夏休み明けのMotoGP2連戦が終わりました。舞台はレッドブルリンク、かつてA1リンクとも、エステルライヒリンクとも言われたオーストリアのサーキットですね。言うまでもなくオーストリアといえばKTMの母国。開催初年度となった2016年には、年間18戦のうちの「ベストサーキット」賞を授与された山の中のコースです。
しかも、すごいね「レッドブルリンク」って打ち込めばgoogleMAPですぐ出てくるw ちなみに前戦が開催されたチェコは隣国ですから、チェコ・ブルノサーキットからは、350kmくらいしかない、意外と近所な2連戦なんです。

画像: 27カイトはシーズン2度目のポイント獲得です

27カイトはシーズン2度目のポイント獲得です

画像: 71アユムはスタートでちょっと下がっちゃって、追い上げのレースとなりました

71アユムはスタートでちょっと下がっちゃって、追い上げのレースとなりました

画像: 予選でも決勝でも転倒してしまったタツキ いつものコンスタントさが見られないレースでした

予選でも決勝でも転倒してしまったタツキ いつものコンスタントさが見られないレースでした

金曜こそ雨に降られたものの、決勝レースはドライコンディション。日本勢は予選では振るわず、佐々木歩夢(SIC Racing Team)が日本人最上位の6列目18番手、鈴木竜生(SIC58スクーデリアコルセ)が9列目26番手、鳥羽海渡(ホンダチームアジア)がお隣の27番手というグリッド。レッドブルリンクは、タツキが2年目、アユムとカイトはWGPでは初出場ですが、昨年のルーキーズカップで走っていますからね。ちなみに昨年、アユムはここで3位/2位と両ヒート表彰台でした。
スタート直後から、タテ長のポジション争いが始まるmoto3クラス。10台、15台という台数がトップグループを形成し、その最後尾あたりになんとか日本人勢が食らいつく、そんな展開。今回は、ポイント圏内ぎりぎりでタツキ、アユム、カイトという順で3ライダーとも近い位置でレースをしていましたね。

23周のレース、トップ争いが徐々にバラけてくる中盤あたりで、現在ランキングトップのホアン・ミル(ホンダ)が2番手以下を引き離し始め、2番手グループが10台くらい。日本人勢は、このグループについて行けず、タツキは転倒リタイヤ。アユムとカイトがポイント圏内すぐ下で6~7台でポジション争いをする中、カイトがポジションアップし、ラスト4~5周で集団のトップに浮上! この集団のトップでゴールすると15位/1ポイント獲得、という展開で、ラスト2周でも何度もポジションを入れ替えながらカイトが15位でフィニッシュ! アユムはカイトから0秒4遅れの18位でポイント獲得はなりませんでした。
カイトはシーズン2度目のポイント獲得、アユムは6度目のポイント獲得を逸してしまったレースとなりました。

画像: 後半、後方に迫ってくるビンダーを抑え込んだタカ

後半、後方に迫ってくるビンダーを抑え込んだタカ

画像: タツは初走行のレッドブルリンクで自己ベスト!

タツは初走行のレッドブルリンクで自己ベスト!

日本期待の星、中上貴晶(IDEMITSUホンダTeamアジア)が4列目12番グリッドにつけたmoto2クラス。もうひとりの日本人ライダー長島哲太(テルルSAGチーム)は予選20番手ながら、ふたりとも決勝日朝のウォームアップでは、タカ4番手、テツ7番手と急上昇! 特にタカは、前戦チェコでいいところナシでしたから、ここできっかけをつかんでほしい。朝フリーはフランコ・モルビデリ-トマス・ルティ-アレックス・マルケスがトップ3で、タカが4番手。このあたり、すごく順当な現在のmoto2勢力図という感じがしますね。

