画像: HSRレースクイーンは美坂美沙さん(左)と小雨さん。パドックウォークに表彰式に、がんばりました♡

HSRレースクイーンは美坂美沙さん(左)と小雨さん。パドックウォークに表彰式に、がんばりました♡

この週末は九州・熊本、HSR九州に行ってきました。ん? 全日本ロードレースって、先週もてぎで開幕したんじゃなかった? しかもHSRってミニコースじゃ?って思ってくれたあなたは正解。この週末、HSRはオフロードコースの方で、全日本モトクロスの開幕戦が開催されたのです。

月刊オートバイ、それにWebオートバイっていうと、オフロード関連のニュースは「off1.jp」なんじゃないの?ってお思いでしょうが、今回は編集部ナカムラも取材に行ってまいりました。

題して「モトクロス素人観戦記」です。もちろんナカムラ、モトクロス素人なわけでもないんです。かろうじて全日本モトクロスのリザルトはウォッチしているし、取材にも年に1回……いや2年に1回は行きます。

でもまぁ、そんなんではまるで最新情報に疎い、と。off1.jpみたいにキッチリしたレポートでもないんですが、レースレポートはそっちを読んでいただくとして、こちらは「モトクロス、観に行ってみたいけど、よくわかんない」って人、ちょっとだけ参考になると思います(笑)。

画像: 各メーカートップチームのピット。ロードレースと違ってオープンな雰囲気で、ピット中にいるライダー、よくファンのみんなとお話してました

各メーカートップチームのピット。ロードレースと違ってオープンな雰囲気で、ピット中にいるライダー、よくファンのみんなとお話してました

画像: イベントやピット内など、ファンとマシンやライダーの距離が近いのがモトクロスの魅力ですね

イベントやピット内など、ファンとマシンやライダーの距離が近いのがモトクロスの魅力ですね

まず、全日本モトクロスのこと。レースというと、やっぱりロードレースの方がメインで、全日本選手権というとロードレース、ってイメージが先に来ると思います。全日本モトクロスは年間8戦行なわれていて、いま北海道はなくなっちゃったけど、北は岩手・藤沢スポーツランドから、南は熊本・HSR九州まで、全国6つのコースで開催されています。

ついこの間まで北海道・わっさむでやっていたし、何年間か沖縄で開幕戦も行なわれてましたよね。その意味では、実はロードレースより地元MFJと連携が取れていて、全国あちこち広範囲で行なわれているレースなんですね。

クラスはまず、IA1/IA2/IBオープンがあって、それにレディスクラス、ジュニアクラス、チャイルドクラスがあります。

IAっていうのは国際A級の略で、IA1は国際A級450ccクラス、2ストローク時代でいう国際A級250ccクラスですね。

IA2は国際A級250ccクラス、2スト時代の国際A級125ccクラス。

IBは国際B級で、オープンっていうのは250cc/450ccクラスが混走するってこと。

ほとんどの場合は、IA1とIA2、IBオープンが2ヒート制で、土曜に予選、日曜に決勝、ってパターン。

開幕戦は、土曜にIBオープンの決勝ヒート1が行なわれました。

画像: IA1クラスヒート1は日曜午前、雨が降る前に行なわれました スタートから400山本鯨が飛び出してる、の図

IA1クラスヒート1は日曜午前、雨が降る前に行なわれました スタートから400山本鯨が飛び出してる、の図

開幕戦の舞台となったHSR九州は、ホンダの熊本製作所に隣接している敷地で、オフロードコースとサーキットコース、それにミニコースやクルマのドリフトやってるようなドリームコース、おまけに野球場もあります。ロードコースでいう鈴鹿サーキットみたいなものかな、当たってないけど遠くはないかも。

このHSRオフロードコース、実は前にも取材に来たことがあって、でもそれ15年くらい昔の話w。HSRは2014年にリニューアルされ、その時のコースとはレイアウトどころかコース全長すら変わっていて、パドックもきれいになってました。

モトクロスを開催するコースっていうと、山の中の立地条件ってイメージがあると思うんですが、そうでもないんです。熊本空港からだと、クルマで30分くらいかな。コースのすぐ脇までアスファルト舗装があるから、泥の中ぬたぬたになって進んで行って、ってこともナシ。きれいに整備された砂利道で観客席までだって行けます。

クルマやバイクで観戦に行くと、お客さん用の駐車場が、HSRロードコース側に設けられています。1日500円だったかな。そこにクルマorバイクを停めて、会場まではシャトルバスが出ています。この会場入り口で入場料を払うんですね、これが土日通しで3800円かな、前売りでは2800円。これは前売りを買って、土日2日間行かないと^^ 中学生以下は無料です。

