サンクスデー、もうひとつの意味

この週末は、ツインリンクもてぎでホンダ・レーシング・サンクス・デー2018(=HRTD)が行なわれました。これは、2輪/4輪ともに、レースファンに、そしてホンダファンに向けてのファン感謝デーで、もうこれが…何回目になるでしょう。ツインリンクもてぎのオープンが1997年、たしかオープンしてすぐに始まったイベントですから、15回とか20回を数えるんじゃないかな、そんな年に一度のビッグイベントとなりました。

イベント内容は、ホンダライダーやドライバーがたくさん出席してのデモンストレーションランだったり、トークショーだったり、ファンサービスだったり。ふだん、レース時のライダーとかドライバーって、勝負前でピリッとしているケースが多いですよね。だから、シーズンオフに、そんな緊張感から解き放たれた選手たちに触れ合える、貴重なイベントなんです。

画像: ゲスト勢ぞろいの集合写真。マルク・マルケスはケガの手術で欠席しちゃいました。しょうがないね^^

ゲスト勢ぞろいの集合写真。マルク・マルケスはケガの手術で欠席しちゃいました。しょうがないね^^

けれど今年のHRTDは、2輪ファンにとって、大きな大きな、別の意味がありました。そう、今シーズン限りで現役MotoGPライダーを引退する、ダニ・ペドロサの雄姿を見られる、最後のチャンスだったのです。
実はダニ、現役を引退する今年のシーズンオフからKTMのテストライダーを務めることになっているんですが、ホンダのライダーとして、現役ライダーとしての来日はこれが最後。特にデモランとはいえ、MotoGPマシンにも乗ることが発表されていたから、ホンダMotoGPライダーとしてのダニ・ペドロサを見るのは、これが最後のチャンスだったんです。
そのダニ、もう大忙しで、サンクスデー当日を前にした土曜には、各メディアの取材やインタビューを受けて、当日にも出席イベントが目白押し! ざっと挙げても「カブミックスマッチ」「RC213V-Sドリームマッチ」「ホンダレーシング2&4」そして「ARIGATO!ダニ」という名のラストランまで、まさに分刻み、ダニにとっては忙しい日だっただろうけれど、それでも各時間を精いっぱい使って、日本のファンの前で、最後まで雄姿を見せてくれました。

画像: 何度も何度もマイクを向けられたダニ 人柄がわかる、誠実なインタビューでした

何度も何度もマイクを向けられたダニ 人柄がわかる、誠実なインタビューでした

そして、ダニといえば…

「その日ね、都内で収録あって、行けそうもないんです……」
といったのは、ダニファンでおなじみの“バイク芸人”ことチュートリアルの福田さん。以下福ちゃん、って呼びますが、今回のサンクスデーで、ダニの大ファンである福ちゃんに、ホンダさんがインタビューの機会を設けてくれたのです。
でもサンクスデー当日は、ダニはそんな分刻みのスケジュールのため、体を空けられるのはリハーサルデーの土曜のみ。もちろん、国内外のテレビや雑誌、ウェブメディアの取材申し込みがすごくて、10分、いや5分かもしれませんけど、って取材時間を作ってくれたのだ。

――福ちゃん、ダニに会えるの、最後かもしんないよ。収録終わったら飛んでおいで!
福ちゃん「そうかぁ、最後になるかもしれへんのかぁ……。よし、仕事終わらせて、飛び出しで行きます!」
そう言って福ちゃん、収録を終えて都内を出発、インタビュー予定時刻ギリギリのさらにギリギリに、ツインリンクもてぎに到着できたのでした。
――ダニさん、少し待ってて、いまあなたの大ファンか……、あ、来た(笑)
ダニ「あぁ、きみか。僕のファンのコメディアンの人だよね。アリガトウ」

画像: 「オレ史上、ダニがいちばんリラックスしてました」と福ちゃん。これまで5度、10度は会ってますね

「オレ史上、ダニがいちばんリラックスしてました」と福ちゃん。これまで5度、10度は会ってますね

そんなこんなで、福ちゃんの「さよならダニインタビュー」が実現したのでした。その模様は、月刊オートバイ2月号にてどうぞ!

