低回転から効果を発揮するバイク向きの過給システム「スーパーチャージャー」

【主な機能・効果】
①単位排気量当たりのパワーを増大
②自然吸気では実現できない加速性能

 
ピストンが下降することで生じる負圧を利用してシリンダーに空気を吸い込むエンジンをNA(ノーマルアスピレーション)エンジン、あるいは自然吸気エンジンと呼ぶ。

それに対して、タービンを回してシリンダー内に強制的に空気を送り込むエンジンを過給エンジンと呼ぶ。

自然吸気で吸い込める混合気の量はシリンダー容積(=排気量)+α程度だが、空気を圧縮して送り込む過給エンジンでは、より多くの空気をシリンダーに詰め込むことができるため、それだけ爆発力が高まる。

同じ排気量でより多くのパワーを引き出せるのが過給エンジンの最大のメリットだ。

画像: スーパーチャージャー(スーパーチャージドエンジン)を搭載するカワサキNinja H2 CARBON。総排気量は998ccで最大出力は170kW(231PS)。

スーパーチャージャー(スーパーチャージドエンジン)を搭載するカワサキNinja H2 CARBON。総排気量は998ccで最大出力は170kW(231PS)。

その過給エンジンには、排気ガスの力でタービンを回す「ターボチャージャー」と、エンジンの回転力でタービンを回す「スーパーチャージャー」がある。

スーパーチャージャーは、ギアやチェーンなどを介してクランクシャフトとタービンがつながれているため、タービンの回転がエンジン回転数の変化にリニアに追従するのが特徴。

そのため、ターボに比べて低回転から過給効果が得られる、アクセルを開けてから効果が出るまでのタイムラグが無い、というメリットがある。

一方、タービンを回す力がパワーロスになる、タービンの回転数に限界があるといったデメリットもある。

80年代前半、空前のバイクブームの中で4メーカーがこぞってターボモデルを発売した時期があったが、現在過給エンジンを搭載したモデルはカワサキのH2・H2Rシリーズのみとなっている。

画像: カワサキH2に採用されているスーパーチャージャーは遠心式で、これはそのカットモデル。中央にある風車がインペラーと呼ばれる、過給圧を生み出す風車だ。

カワサキH2に採用されているスーパーチャージャーは遠心式で、これはそのカットモデル。中央にある風車がインペラーと呼ばれる、過給圧を生み出す風車だ。

画像: インペラーは高い精度が求められるため、カワサキはこれを内製。アルミ合金から削り出しで製作することで、高い耐久性と品質を確保することに成功している。

インペラーは高い精度が求められるため、カワサキはこれを内製。アルミ合金から削り出しで製作することで、高い耐久性と品質を確保することに成功している。

画像: エンジンから動力を取り、その回転数を高めてインペラーを回すため、インペラーの駆動には遊星ギア方式が採用され、最高13万回転という驚異の高回転化も実現した。

エンジンから動力を取り、その回転数を高めてインペラーを回すため、インペラーの駆動には遊星ギア方式が採用され、最高13万回転という驚異の高回転化も実現した。

This article is a sponsored article by
''.