ガチガチの3ナイ推奨高校を卒業した僕がオートバイの免許を取ったのは遅かった。もちろん原付免許だけれど、それだけでオトナになれた気がした18歳の春。

初めての愛車は、その数カ月後にバイト先の先輩に譲ってもらったCB50JX1。5000円の6回払いで譲ってもらった僕のスーパーバイクは、ワイヤー式フロントディスクブレーキで、キックアームがなく、納車初日にまず押し掛けを教えてもらった…。

それから中免&限定解除(今の普通&大型二輪免許)を経て、初めて買った大型車が、写真のGS650G。これにはいろいろ事情があって、大型免許を取ったのも、安くオートバイを買う手段のひとつだったのだ。あの頃は中型モデル全盛で、ベストセラーは、たぶんNSR250RやFZ400R。けれど、世の中の若者はみんなビンボーだったから(笑)、僕の友だちはみんな、古い不人気車でガマンしていた。そこで僕が目をつけたのは、ナナハンクラスの不人気車は、ヨンヒャクの中古よりさらに値段が安い、ってことだった。

目をつけたのは、Z2やXJ750、CBナナハンのKシリーズ、「ベコ」ことGSX750など。そして、雑誌の個人売買コーナーで手に入れたのが、4万円の不動GS650Gだったのだ。カタナシリーズの末弟と知っていたし、CB50より1万円高いだけなら、僕にもなんとかなった(笑)。ガソリンスタンドでバイトしてたセンパイに軽トラを出してもらい、そのスタンドで整備。キャブレターとタンクからガソリンを抜いて、新品バッテリーをつけたら、あっけなくエンジン始動! 車検を取って、総額10万円くらいでビッグバイク生活がスタートしたのだ。

画像: ハンス・ムート率いるターゲットデザインが、カタナより先に発表したのが650Gだった。

ハンス・ムート率いるターゲットデザインが、カタナより先に発表したのが650Gだった。

画像: GS550系の空冷2バルブ4気筒でシャフトドライブを採用していた650G。海外仕様にはチェーン仕様550Mも存在した。

GS550系の空冷2バルブ4気筒でシャフトドライブを採用していた650G。海外仕様にはチェーン仕様550Mも存在した。

僕はロッパンジーで、いろんなところへ出かけた。バイトの足はもちろん、友だちと遊びに行ったし、カノジョんちも行った。峠もツーリングも行ったし、九州を1カ月くらい放浪したのもロッパンジーだ。行きたい気持ちとロッパンジーがあれば、僕はいつでもどこへでも行けたのだ。あぁ、オートバイっていいなぁ、どこだって行けるじゃん—その気持ちは、今もときどき思い出す。

洗車の楽しさ、整備の面白さ、修理の大変さ、改造のカッコよさ、メカニズムも、愛車を大切にする気持ちも、オートバイとともに生きるすばらしさも、つらさも、寂しさも、僕はみんなロッパンジーに教わった。性能や人気なんて、まったく関係なかったなぁ。

画像: 1988年のナカムラ車。写真は九州ツーリング中に、たしか福岡の海で撮りました。

1988年のナカムラ車。写真は九州ツーリング中に、たしか福岡の海で撮りました。

SUZUKI GS650G(1981年)
●エンジン型式:空冷4ストDOHC2バルブ並列4気筒
●総排気量:673㏄
●最高出力:65PS/9500rpm
●最大トルク:5.3㎏-m/8000rpm
●車両重量:210㎏
●燃料タンク容量:23L
●タイヤサイズ(前・後):3.25H19・4.25H17

中村浩史

レースシーンからニューモデルまで、活動の幅が広いフリーランス。本誌レギュラー企画や姉妹誌ゴーグル、ミスターバイクWEBなど、多岐にわたり活動。愛車は125DUKEと1100カタナだが、目下「バイク乗り換えたい」ブーム真っ最中。

画像1: 中村浩史
画像2: 中村浩史

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