会場に入ると、まずチームのテントが並んでいるパドックがあって、基本はパドック入場フリーです。ロードレースだと、パドックは別にパス(=パドックエリア限定の入場券)を購入しないと入れないことがほとんどですから、モトクロスの方が、ライダーやチームスタッフとお客さんとの一体感がハンパないです。

あちこちで、選手とファンの方が話していたり、メディアの人が取材していたり。ひょいと覗けば、レーシングマシンであるモトクロッサーが展示されていたり、整備していたり。この点でも、ロードレースより垣根が低い感じがします。

現在、全日本モトクロスにはホンダ/カワサキがワークスチームを出場させていて、ヤマハは育成チーム扱いのヤマルーブレーシングがエントリー、これはロードレースも同じ。スズキは2018年から全日本、世界選手権ともワークス活動なし。かわりにSRMマウンテンライダーズがスズキのトップチームとして活動して、同じくKTMも福山のうず潮レーシングがトップチームを運営します。

レース距離は周回数ではなく、トップカテゴリーのほとんどの場合「30分+1周」。これ、ロードレースでは「20周」とか周回数で決まってますね。ロードレースでは1レースの距離は時間はまちまちだけど、モトクロスはほぼ平均的、ってことになります。これ、多少の雨が降ってコンディションがヌタヌタになっても、スケジュール変更はせずに済みますもんね。ロードではウェットレースになると「×周減算」ってことがよくあります。

画像: これがHSRの魅力! ジャンプの向こうに阿蘇の雄大な山々が見えます 走ってみたい、こんなとこ

これがHSRの魅力! ジャンプの向こうに阿蘇の雄大な山々が見えます 走ってみたい、こんなとこ

しかしHSR九州、スゴいハイスピードコース! これまで全日本選手権が開催される国内のモトクロス場はだいたい行ったことがあるつもりですが、ストレートが何本もレイアウトされたHSR、開け開けで平均スピードも国内屈指のコースなんだと思います。特に観に行く回数が多いのは川越や菅生ですが、それよりも明らかに広くてハイスピードですね。

土質もきれいで、サラサラでもドロドロでもない、粘土質過ぎない、すごいグリップしそうなダート。これは走ってないからわかんないけどね(笑)。

そして何より、景色がいい! だってコース前半は、視界の先に阿蘇の雄大な景色が広がってるんです。この雄大さ、ロードコースで言うと、オートポリスとかスポーツランド菅生とか、そういう感じです。ヨーロッパっぽいなぁ、走ったら気持ちいいんだろうなぁ、って何回も思って、走行写真にも背景に阿蘇の山々を入れてみたりね。

画像: 両ヒート優勝を決めた2017年IA1チャンピオン山本鯨(チームHRC) 18年は最終戦でチャンピオン獲り逃がしましたが、好発進! HRCはヒート1で表彰台を独占しました

両ヒート優勝を決めた2017年IA1チャンピオン山本鯨(チームHRC) 18年は最終戦でチャンピオン獲り逃がしましたが、好発進! HRCはヒート1で表彰台を独占しました

画像: IA1ヒート1はチームHRCが表彰台独占! ヒート2はレース序盤に富田俊樹(写真左)はコースアウトしてドロップ、成田亮(写真右)が2位に、3位に星野優位(bLU cRU レーシングチーム鷹)が入りました

IA1ヒート1はチームHRCが表彰台独占! ヒート2はレース序盤に富田俊樹(写真左)はコースアウトしてドロップ、成田亮(写真右)が2位に、3位に星野優位(bLU cRU レーシングチーム鷹)が入りました

ちなみに、今回の開幕戦では、土曜に各クラスの公式練習と予選があって、IBオープンのヒート1決勝が行われました。日曜は、各クラスの公式練習と、決勝レース。

やっぱり日曜がお客さんの数が多くて、駐車場の台数の感じでは、土曜の5倍? 今回、日曜は天気予報も悪くて、朝10時からポツポツ、お昼過ぎにはガッツリ降ったんですが、それでも2日間で7100人のお客さんが観戦に来てくれていました。

画像: IA2は横山遥希(グリーンクラブ&パーク神戸RT)が両ヒート優勝! ヒート2終盤の平田優(チームabe-G)との接近戦は楽しかった!

IA2は横山遥希(グリーンクラブ&パーク神戸RT)が両ヒート優勝! ヒート2終盤の平田優(チームabe-G)との接近戦は楽しかった!

