングディスタンス。

同じようにひたすら快適な大型ツアラーは他にもあるが、単に疲れないだけでなく、ライダーにもっと走りたいと思わせるのが新型R1200RTの魅力。

多くのユーザーが迷わず指名買いするという事実も大いに納得できる。

主要諸元
●全長×全幅×全高:2222×982.8×1415.6mm 
●ホイールベース:1485mm 
●シート高:760/780mm
 ●車両重量:274kg 
●エンジン形式:空液冷4ストDOHC4バルブ水平対向2気筒 
●総排気量:1169cc 
●ボア×ストローク:101×73mm 
●圧縮比:12.5 
●最高出力:125PS/7750rpm
 ●最大トルク:12.74kg-m/6500rpm 
●燃料供給方式:FI 
●燃料タンク容量:25L
●キャスター角/トレール:NA/116mm 
●変速機形式:6速リターン 
●ブレーキ形式 前・後:φ320mmダブルディスク・φ276mmディスク 
●タイヤサイズ 前・後:120/70ZR17・180/55ZR17

RIDING POSITION
●身長:176㎝ ●体重:60㎏

画像1: RIDING POSITION ●身長:176㎝ ●体重:60㎏

従来モデルからハンドル、シート、ステップが各20㎜下がり、疲れにくさに定評のある乗車姿勢を損なうことなく足着き性が向上。

画像2: RIDING POSITION ●身長:176㎝ ●体重:60㎏

身長176㎝の僕だと両足のカカトまで接地し、跨ったままバックできるほどで、身長160㎝台のライダーでも無理なく扱えるはず。

DETAILS

画像1: DETAILS

K1600GTLに通じるデザインでまとめられたフロントマスク。

両サイドのライトを縁どるチューブLEDがBMWの4輪をイメージさせる。

スクリーンは電動で高さ調整が可能だ。

画像2: DETAILS

ボディに合わせてリデザインされたスタイリッシュなパニアケースは、イグニッションキーを使って簡単に着脱が可能。

外した際の美観もしっかりと考慮されている。

画像3: DETAILS

日本仕様はローシートが標準装備となり、フロントシート高は760㎜と780㎜の2段階に調整可能。

先代モデルに比べてハンドルとステップ位置もおよそ20㎜下げられている。

画像4: DETAILS

カラー液晶の高品位なメーターパネル。

ライディングモードや電子制御サスなどの設定、確認は左ハンドル部のダイヤルで行なう。

スピーカーも音質の優れた新作を採用。

●PHOTO:赤松 孝/柴田直行 ●TEXT:太田安治

公式サイト

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