メカニック、サポートの助けをもらえないステージ7~8のマラソンステージを終え、ダカールラリー2018はいよいよ終盤戦に差し掛かってきました。
しかし、ステージ8のビバーク地・トゥピサが大雨に見舞われ、マラソンステージを終えたマシンのメンテナンスもままならず、翌日には河渡りセクションもあることから、河の増水氾濫もあって、主催者はステージ9の中止を決定。参加者たちはボリビア国内を抜け、舗装路でアリゼンチン・サルタへ約500kmの道のりを移動することになりました。

エントラントたちは、こういう時どんな心境なんでしょうね。競技がなくてちょっとホッとしてるのか、レストデイから2日経ってまた休息があって体がラクになるのか、この終盤でペースを上げていこうと思ってたのに、って悔しがっているのか……。
しかし、お知らせする側にはちょうどいいですw ではここまでの流れを振り返ってみましょう!

画像: 砂漠を駆け上がるサンダーランド この後、彼に悲運が襲い掛かります

砂漠を駆け上がるサンダーランド この後、彼に悲運が襲い掛かります

1月6日、ペルー・リマからスタートしたダカールラルー2018。初日は約30kmと短いSS(=スペシャルステージ タイム計測区間)で、2日目のスターティンググリッドを決めるプロローグラン。トップタイムをマークしたのは、昨年大会のウィナー、サム・サンダーランド(KTM=K)。アドリアン・ファン・ベヴェレン(ヤマハ=Y)、パブロ・クインタネッラ(ハスクバーナ=Hq)に続き、4番手にホンダのホアン・バレダが入りました。
トップのサンダーランドから、10番手のケビン・ベナバイズ(ホンダ=H)まで、タイム差は1分53秒。ま、ここはまだ小手調べ、ナラシみたいな感じなのでしょう。そういうステージでもトップタイムを出してくるサンダーランド、ヤル気あふれてますねぇ!

ステージ2は、サンドステージの周回路。約260kmのSSで、トップタイムをマークしたのはバレダ(H)でした。2日連続で2着に入ったベヴェレン(Y)に3分近い差をつけてのフィニッシュ。3着にマティス・ウォークナー(K)が入って、ホンダvsKTMの戦いにヤマハが堂々と割って入っています。

画像: 砂漠と太平洋のコントラストが美しい…けど、選手はそれどころじゃないんですねぇ

砂漠と太平洋のコントラストが美しい…けど、選手はそれどころじゃないんですねぇ

ステージ3でハプニングが起こりました。約300kmのSSは徐々にサンドからダート路面が増え始めて、いかにもラリーらしいコンディション。毎日のスタートは、前日のステージ順位によって、2~3分のインターバルを空けて順々にスタートするんですが、この日トップでスタートしたバレダ(H)が、順調なペースで走行していたところ、終盤のウェイポイントをロストし、約15kmルートバックして大きくタイムロスしてしまったのです。
ウェイポイントっていうのは、1日のSSに設定されている規定通過ポイントのことで、たとえば1日100kmのSSを、ココとココとココ通って、ってルートが設定されるんです。砂や泥を走るラリーは、ロードコースみたい通るコースが残るわけじゃありませんから、このウェイポイントを通らないと近道してズルしちゃいますからね。
この設定してあるウェイポイントが近づくと、マシンに搭載しているGPSに表示されて、そこを通過すると記録が残るわけです。ウェイポイントをスルーしてゴールすると、60分や90分のペナルティが課せられますから、バレダはペナルティをもらうより、ひとつ前のウェイポイントに戻るタイムロスを選んだというわけです。
「ナビゲーションが難しい日だった」っていうライダーのコメントは、このウェイポイント探しを指していることが多いんです。
3日を終わっての総合順位は①サンダーランド(K) ②ベナバイズ(H) ③クインタネッラ(Hq) ④トビー・プライス(K) ⑤リッキー・ブラベック(H) ⑥マティアス・ウォークナー(K)となりました。トップから6着までのタイム差、わずか8分です。

画像: もう優勝しか許されないバレダは、まさかのルートバックで大幅なタイムロス!

もう優勝しか許されないバレダは、まさかのルートバックで大幅なタイムロス!

