そろそろ鈴鹿8時間耐久ロードレースの体制発表がぽつぽつ……そんな春の終わりです。
あのメーカーは「うちはまぁ、だいたいわかるでしょ?」とか「うち、まだ候補メンバーすら決まっていないんです」「うちは今年…ちょっといつもどおりにはいかなさそうです…」とかなんとか、関係者も簡単に口を割ってくれないんですがw、国内トップチームのうち、まっさきに正式発表したのはカワサキでした! 去年もそうでしたよね、釈迦堂監督(当時)が、3月末の東京モーターサイクルショーで発表したんでした!

画像: 2018年の鈴鹿8耐 ポールポジションを獲得したのはカワサキTeamグリーンでした

2018年の鈴鹿8耐 ポールポジションを獲得したのはカワサキTeamグリーンでした

その2019年、カワサキトップチームは「今年は、優勝するためにファクトリーチームで参戦します」と正式発表! ついに!です。やっと!です。とうとう!なのです。
ライダーは、2015~2018年、4年連続ワールドスーパーバイク(=WSBK)チャンピオンのジョナサン・レイと、今シーズンからWSBKに昇格したレオン・ハスラム、それに現在WSBKに、カワサキのトッププライベーターチーム「プセッティ・カワサキ」からエントリーしているトプラック・ラズガットリオグルの3人。日本人ライダーが入ってないのはちょっと寂しいんですが、これ、現在のカワサキ系ライダーの最強戦力の3人でしょう!

画像: 左上から時計回りにジョナサン・レイ、レオン・ハスラム、トプラック・ラズガットリオグル マシンは2019年型ZX-10RRで、写真はWSBK仕様の2019年モデルです

左上から時計回りにジョナサン・レイ、レオン・ハスラム、トプラック・ラズガットリオグル マシンは2019年型ZX-10RRで、写真はWSBK仕様の2019年モデルです

ここでちょっと解説。カワサキは去年もレイ&ハスラム出てたんじゃないの? ラズガットリオグル(読みにくい、書きにくいからどっかでニックネームつけましょうw)が加わっただけでは?って思う方もいらっしゃるでしょうが、去年は「カワサキチームグリーン」での参戦。今年は「カワサキレーシングチーム」(=KRT)です。KRTでの参戦は2001年以来、18年ぶりです!
ちょっとわかりにくいんですが、カワサキチームグリーンっていうのは、いわばプライベートチームのチームグリーンに、カワサキがサポートしている状態。これは、カワサキの販売会社である「カワサキ・モータース・ジャパン」(=KMJ)のトップチームということで、カワサキ本社、つまり川崎重工(=KHI)は関与はしていても、運営はしていない、ってことです。
たとえば、うーん、例えが難しいけど、クルマのレース、たとえばスーパーGTで「トヨタワークスチーム」ってものがあったとしましょう。それを、トヨタ自動車本社が運営(つまりレース活動をね)しているか「トヨタ自動車東日本」が運営しているか、ってことです。もちろん架空のお話ですよ? トヨタ自動車東日本が運営していたって、トヨタ自動車はサポートするでしょうし、それでもトヨタ自動車ワークスチームじゃありませんよね。
カワサキチームグリーンっていうのは、その「トヨタ自動車東日本」によるレースってことです。カワサキレーシングチームとしての運営となると、予算も人員も違うし、何よりワークスチームによる運営っていうのは影響が大きい。鈴鹿8耐では、カワサキトップチームは、「チームグリーン」として2016~17年に2位、「カワサキチームグリーン」として18年に3位表彰台を獲得しました。18年に「カワサキ」って文字がチーム名に入ったのは、本社の関与の具合が増したってことです。

画像: 2018年の鈴鹿8耐車 実はカウルノーズ部分に、「川重」マークが入っています これは、KRTのレース活動のみに許された栄光の川崎重工マーク 昨年から実は、少しずつ準備していたんですね…(写真/折原弘之)

2018年の鈴鹿8耐車 実はカウルノーズ部分に、「川重」マークが入っています これは、KRTのレース活動のみに許された栄光の川崎重工マーク 昨年から実は、少しずつ準備していたんですね…(写真/折原弘之)

それでも優勝できなかったから、19年は「KRT」での参戦ってことです。もう負けが許されない、ワークスチームでの参戦ってのは、そういうことです!

