世界選手権レベルの実力を誰でも買える贅沢なマシン

毎年リリースされるモトクロス競技専用マシン。ヤマハの場合はYZシリーズだが、18モデルとなった、最大排気量の450Fは、フルモデルチェンジでの登場となった。

考えてみれば、このモトクロッサーというのは実に贅沢なバイクだ。アメリカの最高峰スーパークロスや、ヨーロッパでの世界選手権に出ようと思えば出場できる性能を持ったバイクが、さほど特別ではない値段で購入できるのだから。もちろんワークスマシンは別物だが、そのベースとなっているのは、この市販モデルなのだ。

18モデルは、基本設計を17モデルから踏襲しつつ、フレーム、エンジン、サスペンション、全てにおいて変更された、いわば究極のリファインモデル。全くの別物だ。

画像: オフロードマニアの「走る欲望」をかき立てるマシン、というコンセプトのもと、持ち前の軽さ、コンパクトさを感じさせ、ライダーにフィットするスタイリングを採用。

オフロードマニアの「走る欲望」をかき立てるマシン、というコンセプトのもと、持ち前の軽さ、コンパクトさを感じさせ、ライダーにフィットするスタイリングを採用。

さて、誰でも買える、とはいえ、最大排気量の450㏄ともなると、いくらリッターバイクに乗り慣れたライダーでも、一筋縄ではいかない。アクセルを開けた瞬間から解き放たれる強烈なトルクに肝を冷やすはずだ。

しかし、オフロードライダーからすると、それは強烈だが乗りやすくもある。というのも、一度アクセルを開けて、加速状態をつくれば、そこからのトルク変動が少なく、ぎくしゃくすることが少ないからだ。

新型は車体のスリムさが際立つ。とにかく細くするために、車体で約2㎝もスリムにしている。ワンランク下の250、とまではいかないが、またがった瞬間に細い! と感じる車体だ。サスペンションは、当日のコースが硬い路面だったので、ややハードに感じたが、それはセッティングでいかようにでもできるし、それ以上にストローク感がしっかりしている。軽い車体とあいまって、ドンドン走っていけそうな気分になる。

画像: シリンダー径を拡大し、ミッドスピードバルブをコイル式からリーフ式に変更したフロントフォークは、スタビリティと衝撃吸収性を一層向上させたもの。

シリンダー径を拡大し、ミッドスピードバルブをコイル式からリーフ式に変更したフロントフォークは、スタビリティと衝撃吸収性を一層向上させたもの。

そして、この450最大の目玉は、スマートフォンと接続してセッティングを変更できること。従来は専用のモニターが必要だったが、新型はスマホからアプリをダウンロードして、Wi−Fi接続するだけ。難しいデータ入力はいらない。画面にある項目を、好みのセッティングを選んで押すだけだ。

こういうユーザーフレンドリーなインターフェイスは、簡単に使えて嬉しいし、スマホに接続しているだけでも楽しくなる。エンジンの回転数などもモニタリングできるが、Wi–Fi接続の関係上、離れていても見れるわけではない。まあ、そこはモニターできますよ、程度のおまけと考えたほうがいいだろう。

最後になるが、一番重要な装備が追加されている。セルだ。今まではモトクロッサーは軽さを重視するため、キックスターターのみだったが、専用バッテリーを開発して軽量化を果たし、ついに標準装備となった。ビッグボアの4ストロークエンジンはキックでの再スタートが難しいことがあるので、これはとてもありがたい。セルがついて、17モデルと遜色ない軽さなのだから、これなら文句はない、というものだ。

SPECIFICATION
全長×全幅×全高:2185×825×1285㎜
ホイールベース/最低地上高:1485㎜/335㎜
シート高/車両重量:965㎜/111㎏
エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブ単気筒
総排気量/ボア×ストローク:449㏄/97×60.8㎜
圧縮比/最高出力/最大トルク:12.8/NA/NA
燃料供給方式/燃料タンク容量:FI/6.2L
キャスター角/トレール/変速機形式:27° 20′/121㎜/5速リターン
ブレーキ形式 前・後:ディスク・ディスク
タイヤサイズ 前・後:80/100-21・120/80-19

セッティングはWi-Fiでスマホから!

スマホに専用アプリ「パワーチューナー」をダウンロードしておけば、Wi-Fi接続で燃料/点火次期のマップ変更や、レースログ、メンテナンス情報、モニターファンクション、ダイアグコードなどを確認することができる。セッティングデータのシェアも可能で、コースや天候に応じたセットアップが簡単にできるのも魅力だ。

画像: セッティングはWi-Fiでスマホから!
画像: セッティング用に、エンジン回転数やアクセル開度をモニタリングすることも可能。

セッティング用に、エンジン回転数やアクセル開度をモニタリングすることも可能。

画像: 緑色のグラフは3次元マップ。指先でタッチしながら回転させることもできる。

緑色のグラフは3次元マップ。指先でタッチしながら回転させることもできる。

REPORT:三橋 淳 PHOTO:柴田直行

公式サイト

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