オールラウンドに楽しいが潜む「血筋」はやはりドゥカティ

現在のドゥカティのラインアップの中で、このスーパースポーツは、ストリート指向のオールマイティスポーツという位置づけだ。今回試乗した上級グレードの「S」は、前後オーリンズサスなどを採用している。

精悍なデザインのフルカウルで身を整えているが、ライポジはパニガーレなどよりずっとアップライト。気楽に操れるスポーツ性能と、ツーリングまでこなせる応用力の高さ、快適さを魅力としている。そのため、フレームはモンスター系の流れを汲むものを、エンジンはハイパーモタード系のテスタストレッタ°11を採用する。スポーツNK的なツブシの効くハンドリングに瞬発力あるパワーをスパイスとしてブレンドしているのだ。

画像: オールラウンドに楽しいが潜む「血筋」はやはりドゥカティ

もちろん、車体まわりもエンジンも、決して神経質な性格ではない。937㏄エンジンは、ピックアップもいいが、かなりフラットな味付けが特徴で、言ってみれば、許容回転の半分がパワーバンドみたいなもの。急激なトルク変動を起こすこともなく、5000回転からパワーがみなぎってくる。トルクバンドとも言うべき力の核は6500〜9000回転で、軽快な吹けは1万回転まで続く。

4速・3000回転からでも峠道を気持ちよく流せるトルクも自慢。超高圧縮のパニガーレ系のエンジンならこうはいかないところだが、コイツは低速回転域からよく走る。

この扱いやすさは街中でも大きな魅力になっている。5、6速で、3000回転より少し低めの回転域からでもスムーズな加速ができる。トルクもあるので、4000回転も回していればリッタークラスのマルチスポーツなどより力強い瞬発力を発揮する。振動も少なめだし、どこでも使いやすいのだ。

画像: エンジンはハイパーモタードに搭載された937㏄「テスタストレッタ11°」をベースに吸排気系をリファインしたものを搭載。

エンジンはハイパーモタードに搭載された937㏄「テスタストレッタ11°」をベースに吸排気系をリファインしたものを搭載。

前後のオーリンズはかなりソフトなバネを与えられており、乗り心地を十分に考慮した味付け。これもいい。街中から峠道でフルバンクさせるようなペースまで、見事にスムーズな初期吸収と踏ん張りを生む。路面の荒れにも強い。もし、もっとハードなスポーツランを求めるなら、フォークのプリロードを少し上げてダイブを抑えてやるだけでいい。ハンドリングのキレが良くなるし、体重移動をしっかりすれば俊敏に身を翻す。

このスーパースポーツは、使い方を選ばない、誰にでも楽しいバイクだ。しかも、それでいてスポーツレベルは非常に高い。熱い血を潜ませた「ツーリングスーパースポーツ」と言ったところだろう。

SPECIFICATION
全長×全幅×全高 2070×750×1186㎜
ホイールベース 1478㎜
最低地上高 NA
シート高 810㎜
車両重量 210㎏
エンジン形式 水冷4ストDOHC4バルブL型2気筒
総排気量 937㏄
ボア×ストローク 94×67.5㎜
圧縮比 12.6
最高出力 110PS/9000rpm
最大トルク 9.5㎏-m/6500rpm
燃料供給方式 FI
燃料タンク容量 16L
キャスター角/トレール量 24度/91㎜
変速機形式 6速リターン
ブレーキ形式 前・後 φ320㎜ダブルディスク・φ245㎜ディスク
タイヤサイズ 前・後 120/70ZR17・180/55ZR17

特別なカラーリングが誘う魅惑の世界

画像: 特別なカラーリングが誘う魅惑の世界

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