流行のダークカスタムでルックスにこだわったが
クルーザーとしての資質は失われていない

装飾やクロームパーツを惜しみなく注ぎ込むゴージャス路線が、ハーレーにおけるカスタムでは王道とされてきたが、昨今、若者を中心に熱い視線を集めているのが『ダークカスタム』だ。

アンチクロームとでも言いたいほどに全身をブラックアウトし、反逆心あふれる精悍なフォルムを演出。

その代表格のひとつが、このファットボーイローである。

画像1: 流行のダークカスタムでルックスにこだわったが クルーザーとしての資質は失われていない

かつてのホットロッドやチョッパーがそうだったように、発祥はやはりアメリカ西海岸。カスタムシーンを見逃さないハーレーは、若者が生み出したこのトレンドを根強い人気があるファットボーイに採り入れ、2010年にバリエーションモデル「ファットボーイロー」としてリリース。

日本のハーレーファンにダークカスタムを強く印象づけ、浸透させた。

見た目の印象はスタンダードよりも低く引き締まっているが、ファットボーイならではの強く頼もしいスタイルは健在。

跨ったときに目の前にあるのは通常のインチバーをさらに太くした1・25インチ径のファットバーで、屈強さが視覚から容赦なく入ってくるといった感じだ。

画像2: 流行のダークカスタムでルックスにこだわったが クルーザーとしての資質は失われていない

足着き性は抜群に良く、身長170㎝台なら両足カカトまでベッタリ届き、160㎝台あるいはそれに満たない非力な女性でも楽々乗りこなせるだろう。

ポジションもゆったりしたもので、人間が乗っている姿がまた様になる。

これはバイク単体だけでなく、ライダーと一体になったときのシルエットを開発陣やデザイナーが熟考した賜物と言える。

画像3: 流行のダークカスタムでルックスにこだわったが クルーザーとしての資質は失われていない

エンジンも力強い。クラッチを繋いだ途端その巨体が悠然と動き出し、わずか2000回転前後で街乗りをこなしてしまう。

トルクが太すぎる1速や2速を使うのは発進時くらいなもので、乗り手は加速と同時にシフトアップを繰り返し、一般道なら3〜5速、高速に上がれば6速キープで楽々クルージングが楽しめる。

画像4: 流行のダークカスタムでルックスにこだわったが クルーザーとしての資質は失われていない

ちなみにタコメーターは単体で装備しておらず、エンジン回転数は速度計内に埋め込まれる小さな液晶画面でギヤ段数とともに表示される。

この画面は時計やオド・トリップと共通で切り換え式。つまり回転数を目視で確認するのはそれほど重要なことではなく、自分のフィーリングで好きなように走ればいい。

画像5: 流行のダークカスタムでルックスにこだわったが クルーザーとしての資質は失われていない

空冷ビッグツインに誰もが期待する鼓動感は、高めのギヤを使ってノンビリ流すときに感じられるが、それほど強烈なものではない。

特に不快な微振動を打ち消すためのカウンターバランサーを内蔵するソフテイル専用Bエンジンはスムーズに回転が上昇し、どちらかと言えばジェントル。

だからロングランでも疲れにくいし、乗り心地も良い。

しかしテイスティさが失われているかと言えば、それは誤解で、不等間隔爆発&ロングストロークエンジンならではのドコドコ感はしっかり残っている。

Vツインの鼓動を感じながら一定速度で走れば夢心地で、どこまでも走り続けたくなるようなクルーザーとしてのDNAが強く感じられ、カスタムルックだけでなく走り込んでこそ楽しいバイクだと気づかせてくれる。

SPECIFICATION
全長:2395[2385]㎜
全幅:990㎜
全高:1095㎜
ホイールベース:1635[1630]㎜
シート高:690[670]㎜
車両重量:330㎏
エンジン型式:空冷4ストOHV2バルブ V型2気筒(Twin Cam 96B)
最大トルク:11.93kg-m/3000rpm
総排気量:1584㏄
ボア×ストローク:95.3×111.1㎜
燃料タンク容量:18.9ℓ
レーク角/トレール:31[31.6]°/147㎜
変速機形式:6速リターン
ブレーキ形式:前:ディスク 後:ディスク
タイヤサイズ:前:140/75R17 後:200/55R17

PHOTO:松川 忍/南 孝幸/関野 温 TEST RIDE &TEXT:青木タカオ MODEL:古澤 恵

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