大幅な進化で得た「ゆとり」全域パワーアップは偉大だ!

エンジンをマイナーチェンジした新しい690DUKEが出る……そう聞いたとき、この新型DUKEがこれほどまでに変わっているとは想像できなかった。元気が良くなってるのはもちろんだが、ずっと快適で扱いやすく、どんな状況でも今まで以上に従順で、戦闘的なのだ。

画像: 現行モデルの基本テイストを受け継ぎながら、タンクからシートカウルへと至る全体的なつながり感を考慮した滑らかなライン使いが採用された。

現行モデルの基本テイストを受け継ぎながら、タンクからシートカウルへと至る全体的なつながり感を考慮した滑らかなライン使いが採用された。

エンジンは大胆な変更が施され、従来のパーツが少し残ってる程度。排気量は同じだが、ショートストローク化して高回転化。シリンダーヘッド内にカムを一本追加するかのようなバランサーシャフトを増設。考えてみれば解るが、ミッションとクラッチ以外、ほとんどを新作しないとこれだけ変えられない。また、ライドバイワイヤー制御のFIにパワーモード切り換え、リーンアングルセンサー連動のトラコンなども搭載。

車体まわりで目を引くのは、フォークオフセットを4㎜減らしてトレールを7㎜増の122㎜にしてあること。リーンさせると自然に付くセルフステアの応答がよくなり、ハンドルへの節度も増す方向でのセッティング変更だ。このスタンタードモデルには相変わらずサスの調整機構は付いていない。だが、新型は跨がったとたんに解るほど、サスの動きがソフトで、奥ではしっかり硬くなる。

様々な走りと乗り手の暴れ具合、重さにオールマイティに適応するよう、バネの味付けが変わっている。

車重が軽くなっていることと、全域パワーアップは偉大だ。3000回転以上回していれば3〜5速でかなりスポーティに峠道を流せるし、6000回転も回せば同じクラスのマルチが1万回転ほど回しているときほどの加速をする。それに振動がバランスの取れたツインほどに少ない。回してて、流しててストレス極小だ。

画像1: 大幅な進化で得た「ゆとり」全域パワーアップは偉大だ!

ハンドリングがかなり軽快になっているのに加えて、スロットルの強弱を使ったリズムに乗った切り換えが随分と速くなった。さらにフロントアライメントの変更も利いていて、寝かし込んでからの初期旋回で、フロントの曲がりが強力。舵角も低速域や弱バンクで強くなったが、さらに寝かし込んだり、ペースが上がるとそんな感触は消える。素直だ。

ハンドルの節度も増しているので、荒れた路面を流してるときの安定性も向上。低振動エンジンと相まってロングランでは重宝する。従来型はその節度が少し軽めだった。

画像2: 大幅な進化で得た「ゆとり」全域パワーアップは偉大だ!

今回の撮影場所はかなりよく滑る路面。でも、フロントが流れようが少しバイクを起こせば容易に復帰し、リアが流れ出してもすぐにトラコンが補正する。やはり紙一重の紙がとんでもなく分厚い。これで安心して、色んな操作を繰り出せる。間違えれば補正すればいい、ラインなんてコーナーに突っ込んでから変えられる……といった様なゆとりがあるのだ。

スペックだけを見ていると、同じミドルスタンダードスポーツの中で特に目立つものはないが、こういった動きが得意な「誘惑する操縦性能を持っている」ことが魅力のスポーツモデルなのだ。足回りが桁違いに上等な「DUKE R」は、これよりすべての破綻限界が高い。が、乗り心地も扱いやすさも同等だった。

SPECIFICATION
ホイールベース 1466㎜±15㎜
シート高 835㎜
乾燥重量 148.5㎏
エンジン形式 水冷4スト
OHC4バルブ単気筒
最高出力 73hp/8000rpm
最大トルク 7.5㎏-m/6500rpm
総排気量 690㏄
ボア×ストローク 105.0×80.0㎜
圧縮比 12.7
変速形式 6速リターン
燃料タンク容量 14ℓ
ブレーキ形式(前・後) φ320㎜ダブルディスク
φ240㎜ディスク
タイヤサイズ(前・後) 120/70R17
160/60R17

走りの性能を高めた「R」仕様も継続して設定!

KTM 690 DUKE R

画像: 走りの性能を高めた「R」仕様も継続して設定!

こちらはフルアジャストで作動性のいい前後ショックを採用し、アクラポビッチのスリップオンマフラーと吸気系の形状変更でさらに2hpアップの75hpを発揮するようになった「R」。STDに対して特に優れているのは150㎞/h以上でのフルバンクの切り返し。STDは少し丁寧に扱う必要があるが、こちらは気にせず一気に操作できる。パワーモード切り換えは両車「スポーツ」を選んでも街で使える素直さがあった。

PHOTO & TEXT:宮崎 敬一郎

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