さようなら、ダニ

朝夕はさすがに寒かったけれど、日中は12月とは思えないあたたかさで、土日とも好天に恵まれたツインリンクもてぎ。師走だっていうのに、なんと2万4500人ものファンがつめかけ、グランドスタンド裏とかパドックは、ほんとファンでビッシリ! 各コーナーとかスタンドに分散しない分、MotoGP日本グランプリよりも人が入ってるみたいな密度でした!

画像: レプソルカラーのスーパーカブとダニ こんなカラーのスーパーカブ、売ってほしいね♪

レプソルカラーのスーパーカブとダニ こんなカラーのスーパーカブ、売ってほしいね♪

画像: スーパーカブMixマッチに出場。見事優勝したダニ 後方はフレディ・フォレ、トニー・ボウ、高橋巧

スーパーカブMixマッチに出場。見事優勝したダニ 後方はフレディ・フォレ、トニー・ボウ、高橋巧

サンクスデーに参加したのは、2輪ロードレース組からはダニをはじめ、中上貴晶、高橋巧、高橋裕紀、清成龍一、水野涼、ジョシュ・フックにフレディ・フォレ、トライアルからトニー・ボウ、藤波貴久、小川友幸に、モトクロスからはティム・カイザー、成田亮、能塚智寛、それにチームアジアの青山博一監督、ハルクプロの本田重樹さん、光太郎さん、TSRの藤井正和さん。
4輪組は、F1にインディ、スーパーGTやスーパーフォミュラ、F2に、チーム監督と、総勢50人近くの選手、監督たち。ひいき目なしに、一番人気はダニでしたね! あとはF1ドライバーのピエール・ガスリーやGTチャンピオンのジェンソン・バトン、GTとSFのダブルタイトルを獲った山本尚貴選手――うん、やっぱダニが声援いちばん多かったような気がします。

画像: ダニが世界チャピオンとなったRS250RW(左)、RS125R このカラー懐かしいねー!

ダニが世界チャピオンとなったRS250RW(左)、RS125R このカラー懐かしいねー!

トークショーに、デモランに、セレモニーに出ずっぱりだったダニ。フィナーレ近くには、「ARIGATO!ダニ・ペドロサ」と題したラストランがあって、グランプリデビューを果たしたテレフォニカモビスターカラーのRS125R/RS250RW、そしてRC213Vでコースを走行。終わって、会場のみんなへのあいさつに、ジーンと来てしまいました。

画像: RC213Vのラストラン シーズン中のケガの治療中なのに走ってくれました

RC213Vのラストラン シーズン中のケガの治療中なのに走ってくれました

「楽しいことばっかりじゃなかったし、つらい時期もあったけれど、日本のみなさんはいつも、温かく迎えてくれて、やさしく見守ってくれて、熱い応援をしてくれました。本当に日本のことを、いつか第二のホームカントリーと思うようになりました。ありがとう。こういうすばらしいセレモニーを用意してくれて、ホンダのみなさんにも本当に感謝しています。125と250ccクラスでチャンピオンを獲った2ストロークマシンにも乗れたし、MotoGPでチャンピオンは獲れなかったけれど、すばらしい選手生活を送ることができた。これが最後じゃない、またきっと会えると思うよ」

画像: リラックスした表情が多かったダニ お疲れさまでした、ありがとう!

リラックスした表情が多かったダニ お疲れさまでした、ありがとう!

グランプリデビューから18年。たくさんの栄光と、たくさんの挫折。度重なるケガと、心に残るレース――。さようなら、ダニ。日本を愛してくれてありがとう。ダニのライダーキャリアについても、福ちゃんのインタビューとともに、月刊オートバイ2月号でお送りします!

撮影・文責/中村浩史

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