中型バイクとして非常にレアなクロスオーバーモデル、ホンダの400Xが大きく進化した。最大のハイライトはフロントの19インチ化で、アドベンチャーモデルらしい、高い走破性を獲得。スタイリングもさらに洗練されたものとなり、存在感を大きく増した充実進化となっている。気になるその実力を試乗検証してみよう。

フロント19インチの採用で、走りの世界を広げた本格クロスオーバー

市街地から郊外の道路、高速道路を経て峠道……。ツーリングシーンではさまざまな道を走るが、さらに未舗装路の走破性までも備えたクロスオーバーモデルが400Xだ。

画像1: フロント19インチの採用で、走りの世界を広げた本格クロスオーバー

俗に「アドベンチャー」と呼ばれるモデルは、高速走行時の余裕とロングランの快適さを謳った大型車が多いが、平均的日本人の体格と体力ではその大きさと重さを持て余す。

最近は250㏄クラスにもアドベンチャーモデルがラインアップされ始めたが、排気量の小ささゆえに常用回転数が高く、ギアチェンジ操作も増えるので、せわしなさがあるのも事実。「日本国内には400~800㏄程度のミドルクラスが適している」とよく言われるのはこのためだ。

400XはロードスポーツモデルのCBR400Rの兄弟車だが、単なる外装の変更でアドベンチャーを装っているのではない。

画像: Honda CBR400R

Honda CBR400R

足回りの設定やライディングポジション、エンジンのパワー&トルク特性に至るまで、ツーリングユースを前提に専用開発されている。

画像2: フロント19インチの採用で、走りの世界を広げた本格クロスオーバー

そして2019年3月22日に発売開始されたこの新型は、フロントホイールを従来の17インチから19インチへと大径化。未舗装路での走破性を高めるとともに、見た目の迫力も増している。

19インチ化によってフロントは高くなったが、同時にキャスター角も増やされたため、車体姿勢は「少し前上がりになったかな」という程度。だが、走り出せばハンドリングが穏やかになっていることがわかる。

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大径化によって前輪のジャイロ効果が大きくなり、寝かせたキャスター角と増えたトレール量で直進性が高められているからだ。急な横風を受けたり、大きめのわだちがある路面を通過した際の安定性は明らかに高くなっている。

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それと引き換えに、クイックに曲がろうとすると車体を寝かし始めてからフロントタイヤが内側を向くまでの反応が遅く感じるが、これは前モデルがロードスポーツ的なハンドリングだったため。アドベンチャーとしては新型のほうが安心感があって疲れない。

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ただ、これは峠道が退屈、ということではない。減速でフロントフォークを沈ませたまま寝かし込めば素直に旋回するし、下りコーナーでの安定性も高い。ステップが接地するバンク角でのタイヤグリップ力も充分だ。

エンジンはCBR400Rと同様に、吸気バルブのタイミングとリフト量の変更で中回転域でのトルクをアップ。

画像6: フロント19インチの採用で、走りの世界を広げた本格クロスオーバー

最高出力発生回転数も500回転下がり、全体に中低速での力強さを増強している。

荷物満載のキャンプツーリング、タンデムライディングといった負荷の大きい状況ではこの特性がありがたく感じるだろう。

画像7: フロント19インチの採用で、走りの世界を広げた本格クロスオーバー

2気筒の鼓動感は薄いが、50㎞/hのクルージングでも6速ホールドのままで大丈夫だし、6000回転程度までは振動もなくスムーズに回るから、高速道路のクルージングはすこぶる快適だ。

快適という点では、上体がほぼ直立になるアップライトなポジションと、前モデルより20㎜延長されたスクリーンの防風効果、フロントカウルの整流効果、リアサスペンションのホイールトラベル増大の合わせ技で、大型アドベンチャーモデルに匹敵する乗り心地の良さも印象的。

細かいところではハンドル切れ角が38度と大きめなことも取り回しやすさを生んでいる。

画像8: フロント19インチの採用で、走りの世界を広げた本格クロスオーバー

総じて新型400Xは日本国内のツーリングに合った旅バイク。

純正アクセサリーとして用意されているLEDフォグランプやグリップヒーター、パニアケース、トップケースなどを装着すれば実用性、機動性はさらに上がる。

高速道路を降りて山道に入り、ダートを走った奥にある秘湯を目指す、といった夢が膨らむ一台だ。

文:太田安治/写真:南 孝幸、島村栄二

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