40年も前のこと。バイト先のレースショップの紹介で『最強ナナハン対決』企画に参加したことをきっかけにオートバイ編集部に出入りするようになった僕は、編集部所有の6気筒CBXやCX500ターボのほか、各メーカーの最新広報車を乗り回してギャラも貰えるという夢のような境遇にいた。

当時、編集部関係にはCB750Fオーナーが多く、ガレージにはいつも何台もの「F」が並んでいた。僕も購入を考えたものの、とある事情(笑)で1年間乗れなくなり、再取得したのは中型限定免許。悔し紛れに「これからはヨンヒャクの時代さ!」などとほざいてCBX400F、VF400Fと乗り継いだけど、ガレージでFの群れに混ざると一抹の寂しさが…。仕事の都合もあって早々に限定解除したけど、今度はロードレースにはまり、Fのことなんか忘れていた。

画像1: カスタムはバランスが大切だと知ったほろ苦い思い出【HONDA CB750FC(1982年)】

でも、レース活動が落ち着いた90年、通りすがりのバイク屋で82年型CB750FCの18万円という値札を見て衝動買い。オーバーホールがてら955㏄にボアアップしたところから「旧車カスタム」という禁断の道に踏み込んでしまい、1年後には写真の状態に。33φCRキャブにバンス&ハインズのマフラーで120馬力くらい出ていたけど、それはそれは凄まじい吸排気音だった。

「なんとかレプリカ」に仕立てるのは絶対に嫌だったので、前後ホイールやハンドル、ブレーキ回りはホンダの他機種用で、バックステップはワンオフ。パーツ代と加工費は当時約200万円だったから、今なら300万円を軽く超えるだろうなあ。

で、何が忘れられないかっていうと、それだけの費用と手間を掛けても、満足できる仕上がりにできなかったこと。エンジンはCRキャブのセッティングをあれこれ変えてどうにかまとまったけど、車体セッティングはメチャクチャ。ホイールとスイングアームを換装したことでステアリング回りとスイングアーム垂れ角、ホイールベースといった車体ディメンションが大きく変わってしまい、やたらクイックなハンドリングで乗りにくいったらありゃしない。慌てて車体関連の勉強をして、まずはホイールベースをノーマルに近付けようと加工業者と打ち合わせしてたんだけど、その間に預けておいたショップから、プロらしき犯人に盗まれてジ・エンド。

経験を積んだ今、ちゃんとセットアップして走らせてみたいと心に引っかかっている。

画像2: カスタムはバランスが大切だと知ったほろ苦い思い出【HONDA CB750FC(1982年)】
画像3: カスタムはバランスが大切だと知ったほろ苦い思い出【HONDA CB750FC(1982年)】
画像: キャブはケーヒンのCR33φ。迫力はあるが、大径過ぎてセッティングに苦労もした。

キャブはケーヒンのCR33φ。迫力はあるが、大径過ぎてセッティングに苦労もした。

画像: フロントホイールはRC30用、フォークはCB900F用で、ブレーキはNSR用を巧みに流用。

フロントホイールはRC30用、フォークはCB900F用で、ブレーキはNSR用を巧みに流用。

画像: リアショックはオーリンズ。ショック長が合わず、スイングアームにシャックルを入れて装着。

リアショックはオーリンズ。ショック長が合わず、スイングアームにシャックルを入れて装着。

HONDA CB750FC(1982年)
●エンジン型式:空冷4ストDOHC4バルブ並列4気筒
●総排気量:748㏄
●最高出力:70PS/9000rpm
●最大トルク:6.0㎏-m/7500rpm
●車両重量:231㎏(乾燥)
●燃料タンク容量:20L
●シート高:800mm
●タイヤサイズ(前・後):110/90-18・130/80-18

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