画像: IA2は2位と3位を入れ替えてこの3人の顔ぶれのまま 左はプライベートな問題でレース活動を自粛していた平田優。表彰式でコメントを求められて「自分の不注意で問題を起こしてしまってご迷惑をおかけしました。またこうやって走れるようにサポートしてくれたみなさんに……」と涙

IA2は2位と3位を入れ替えてこの3人の顔ぶれのまま 左はプライベートな問題でレース活動を自粛していた平田優。表彰式でコメントを求められて「自分の不注意で問題を起こしてしまってご迷惑をおかけしました。またこうやって走れるようにサポートしてくれたみなさんに……」と涙 

画像: IBオープンは佐野雄太(グリーンクラブ331レーシングチーム)が両ヒート優勝! 佐野、まだ17歳!

IBオープンは佐野雄太(グリーンクラブ331レーシングチーム)が両ヒート優勝! 佐野、まだ17歳!

ロードレースと違って観戦スタンドも常設でなく、テントやベンチ、それにコース周囲で観戦するのがモトクロスの流儀なのに、それでも7100人ってものすごい人口密度。きっと土曜1000人、日曜6000人ってくらいの目安じゃないかな。

土曜→日曜とスケジュールが進んで、日曜には雨になって、未舗装のパドックもドロドロになっちゃったけど、観戦に来ているお客さんは、ちゃんと長靴履いてたり、トレッキングシューズだったり、きちんとレインウェアを持ってたり、観戦に慣れてるな、って感じ。

それに、モトクロスって、チャイルドやキッズクラスがあることで子どもの数が多く、参戦している子どもたちには親御さんがついているわけで、家族ぐるみで観戦に来ていたり、参加している、ってケースがものすごく多い。

これ、ロードレースじゃ決して見られない特徴ですね。お兄ちゃんが出てるから観戦に連れてこられた弟が、そのうち自分も出るようになって、IB→IAに進んだり――。そういうケース、少なくないと思います。

ここが、ロードレースとの大きな違いだと思いました。子どもたちがたくさん観戦、参戦していて、それが将来につながっていく、と。ロードレースでは、ミニバイクやポケバイ、74Daijiroがあるけれど、それは違う日、違う場所で開催されるから、全日本のサーキットに子供の姿は少ないですから。

画像: レディスクラスは本田七海(写真中央・チームKOH-Z)が優勝! 2位に川井麻央(写真左・TEスポーツ)、3位に竹内優菜(写真左・チームHAMMERホンダ学園) 本田はYZ85LW、川井と竹内はCRF150Rです

レディスクラスは本田七海(写真中央・チームKOH-Z)が優勝! 2位に川井麻央(写真左・TEスポーツ)、3位に竹内優菜(写真左・チームHAMMERホンダ学園) 本田はYZ85LW、川井と竹内はCRF150Rです

レース結果はMFJのサイト

とか見ていただくとして(←まさかの責任放棄・笑)、今回の開幕戦取材は、雨に降られて、コースじゅうを歩き回ってへろへろドロドロになったけれど、帰りの便までちょっと時間があったので、帰りにHSRからクルマで20分くらいのところにある日帰り温泉に寄って、がっちり温まって、疲れを取って帰りました。さすが温泉の国、入場料は220円でした(笑)。

ほこりや泥にはまみれちゃうけど、オートバイが普段は見ないような動きをして、ざりざりに泥をひっかいてスライディングしながらレースを戦って、空中戦まであるのがモトクロス。

うわぁ、あんなふうに乗れたらサイコーに楽しいだろうなぁ、と思いつつ、それゼッタイ無理!とかなんとか。

また行きたいなぁ。空飛ぶモトクロッサー、コースサイドで見ていると、着地のショックも体に伝わってきて、鉄人のようなライダーたちも、30分+1周でへろへろになりながら戦ってる――ロードレースもいい、でもモトクロスもいい!

画像: ジュニアクラスは柳瀬大河(14歳)が優勝! マシンはRM85で、レディスクラスと同じく、4スト150、2スト85マシンが混走します

ジュニアクラスは柳瀬大河(14歳)が優勝! マシンはRM85で、レディスクラスと同じく、4スト150、2スト85マシンが混走します

次戦・全日本モトクロス第2戦は、5月11~12日の埼玉県・川越のオフロードビレッジ。

お、この日もロードレースはカブってないから、きっと取材に出かけよう! みなさんもぜひ「初モトクロス」体験してみて!

写真・文責/中村浩史

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