残念な予報通り、朝から冷たい雨に見舞われたツインリンクもてぎ。全日本ロードレース開幕戦は、きょう土曜日、JSB1000クラスの決勝レース1が行われました。きのうもお伝えしたとおり、8戦13レースで行なわれる全日本ロードレース選手権、5開催は2レース制で行なわれます。
「経験がないわけではありませんが、1日で2レースやるより、2日で2レースのほうが集中力をずっとキープし続けないでいいから、各レースごとにリラックスして臨めるかもしれませんね。WSBKなんかも土日で2レース制ですから、レース数が増える分、レベルは上がると思います。ライダーみんなで、全日本のレベルを上げていけたらいいですね」と中須賀は言います。
そのレース1スタートの時間帯には、ほぼ雨もやみ、路面はウェットパッチの残るハーフウェット。これ、ライダーのみんなは「半ドラ」と呼ぶことが多いコンディションです。半分ドライ、って意味なんでしょうね。ギョーカイ用語ですW

画像: スタートシーン。#12津田が出ます 津田はその後、コースアウトしたか大きく順位を下げます

スタートシーン。#12津田が出ます 津田はその後、コースアウトしたか大きく順位を下げます

スタートはフロントロー2番手グリッドからスタートした津田拓也(ヨシムラスズキ)が好スタート。ポールシッターの中須賀克行(ヤマハファクトリー)が1~2コーナーで前に出ながら、オープニングラップは高橋巧(TeamHRC)が奪取。しかし3周目には、中須賀がトップに浮上。この中須賀×高橋のトップ争いに後方から迫ってきたのが清成龍一(モリワキホンダ)。レース開始早々、ウェットパッチの多いコースコンディションで、ブリヂストンタイヤを履く中須賀と高橋を、ピレリタイヤの清成が豪快にパス! この時の清成のラップタイムは、走行ラインも十分に乾ききっていないタイミングで、トップふたりよりも3秒近く速い、とんでもないタイムでした。

画像: 序盤トップに立った#21中須賀を追う#1高橋と、その背後に3列目10番グリッドの#72清成が迫ります!

序盤トップに立った#21中須賀を追う#1高橋と、その背後に3列目10番グリッドの#72清成が迫ります!

「僕のピレリは、路面温度が低かったりちょっと濡れていたりする路面ですごくグリップがいい。半ドラ路面で様子見しながら走っているふたりを抜くのは今だ、ってスパートしたんです」と清成。清成がトップに立つと、あまりのハイペースに、離れてはならん、とトップ勢のペースもあがり、中須賀、高橋もペースアップ。レース中盤あたりまで、清成→中須賀→高橋の順でトップ争い。
4番手に、やはりピレリタイヤを履く高橋裕紀(モリワキホンダ)がつけます。これはピレリタイヤのウェットパフォーマンスがいいだけではなく、今年のモリワキCBR自体も仕上がりがいい、という証拠でしょう。

画像: 5周目、トップに立った#23清成はレース中盤にビッグハイサイド! なんとか転倒を免れました!

5周目、トップに立った#23清成はレース中盤にビッグハイサイド! なんとか転倒を免れました!

画像: トップ3後方には#72高橋裕紀がピタリ。最後は引き離されましたが、今後に期待を抱かせます

トップ3後方には#72高橋裕紀がピタリ。最後は引き離されましたが、今後に期待を抱かせます

レース中盤、トップ争いが動きます。トップを走る清成、ピタリと追走する中須賀、やや高橋が離れ始める展開の中、清成がビッグハイサイド! かろうじて転倒を免れたものの、中須賀にかわされて2番手へ。ここが勝負と思ったか、清成をかわした中須賀がスパートし、みるみる後続との差を広げ始めます。こうなると中須賀の勝ちパターンですね。
中須賀→清成→高橋のトップ争いは、タテ長の展開から、2番手清成のレース終盤のペースが落ち始める中、3番手高橋は自己ベストを更新する走りで清成に追いつき、なんとラスト2周でファステストラップをマークしながら2位浮上。レース終盤にファステストをマーク、さらにペースが落ちすぎないのは、ライダーが乗れているか、マシンが仕上がっているときの典型。それを開幕戦で見せるとは、さすがにチャンピオン。シーズンオフに左手指を骨折して準備が出遅れていた、という高橋ですが、半ドラのコンディションにも助けられて、いいペースをみつけたようです。

画像: 絶対王者・中須賀の完全復活! 「でも最多勝よりチャンピオンがいいもん」

絶対王者・中須賀の完全復活! 「でも最多勝よりチャンピオンがいいもん」

画像: TeamHRC復帰レースで2位表彰台を獲得した高橋 「最低限の仕事ができました」

TeamHRC復帰レースで2位表彰台を獲得した高橋 「最低限の仕事ができました」

画像: 清成の日本のレースでの表彰台はいつ以来か… 「今日はラッキー。天候を味方につけられた」

清成の日本のレースでの表彰台はいつ以来か… 「今日はラッキー。天候を味方につけられた」

23周のレースを終えて中須賀が開幕戦V。2位高橋に約10秒の差をつけて、まさに圧勝。昨2017年シーズン序盤には、セミ耐久に2戦連続転倒を喫し、そのロストポイントが響いてチャンピオンを取り逃がした中須賀ですが、今年は好ダッシュ。

「去年は最多勝を獲ったけど、チャンピオンを獲り逃がした。やっぱり大事なのはチャンピオンです。今年は取りこぼししないように、チャンピオンを獲り返したい」と中須賀。
開幕前のケガで、このレースウィークが2018年CBR1000RRWの初乗りとなった高橋は「自分のミスで出遅れはしましたが、きょうは最低限の仕事ができました。手のケガも、もう普通には走れるし、23周も走り切れました。マシンは今年、初めてワークスマシンになりましたが、もっといいところを引き出せるように頑張ります」
昨2017年に日本復帰以来、初めて表彰台に上がった清成は、とにかくラッキーだった、と謙遜。「スタートはちょっと前に出られなかったんですが、そこから序盤にペースを上げて、前に出られたのはラッキーでした。ああいうコンディションではピレリタイヤのいいところを出せるし、難しいコンディションで転ばなかったのもラッキーでした。最後まで走りきれたのもラッキーでしたね」
あすの8日日曜は、JSB1000のレース2。予報では天気は回復するようなので、ドライコンディションでのレースになりそう。1開催でウェット路面もドライ路面もレースできるなんて。ライダーはスキルが上がるだろうし、見ているファンはどっちのコンディションも見られておなかいっぱい♪
2レース開催、チームやライダーは大変でしょうが、見ている僕ら、イイですね!

                            写真・文/中村浩史

全日本ロードレース選手権 開幕戦 レース1正式結果

優勝  中須賀克行 YZF-R1       ヤマハファクトリーレーシング
2位  高橋 巧   CBR1000RRW    TeamHRC
3位  清成龍一  CBR1000RR SP2  モリワキMOTULレーシング
4位  高橋裕紀  CBR1000RR SP2  モリワキMOTULレーシング
5位  渡辺一馬  ZX-10RR      カワサキTeamGREEN
6位  秋吉耕佑  CBR1000RR SP2  au・テルルMotoUP
7位  山口辰也  CBR1000RR SP2  Team SUP ドリームホンダ
8位  星野知也  BMW S1000RR   TONE RT SYNCEDGE4413
9位  津田一磨  YZF-R1       Team ベビーフェイス
10位  津田拓也  GSX-R1000     ヨシムラスズキMOTUL

This article is a sponsored article by
''.