画像: 給油タイミング直前のガス欠、そして雨の中のスリックタイヤでのスリップダウンと、実は著しくプライドを傷つけられたであろうスーパーバイクキング ジョナサン・レイ 世界中のカワサキファンがリベンジを待ってる

給油タイミング直前のガス欠、そして雨の中のスリックタイヤでのスリップダウンと、実は著しくプライドを傷つけられたであろうスーパーバイクキング ジョナサン・レイ 世界中のカワサキファンがリベンジを待ってる

ジョナサン・レイ(32・イギリス)
「カワサキからまた鈴鹿8耐に参戦できるのをうれしく思います。8耐は心の中でとても大きな存在ですからね。戦闘力の高かった去年のチームグリーンでの参戦から、もう一段、上を狙っていきます。去年、僕らは充分なスピードがあったけど、ちょっとミスをしてしまった。今年は、そのミスからきちんと学んで、過去にないくらいの準備をしていこうと思う。鈴鹿8耐っていうのは、世界でも最も過酷でエキサイティングなレースのひとつ。気温36℃でレースするなんて、ライダーとマシンにとっての、最高のテストだよ! 僕は挑戦するのが大好き、日本のファンのみんなと過ごすのが大好きだし、待ちきれないよ!」

レオン・ハスラム(35・イギリス)
「鈴鹿8耐って、すごいレースで、僕にとってカワサキのライダーとして出場するのは4年目になるね。今までもいいレースはしてきたけれど、8時間のうち僕が5時間半も乗ったことがあったのもいい思い出だね。去年、ジョナサンと組んで、僕らはちょっとした問題が起きるまでレースをリードしていた。毎年のように表彰台に乗ってきて、どんどん戦闘力が上がってきているのを感じている。きちんとテストをすれば、いいレースができるだろうし、最終的には表彰台の一番高いところに上がれると思う。僕とジョニーはセッティングのリクエストも似通っているから、ふたりが組むと、いいレースができる。あとは、どんな戦術で戦うかだよね。すごい楽しみにしているよ!」

トプラック・ラズガットリオグル(22・トルコ)
「僕にとってのドリームチーム! いつでも準備はできているし、この先、どうなっていくか楽しみにしています。僕は今まで鈴鹿8耐のファンで、出場するのは今年が初めて。ジョニーとレオンとチームが組めるなんて、本当にラッキーだし、信じられない! 去年、初めて全日本選手権にスポット参戦したんだけれど、チームは僕が乗ったバイクを、耐久用タンク以外は鈴鹿8耐仕様に近いんだって説明してくれた。WSBK仕様との大きな違いは、ブリヂストンタイヤだよね。あの鈴鹿サーキットで、それも8耐に出られるなんて夢のようだよ」

画像: ポールポジションからスタートした2018年、ヤマハ、ホンダに次ぐ3位でレースを終えたカワサキ

ポールポジションからスタートした2018年、ヤマハ、ホンダに次ぐ3位でレースを終えたカワサキ

これで現時点では、カワサキが鈴鹿8耐優勝への大本命。だって、まだ他のチームは発表もしていないからね。当然、他のメーカーも鈴鹿8耐へのチーム体制を固めている最中か、すでに固まっていて発表待ちか、って段階。まだなにも決まってない、なんてことあるはずがありません。鈴鹿8耐まであと3か月。準備の遅れは、そのまま成績につながらないってこと。

画像: 昨年のカワサキチームグリーン 今年、渡辺一馬(写真右)はKRTに加入できず、おそらくカワサキチームグリーンからの参戦になりそう 一馬、KRT入りを目指すんだ!

昨年のカワサキチームグリーン 今年、渡辺一馬(写真右)はKRTに加入できず、おそらくカワサキチームグリーンからの参戦になりそう 一馬、KRT入りを目指すんだ!

このカワサキの発表で、ホンダ、ヤマハ、スズキはどう出てくるんでしょうか――。さてWebオートバイでも、ここから鈴鹿8耐ニュースがどんどん増えるでしょうね!^^ 
We can’t wait too!

画像: 今年のグランドスタンドは緑の旗でいっぱいになるでしょう!

今年のグランドスタンドは緑の旗でいっぱいになるでしょう!

写真/EWC カワサキ 折原弘之 中村浩史 文責/中村浩史

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