立ち上がり重視の走り方で思わぬスポーツ性能を引き出せます(伊藤)

今回試乗したゴールドウイングは、実は以前から欲しいと思っていたバイクです。毎回のように「アレも欲しい、コレも買いたい」と言ってるから、気が多いと思われるかもしれないけど(笑)、ずっと気になっていた車輌なので、今回も、自分から「乗ってみたい」とリクエストしたんですよ。ひとつ前のモデルは試乗したことがあったけど、現行車はなかなか乗る機会がなかったんです。やっぱり、ホンダの誇るフラッグシップだし、存在感やデカさ、カッコ良さで、「これなら文句ないだろう!」感があるじゃないですか(笑)。

画像1: 立ち上がり重視の走り方で思わぬスポーツ性能を引き出せます(伊藤)

そんな、期待値がかなり高い状態で乗ったゴールドウイングですが、まず最初にタンデムで(前に)乗った時は、正直「あれ?」って思いました。エンジンも乗り心地もいいんだけど、なんでこうなんだろう…?って感じた部分がいろいろあったんですよ。

例えば、リアサスペンションはよく動くけれど、フロントがちょっとバタつく。ちょっとした溝に乗ると少しスベるような感覚もあって、インフォメーションの少なさが気になったんです。重量配分的には充分フロントに寄ってるから前輪荷重は充分なはずだし、トンガった形状のタイヤを履いてるわけでもない。なのに、前輪の荷重感が希薄なんですよ。

車重が400㎏を超えるのに、これだけハンドリングを軽くさせたのは物凄い技術だと思います。でも個人的には、もう少し前輪の重さを残した方が、安心感につながる気がしました。
駆動系については、下からトルクがあってパワーデリバリーはとてもいいのだけれど、スロットルの「ツキ」が気になりました。ミッションのバックラッシュが多少大きめで、ギアを上げ下げする際、クラッチで調整してあげないと繋がりがスムーズでない。ただ、上手く合わせればスパッと繋がるようになるし、そんな細かいところは、一般的には気にならないでしょうね。それに、そこを変えたら「大らかさ」がなくなってしまうかも。現行モデルになって長いから、ある程度の古さは仕方ないのかな、と諦めていました。

画像2: 立ち上がり重視の走り方で思わぬスポーツ性能を引き出せます(伊藤)

ところが一人で自由に乗ってみたら、そうしたネガな印象が一変してしまったんです(笑)!
その理由はタンデムとソロの違いというよりも、速度レンジの違い。ある程度速度を上げないと、本来の良さを感じづらいんだと思います。単純にダラ〜っと走るだけだとネガばかりが気になるけど、普段のバイク感覚で攻めていくと、一気に「コレ、いいじゃん!」って感触に変わる。この車重にしては操縦安定性もいい。素晴しい!と思い直しました。

エンジンの味付けも絶妙です。トルクに厚みがあるし、なんというか、ダイレクト感があってとてもいい。高回転域でトルクが乗ってくると、音もいい吹け方に変わりますね。気になっていたミッションのバックラッシュも、開けて開けて…と一定方向にドライブしていくと、まったく気にならなくなる。街中で、低速での加減速を繰り返すようなシチュエーションだと、アレ?ってなるんですね。
つまりは、攻め始めると良さが前面に出てくるバイクなんです。音もいいし、ブレーキもよく効くし、エンジンもよく回る。まっすぐ普通に走っている時と、ワインディングを走り始めた時のギャップが大きくて驚きました(笑)。

とはいえ車重があるので、アクセルをオフにしたまま曲げようとすると、フワッとはらんでしまうからちょっと怖い。なので、コーナーはゆっくりめに入って、少しアクセルを開けながら出るようにすると、安全だし、速いです。立ち上がり重視を意識すれば、とてもよく曲がるバイクですよ。

SPECIFICATION
全長×全幅×全高 2630×945×1525㎜
ホイールベース 1690㎜
シート高 740㎜
車両重量 417㎏
エンジン形式 水冷4ストOHC水平対向6気筒
総排気量 1832㏄
ボア×ストローク 74.0×71.0㎜
圧縮比 9.8
最高出力 109PS/5500rpm
最大トルク 16.4kg-m/4000rpm
燃料タンク容量 25ℓ
変速機形式 5速リターン
キャスター角 29° 50′
トレール量 109㎜
タイヤサイズ(前・後) 130/70R18・180/60R16
ブレーキ形式(前・後) φ296㎜ダブルディスク・φ316㎜ディスク
価格 240万8400円(単色・写真) 251万6400円(ツートーン)

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