本来の上質さを活かしながらトップクラスの運動性能を発揮

近年、トライアンフのトリプルシリーズの中心は675のミドルクラスが中心だったように思うが、こちらのスピードトリプルも、しっかりと進化し続けている。

このスピードトリプルR、エンジンや基本的なフレームレイアウトを同じくするモデルが登場したのは2011年。スポーティなスペックを持った、しゃれたルックスのモデルには違いなかったが、エンジンの吹けは重厚で、ハンドリングもどちらかと言うと安定性指向。コーナリングでも初期旋回力が穏やかに立ち上がるタイプで、たとえて言うとかなり「紳士的な」スポーツだった。

画像1: 本来の上質さを活かしながらトップクラスの運動性能を発揮

この新型「R」も紳士的だ。エンジンはスロットルに従順。トリプルらしい唸るような咆哮の音量も多少控えめになった。ハンドリングは素直で思いのまま。すばらしく初期作動のいい前後オーリンズ製のサスが生む、しっとりした上質な乗り心地。バイクのイメージはかなり「オトナ」である。

だがこの新型、色気というか、ワクワクするテイストには際立つモノがある。例えばパワー。随分と吹けが軽くなっており、おおむね7000〜1万回転といったパワーバンド内でのパンチはこのクラスでもトップレベル。ライディングモードを「スポーツ」にしていても過敏ではなく、街中でも扱いやすい。

6速100 km/hではタコメーター読みで3750回転。回転は低いがモリモリしたトルクがあり、そこからの追い越しも強力。3速で2000回転だと40 km/hほどで、さらにノッキングもせずにグイグイ加速する。3速以上でこれより回転を落すとさすがにノッキング気味になるが、柔軟さと粘りを備えている上、パンチもある。

画像2: 本来の上質さを活かしながらトップクラスの運動性能を発揮

そして、極めつけがシャシーのディメンションを全て変えたんじゃないかと思わせる、運動性能の向上と抜群の接地性能。このRのサスは前後オーリンズ。タイヤだってピレリのスーパーコルサSPだが、ただ単に組み合わせたのではなく、オーリンズの開発陣とそのセッティングまで煮詰めたという。

画像3: 本来の上質さを活かしながらトップクラスの運動性能を発揮

たしかに、なるほどと納得できる走りをする。自然に強力な旋回性を生んでくれるようになっているし、外乱にもへこたれない安定性がある。トラクションコントロールも採用しているが、おせっかいなほど効くモードはなく、自然にリスクを低減させるだけに留めてくれているのも分かりやすくていい。アクセルを思いっきり開けてコーナーから立ち上がっても、オフの状態から極端にペースが落ちない。

スピードトリプルRは新型になっても、やはり紳士的なスポーツNKだった。長い市場経験の中で熟成された、その操縦感覚の中に染み付いた上質感は最高の魅力。だが、新型はそれと同時に最上級のスポーツ性能、機動性も手に入れている。上質さの中でそのスポーツ性を楽しめるのが、このバイク最大の魅力だと言っていいだろう。

SPECIFICATION
全長×全幅×全高 NA×780×1070㎜
ホイールベース 1435㎜
シート高/車両重量 825㎜/192㎏(乾燥)
エンジン形式 水冷4ストDOHC4バルブ並列3気筒
総排気量 1050㏄
ボア×ストローク 79×71.4㎜
圧縮比 12.25
最高出力 140PS/9500rpm
最大トルク 11.4㎏-m/7850rpm
燃料供給方式 FI
燃料タンク容量 15.5L
キャスター角/トレール 22.9度/91.3㎜
変速機形式 6速リターン
ブレーキ形式 前・後 φ320㎜ダブルディスク・φ255㎜ディスク
タイヤサイズ 前・後 120/70ZR17・190/55ZR17

PHOTO:南 孝幸/森 浩輔/赤松 孝

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