にわかにFIM規格のエンデューロタイヤが活況だ。
昨年、ISDEフランス大会を契機に発表された、ミシュランのエンデューロミディアムを皮切りに、これまで「FIM規格のタイヤは、規制で13mmしかブロックがないから、グリップ力に乏しい」という考え方があったものの、その考えが通用しないほどに評判がいいものが多い。そこで、満を持して登場したのがブリヂストン・バトルクロスE50である。

※1FIM規定:土の掘り起こしによる自然破壊を抑える為に、タイヤの溝の深さを規定したもの
(リアタイヤ溝深さ:13mm以下)。ISDEや、Enduro GPなどはFIM規定タイヤが必須。日本のJECもこの規定にあてはまるカテゴリー、レースが多い。なお、FIM規定タイヤの場合は公道走行可となる

熱が入ると柔らかくなる

そして、世界的に初デビューを果たしたのが、昨日JNCC最終戦AAGPということになる。鳴り物いりでデビューしたE50は、齋藤祐太朗らによって実戦投入された。

画像1: 熱が入ると柔らかくなる

ブリヂストンによれば「熱が入ると柔らかくなることで、ガレなどでのグリップ力が向上する」と言う。他社製ガミータイヤにも、この種の熱間に関して言及されていることもあり、この手のコンパウンドでは、今後キーフィーチャーになりそうだ。

当初ティザーが出た際に「ガミータイヤなのか!」と噂われたものの、その正体はまさかのFIM規格に準ずるエンデューロタイヤであった。

画像2: 熱が入ると柔らかくなる
画像3: 熱が入ると柔らかくなる

FIMタイヤは、欧州で厚い信頼を勝ち得ている

画像: FIMタイヤは、欧州で厚い信頼を勝ち得ている

こちらはエルズベルグロデオにおける、G・ジャービス車。ジャービスに限らず、どのライダーにも言えることだけど、スピード勝負の予選はFIMエンデューロタイヤを使う。予選はスーパーフラットなハード路面なので、19インチに履き替えてハード路面用のモトクロスタイヤを履いたほうがよさそうなものだが「NO problem」だとのこと。

さらにいえば、今年エルズベルグロデオに出た石戸谷蓮は、現地でIRCのガミータイヤを持って行ったときに、多くのライダーから「エルズベルグ本戦で本当に大事なのは、柔らかいブロックじゃない。エンデューロタイヤの、巨大なエアボリュームなのだ」と注意を受けている。「モトクロスタイヤじゃ、到底走れないぞ」と。

スピード、テクニカル、両面でいま欧州ではエンデューロタイヤが復権しているのだ。

キャッスルブロック

画像: キャッスルブロック

加えて、今作では先行するモトクロスタイヤの開発を組み込んで、E50は旧来のエンデューロタイヤと一線を画すものへ進化したとみるのが得策だろう。

<トレッドパタンの特徴>
(1) 「Castle Block(凸ブロック)」
土壌に埋まった石や丸太の上、降雨直後の路面は、非常に滑りやすくなります。「Castle Block」は、通常のブロック表面から一段飛び出たブロックを配置することで、滑りやすい路面に対してエッジ効果および接地圧を高め、グリップ力の向上を追求しています。
(2) バンカー
ブロック部が路面に埋まった状態でもブロック底のエッジ部分でトラクションを生み出します。

キャッスルブロックで、タイヤの「角」を増やすことでよりブロック間を狭めることができ、排泥性能は高い。加えて、柔らかいコンパウンドでハード路面にも十分適応する。

齋藤祐太朗は言う。
「140サイズなのですが、これだけエアボリュームがあると、マシンが石ではねられることが少なくなるフィーリングがありますね。モトクロスタイヤでは跳ねられてアクセルを戻してしまうようなところも開けたままいけるというか。

全体的にどこでもグリップしてくれて、とてもいいフィーリングでした」と。

エンデューロのタイヤカテゴリーは、とても複雑なものになりつつある。もしかすると、その複雑なタイヤウォーズに終止符をうつカテゴリーになるのかも、しれない。

※記事掲出当初、渡辺学によって実戦投入されたと記されていましたが、誤りでした。謹んで、訂正させていただきます。関係各社および読者のみなさまにご迷惑おかけいたしましたことをお詫びいたします。

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