ワインに「当たり年」があるように、スポーツバイクにも語り継がれる傑作が生まれる年がある。スズキが誇る伝統のスーパースポーツ・GSX-R1000の場合、「K5」と呼ばれる2005年式のマシンがそれだ。

スズキ「GSX-R1000(K5)」の特徴

画像1: スズキ「GSX-R1000(K5)」の特徴

GSX-R誕生から20年、最強にこだわったK5

「サーキットで勝つ」ことを絶対的使命として進化を重ねてきたGSX-R1000は、リッターマシンとなって3代目となる2005年モデルでキャッチフレーズを「RETURN TO CIRCUIT」として「K5」へフルモデルチェンジ。

20周年の節目に、あえてコンセプトの原点である「サーキットで生まれた最強マシン」というテーマに回帰すべく、各部が徹底的にブラッシュアップされた。

ヘッドライトまわりの表情や、タンク上面のプレスライン、テールカウルなど、独特のスタイリングは全長・全幅・全高、全ての外寸が短縮され、個性を主張しつつ、ひとまわりコンパクトな車体になっている。

またそれにもかかわらず、走行風がライダーを包む効果を狙った、メリハリのあるボディラインに仕上がっている。先代からあらゆるパーツが見直されたエンジンは、10ccスケールアップして998.6ccに。最高出力はハヤブサを超える178PSを発揮、ラムエア充填時には当時最高のパワーを誇ったZX-12Rすら凌ぐ184PSほどを発揮した。

画像2: スズキ「GSX-R1000(K5)」の特徴

細かいパーツの見直しで軽量化も進められ、車重は先代よりさらに2kg軽い166kgまでに削ぎ落とされ、600クラス並みの車体にハヤブサを凌ぐパワーでついにパワーウエイトレシオも1を切り、「史上最強」という呼び声の高い完成度誇っていた。

ただ、こうしたパワースペックだけがK5の魅力ではない。ボリュームあるフロント/リアカウルをそれぞれ絞り込み「くびれ」を強調するウエストラインを構成したり、ヘッドライトまわりの表情や、プレスラインを設けるなどして有機的な流れを持たせたタンク上面など、エクステリアにも並々ならぬこだわりをもって仕上げられていた。

スズキ「GSX-R1000(K5)」のメカニズム解説

※各部装備の解説は以下のA~Gを参照。

A:メーターはより多機能化され、ギアインジケーターを採用。シフトインジケーターの発光間隔調整も、従来の500回転刻みに加え、1万rpmからレッドゾーンが始まる1万3500rpm までは250回転刻みで設定可能に。

B:ギリギリまで肉抜きが施された、極細3本スポークのホイールは先代のものよりも300g軽量化。

C:カヤバ製の43Φ倒立フォークは先代同様だが、ブレーキローター径が10mm拡大したΦ310mmを採用。

D:独自のデュアルバタフライ式FIは、パワーの向上に合わせ、スロットルボア径を2mm拡大。また、多孔式を採用するインジェクターも、メインに加え、高回転・高負荷状態で作動する2次インジェクターを追加。高回転域でのパンチ力アップにも寄与した。

E:アルミツインスパーフレームは、構成自体は先代と同様だが、K5はステアリングステムからピボ
ットまでの長さを6mm短縮したディメンションとすることで、エンジンや補機類を前進させ、マスのさらなる集中化を実現している。

F:ボアを0.4mm拡大することで、排気量を10cc拡大し、999ccにフルスケール化したエンジンは、新作ヘッドやスカートを短くした鍛造ピストンを採用する他、圧縮比も12.5にアップ。ラムエア充填なしの状態で178PSという驚異のハイパワーを実現している。また、Φ29→Φ30mmに拡大されたチタン製バルブを採用し、トータルで90.4g軽量化することで、レッドゾーンは先代よりも1000rpm高回転化した。

G:サイレンサーは、マスの集中を狙い、独自の三角形スタイルを採用。これにより、先代よりも重心を50mm前進させ、45mm下げたレイアウトが可能になっている。

レースでも活躍した「K5」

K5は、キャッチフレーズである「RETURN TO CIRCUIT」が示す通り、登場とともにレースシーンでも旋風を巻き起こし、世界的なレースでタイトルを獲得。その実力を証明した。

鈴鹿8耐やル・マン24時間耐久、ボルドール24時間耐久などを含む世界耐久選手権では2005シーズン、スズキカストロールチームがチャンピオンを獲得。北川圭一は日本人初のチャンピオンという偉業を達成。

2022年モデルにも継承される「K5」のDNA

2015年にGSXファミリーに追加されたGSX-S1000とGSXS1000F。新型リッタースポーツとして当時最新鋭の装備が組み込まれた車体に選ばれたのがK5のエンジンだった。2021年、2022年とモデルチェンジされ現行モデルとなったGSX-S1000、GSXS1000GTにもこのエンジンは搭載されている。K5誕生から17年。GSXを支える心臓部としてまだまだその力を発揮するのだ。

まとめ:オートバイ編集部

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