朝から降り続く激しい雨…

画像: 時折小降りになることはあっても、第2ヒート終了まで雨は降り続いた。再舗装されたばかりでグリップの良くなった路面でも、常に水が溜まってしまうとどうしようもなくスリッピーになってしまう。

時折小降りになることはあっても、第2ヒート終了まで雨は降り続いた。再舗装されたばかりでグリップの良くなった路面でも、常に水が溜まってしまうとどうしようもなくスリッピーになってしまう。

10月29日、ダンロップ・オートバイ杯ジムカーナの2017年シーズンもついに最終戦を迎えた。シリーズチャンピオン争いや、A級昇格などのかかる重要なこの1戦だが、筑波サーキットジムカーナ場は当日の朝から厚い雲に覆われて強い雨に見舞われてしまう。コースの設定は比較的速度の乗らないテクニカルなものだが、雨と低い気温のためにタイヤがすぐに冷えてしまうという、極めて難しく厳しい条件の中での開催となった。

画像: 総合1位 A級・角谷選手&NSR80改

総合1位 A級・角谷選手&NSR80改

ヘビーなレインコンディションの中、パワフルな大排気量車が思うように走れずにいるのに対し、眼を見張るような速さを見せていたのが、ミニバイク用の公道走行可能な12インチ・レーシングレインを履けるミニバイク勢。中でもNSR80改を駆るA級の角谷選手は第1ヒートで1人異次元の走りを見せ、1分42秒401を叩き出す。第2ヒートではさらに激しさを増す雨の中で果敢に全開アタックするが惜しくも転倒。「1分39秒台を狙えって周りに言われたんですけど、やっぱり無理でしたね」とはいうものの、第1ヒートのタイムを超える選手が出なかったため今シーズン5人目のウイナーが誕生した。角谷選手としても2012年第5戦以来の久々の勝利だ。

画像: 総合2位 B級・中嶋選手&NSR250R

総合2位 B級・中嶋選手&NSR250R

2位にはB級・中嶋選手&NSR250Rが食い込んだ。開幕戦ではドライからレインに移り変わる微妙なコンディションの中でB級による総合優勝という快挙を達成している中嶋選手。今度は全員同じ条件のヘビーレインコンディションの中、A級と真っ向勝負を挑んで第1ヒートで1分43秒584をマーク。この2位でポイントを積み重ねた結果、総合ポイントランキングも4位となりA級への昇格が決定した。

画像: 総合3位 A級・辻家選手&GSX-R1000

総合3位 A級・辻家選手&GSX-R1000

コース全体を水の膜が覆ってしまい、大排気量車どころかミドルクラスのマシンでもパワーを持て余し、スロットルを開けすぎ立ち上がりでリアから滑っての転倒が続出する。そんな中、これまでも雨の中で速さを発揮してきた辻家選手&GSX-R1000が、滑りやすい路面を物ともせずまたも豪快にアタック! 1分45秒357で総合3位に喰い込んでみせた。もちろんSB級でもトップだ。

画像: 総合4位 C1級・江間選手&KSR110

総合4位 C1級・江間選手&KSR110

画像: 総合5位 B級・中川選手&VTR250

総合5位 B級・中川選手&VTR250

画像: 総合6位 B級・市村選手&WR450F

総合6位 B級・市村選手&WR450F

4位には、なんと1分45秒446を記録して見せたC1級の江間選手&KSR110が入賞。12インチ・レーシングレインを使えたとはいえ、C1級でしかもミニバイクでの総合4位は驚異的な速さであることは間違いない。トップタイム比も102.97%、B級への昇格基準である105%を突破して昇格も決めた。続いてB級・中川選手&VTR250が1分46秒043をマークして5位。6位もB級の市村選手&WR450Fで、タイムは1分46秒640。市村選手はこの結果総合ポイントランキング7位となり、やはりA級への昇格が決定した。

なお、この大会の総合順位上位10台の結果は以下の通り。総合優勝こそA級だが、トップ10圏内にB級5人、C1級1人というのは過去にない波乱のリザルトだ。

1位 角谷岳司 NSR80改 1'42.401
2位 中嶋秀和(B級) NSR250R 1'43.584
3位 辻家治彦 GSX-R1000 1'45.357
4位 江間 聡(C1級) KSR110 1'45.446
5位 中川克己(B級) VTR250 1'46.043
6位 市村直生(B級) WR450F 1'46.460
7位 和田信行(B級) WR450F 1'47.006
8位 富屋一彦(B級) NSR250R 1'47.039
9位 大瀧豊明 FE450 1'47.689
10位 吉野 昇 CRF450X 1'47.779
※特記ないかぎりA級

今シーズンのタイトル争いの行方は?

画像: A級・富永選手&NSR250R

A級・富永選手&NSR250R

画像: A級・池田選手&NSR250R

A級・池田選手&NSR250R

画像: 写真左からランキング1位・富永選手、2位・池田選手、3位・辻家選手

写真左からランキング1位・富永選手、2位・池田選手、3位・辻家選手

2017年のダンロップ・オートバイ杯のポイントランキング、チャンピオンの争いは前戦ジムカーナJAPAN終了の時点で、ランキング1位の富永選手、2位の池田選手の2人にまで絞られていた。その差は僅か1ポイントで、上位になった方がチャンピオンという分かりやすい一騎打ちとなるはずだった。しかし、このヘビーレインな路面コンディションに両選手ともに大苦戦。何とそのためにポイント獲得のための条件である、総合トップからのタイム比105%以内に両選手共に届かず、ノーポイントに終わってしまう。そのためランキングは変動せずに決着、富永選手の2015年以来となるタイトル奪回となった。

画像: 写真中央がSB級チャンピオン・辻家選手、左が2位・作田選手、右が3位・大越選手

写真中央がSB級チャンピオン・辻家選手、左が2位・作田選手、右が3位・大越選手

もう一つ年間ポイントランキングを競っているのが、全シードクラスの中で排気量700cc以上のビッグバイクを駆る選手が対象のSB級。今年はSB級であるにもかかわらず総合ランキング3位となった辻家選手が文句なしのチャンピオンとなった。2位はニューマシン・GSX-S1000に乗り換え、開発を進めながら着実に上位をキープしてきた作田選手。3位には辻家選手に並ぶシーズンSB級2勝を記録した大越選手が続いた。さらに、A級のライダーを相手にSB級ランキング5位となったB級・関選手、7位となったB級・古藤選手のA級昇格も決定した。

オートバイ杯ジムカーナ第5戦のレポートは月刊オートバイにも掲載の予定。詳細なリザルトや各地のジムカーナイベント日程といった二輪ジムカーナ関連情報は、オートバイ杯の運営も担当しているJAGE(二輪ジムカーナ主催者団体協議会)のホームページから確認できる。

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