2017年の東京モーターショーに登場したPCXベースの電動スクーター、エレクトリックがついに公道デビューを果たした。コミューターの未来を先取りしたこの電動スクーターの実力を、早速試乗チェック!

バッテリーが進化すれば街の「主役」になりうる完成度

モビリティの電動化という世界的な波はモーター出力とバッテリー重量、航続距離の点で不向きとされてきたオートバイにも及んできた。ホンダのPCXエレクトリックは本格的電動バイク時代の到来を見据え、2017年の東京モーターショーで発表されたが、2018年11月30日から企業や個人事業主向けにリース販売が開始された。一般ユーザー向けの市販を見送ったのは、比較的用途が限定されるビジネスユースで走行データを収集するという実験的な側面もあるからだ。

画像: ステラの「私も乗ってみました」 さすが電動、とっても静かなのに驚きました! 本当に動くのか心配になってしまうほど静かで、走っていると普段では聞こえない、街のいろいろな音が耳に入ってくるのが新鮮でした。乗り心地はまるで氷の上を滑っているかのようにスムーズで、スーッと進む感じ。アクセルの開け始めはレスポンスが鋭くて、車体がグイッと押し出されますが、あとはスムーズで滑らか。タンデムもしてみましたが、普通に会話できるほど静かなのも印象的でした。

ステラの「私も乗ってみました」
さすが電動、とっても静かなのに驚きました! 本当に動くのか心配になってしまうほど静かで、走っていると普段では聞こえない、街のいろいろな音が耳に入ってくるのが新鮮でした。乗り心地はまるで氷の上を滑っているかのようにスムーズで、スーッと進む感じ。アクセルの開け始めはレスポンスが鋭くて、車体がグイッと押し出されますが、あとはスムーズで滑らか。タンデムもしてみましたが、普通に会話できるほど静かなのも印象的でした。

車体のベースはPCXで、見た目はグラフィックとリアフェンダー形状が変わっているぐらい。オートバイに詳しい人でなければ、電動モデルと気付くこともないだろう。気になるのは動力性能だが、18㎏/PSというパワー/ウエイトレシオはスーパーカブ50と同等。注目すべきはトルク特性で、125のPCXが1・2㎏-mを5000回転で発生するのに対し、エレクトリックはなんと500回転で1・8㎏-mを発生。現実的にはスロットルを開けた瞬間にPCX150を大きく超えるトルクが出ていることになる。

遠心クラッチが繋がるまでのタイムラグもCVT変速機構のスリップロスもないから、発進から30㎞/hまでは意外なほど力強い。それ以上の速度になると加速の勢いはなくなるが、メーター読みで60㎞/hちょっとまでは伸びる。原付二種スクーターのように交通の流れをリードするほどではないが、50㏄スクーターと同等以上の速さは確保されている。ただ、負荷の大きな登り坂やタンデムでは後続車の接近が気になるのも事実だ。

ハンドリングやブレーキ性能に関しては特に不満はない。PCXのシート下に14㎏相当の荷物を積んだ状態を想像すればいい。どの速度域でもモーターのキュイ〜ンといった高周波が聞こえるが、ガソリンエンジンに比べれば圧倒的に静かで、タンデムで走りながら普通に会話できるほどだ。

最大の懸念は航続距離。今回は都内で試乗したが、みるみるインジケーターが減っていく。メーカー発表値は満充電で41㎞だから、片道20㎞が限界。残量を心配せずに走れるのは片道15㎞までだろう。

画像: リチウムイオン電池「モバイルパワーパック」はパナソニック製。これをトランク内に2個搭載、走行時は直列、充電時は並列つなぎにして使う

リチウムイオン電池「モバイルパワーパック」はパナソニック製。これをトランク内に2個搭載、走行時は直列、充電時は並列つなぎにして使う

ただ、バッテリーとモーターは今後さらに高性能化するはず。充電インフラの整備が進んだとき、真っ先にガソリンエンジンに取って代わるのは、PCXのようなコミューターだろうと確信させる仕上がりだ。

SPECIFICATION
全長×全幅×全高 1960×740×1095㎜
ホイールベース 1380㎜
シート高 760㎜
最低地上高 132㎜
車両重量 144㎏
バッテリー種類 リチウムイオン電池
定格出力 0.98kw
バッテリー電圧 50.4V
バッテリー容量 20.8Ahx2
最高出力 5.7PS/5500rpm
最大トルク 1.8㎏-m/500rpm
一充電走行距離 41㎞(60㎞/h定地走行テスト値)
バッテリー充電電源 AC100V(単相)
原動機 交流同期電動機
ブレーキ形式 前・後 ディスク・ドラム
タイヤサイズ 前・後 100/80-14・120/70-14

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