ステージ4は、いつもの時差式スタートじゃなくて、15台ずつ1列に並んでビーチからスタートしての330kmのSSが設定されています。序盤、先頭を走っていたライダーがミスコースしたみたいで、それにつられて10台以上がミスコースしちゃったみたい。
この日のルートはほとんど砂漠で、今回のラリー最長のサンドコースが設定されるなか、この日も事件が起こります。なんと昨年度のウィナーで、ここまでの3日のうち2度のステージ優勝を果たしたサンダーランドが転倒。大腿骨を骨折し、メディカルチェクを受けたものの、リタイヤしてしまいました。これで総合順位は、この日のステージ優勝を果たしたベヴェレン(Y)がトップに浮上。総合2位はハスクバーナのクインタネッラ、3位にホンダのベナバイズ、4位にKTMのウォークナーと、上位4人が、それぞれヤマハ→ハスクバーナ→ホンダ→KTMと、異なるメーカーとなりました。

画像: ステージ4の横一列スタート アフリカ時代のパリ・ダカールっぽさを演出したようです

ステージ4の横一列スタート アフリカ時代のパリ・ダカールっぽさを演出したようです

ステージ5は260kmのSSが設定されている、最後の砂漠ステージ。この日はバレダ(H)が快走し、2着に入ったウォークナー(K)に10分26秒差をつけてフィニッシュ。この日は4位に終わった総合トップのベヴェレン(Y)に14分35秒の差をつけます。これでバレダは、ステージ3で大きくタイムロスして、総合13位まで落とした順位を、総合4位まで挽回! KTMのサンダーランドが脱落、ホンダのバレダが猛烈に追い上げ、ヤマハのベヴェレンとホンダのベナバイズが順調に走る展開です。 

ステージ6は、レストデイを控えた前半戦最後のステージ。コースの標高が徐々に上がって、ペルーからボリビアへのルート。南米は真夏ですが、4000m級の高地に駆け上がっていくルートで、一気に気温が下がります。さらに加えて、この日は豪雨と嵐に見舞われ、二輪部門のSS前半をキャンセル。まずは700km近く移動して、313kmの予定だったSSは194kmに短縮されました。SS後半のスタートはチチカカ湖ですね。チチカカとかウユニ塩湖とか、こういう世界的絶景をいくつかルートに織り込んでいるのも、ダカールラリーの特色なのです。
とはいえ、16年の大会に参戦した日本の三橋淳は「砂地、ほこりでのどがやられて、標高が上がり始めるこの頃が最初の大ヤマです。ウユニ塩湖? 通ったけど、埃だらけの向こうに絶景が広がる感じ。じっくり見てる余裕なんてないよ」とのことでした。残念。
前半戦最後のステージを制したのは、KTMのアントイン・メオ。プライスやサンダーランドと並ぶKTMの強豪で、こういった新顔が次々と出てくるのがKTMの強さ、選手層の厚さなんですね。ベナバイズがステージ2着にはいり、これで総合でもベヴェレンを逆転してトップに浮上しました!

画像: アドリアン・バン・ベヴェレン ヤマハもついにテネレレプリカ市販、ワークスチーム復帰が噂されています

アドリアン・バン・ベヴェレン ヤマハもついにテネレレプリカ市販、ワークスチーム復帰が噂されています

前半戦を終わっての総合順位は以下の通り。
①ケビン・ベナバイズ(ホンダ)
②アドリアン・ファン・ベヴェレン(ヤマハ) +01分57秒
③マティアス・ウォークナー(KTM)    +03分50秒
④ホアン・バレダ(ホンダ)         +09分33秒
⑤トビー・プライス(KTM)        +09分39秒
⑥アントイン・メオ(KTM)        +10分42秒

前半の6ステージ、約3000kmを終えて中日のレスト・デイです。しかし、3000km走ってトップと2位の差が1分57秒って! 昨年の大会でも前半戦を終わっての1→2位のタイム差は12分差、これもスゴい接戦!
KTMとホンダの一騎打ちになるかと見られていたダカールラリー2018は、トップ3がホンダ→ヤマハ→KTMと、ちょっと波乱が起こった順位となっています。
勝負の後半戦! このまま終わらないのがダカールですからね!

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