決勝レーススタートのちすぐに接触転倒があり、4台くらいが多重クラッシュ。そこにテツが、あわや巻き込まれそうになりつつ回避し、大きくコースアウトするものの、転倒せずにレース復帰します! ホッ、よかった。大きくタイムロスしたけれど、追い上げろ! タカはまずまずのスタートで、ほぼ予選順位を守るスタート。しかし、先頭集団について行くスピードはなく、セカンドグループをリードするポジション。苦しんでるなぁ、ガマンの展開が続いてるなぁ、という走りでしたね。
ポツポツと転倒者が出る中、ガマンの走りでポジションをキープするタカ。序盤に背後につけていたホルヘ・ナバーロを徐々に引き離すと、レース中盤からブラッド・ビンダー(KTM)がひたひたと迫りますが、これを振り切って6位フィニッシュ! トップグループのスピードこそありませんでしたが、タイムを大きく落とさず、コンスタントに走る、ってテーマはクリアしていましたね。決勝日の朝フリーのトップ3が表彰台を占めるなか、タカの6位はちょっと物足りませんが、上向いてる上向いてる! これが浮上のきっかけになればいいな、って走りでした。

そして、スタート早々のアクシデントに巻き込まれてしまったテツの走りがスゴかった! 大きくタイムロスして、ビリから5台目くらいからのスタートとなりましたが、そこからグングンとポジションを上げ、レース中盤にはポイント圏内まで浮上! これまでヘレスでしかポイントを獲れてないテツにとっては、今シーズンベストの走りだったでしょう。しかもテツは、ここレッドブルリンク初走行です! 
結局テツは、集団の先頭を行くシモーネ・コルシにはわずかに追いつかなかったものの、自己ベストの12位でフィニッシュ! いいぞいいぞテツ! タカもテツも、母国グランプリに調子を最高に持ってきて帰国してほしいですね!

画像: スタートで早くもこの差をつける99ロレンソ! ヤマハM1時代を思い出す!

スタートで早くもこの差をつける99ロレンソ! ヤマハM1時代を思い出す!

画像: 25ビニャーレス、46ロッシとも1回ずつ大きくブレーキングミスして前方との差がついちゃいました

25ビニャーレス、46ロッシとも1回ずつ大きくブレーキングミスして前方との差がついちゃいました

さてMotoGPクラスは、開催初年度(というか、新生レッドブルリンクでは、です)となった昨シーズン、当時ドゥカティに乗っていたアンドレア・イアンノーネ(現エクスター・スズキ)が優勝、アンドレア・ドビツィオーゾ(ドゥカティ)が2位という、デスモセディチ1-2フィニッシュを飾ったサーキット。アップダウンのある、ストレートの長いコースとなれば、一説に最高出力300psと言われるドゥカティ・デスモセディチ最強説ですからね。
それを証明するように、予選でスーパーラップをたたき出したマルク・マルケス(レプソルホンダ)に続き、フロントローの残り2席を占めたのは、そのドゥカティのドビツィオーゾと、ドゥカティルーキー、ホルヘ・ロレンソ! ここまで、なかなかにヤマハ→ドゥカティへの乗り換えに苦労しているロレンソ、ここは初優勝の大チャンスですね!
決勝レース、ホールショットを奪ったのはマルケス。しかし、1コーナーをクリアして、ロレンソがスーッとトップに浮上。そのまま2番手以下との差を広げるシーンは、昨シーズンまでのヤマハ時代によく見られたシーンでした。新品タイヤのスタートでは、ロレンソ、本当に速い! 1周で1秒の差をつけましたが、それをキープできないのが今年のロレンソ。 マルケスが続き、ドビツィオーゾも3番手と、この3人がトップグループを形成して行きます。4番手以下は、バレンティーノ・ロッシとマーベリック・ビニャーレスのモビスターヤマハコンビと、ヨハン・ザルコ(モンスターヤマハ)、ダニ・ペドロサ(レプソルホンダ)というオーダー。トップグループ3人、セカンドグループに4人というオーダーで周回を消化していきます。

画像: motogp.comより この3台ガラミの危険さとクリーンさがスゴかった!

motogp.comより この3台ガラミの危険さとクリーンさがスゴかった!

12周目にはロレンソの一瞬のミスを突いてマルケスがトップに浮上! と思ったら、3番手につけていたドビツィオーゾが2台のスリップストリームを使って前に出てトップに浮上。その時の3台ガラミがすごかった! 超接近戦、でも3台ともギリで間隔を空けていて、フェアで激しい、すごくクリーンなトップ争いでした。
その超接近戦バトルを制して、マルケスがトップに立つと、ロレンソは後退。でも、これまでのようにズルズルと下がるんじゃなくて、17周目にペドロサにかわされても、4番手をキープ。この後は順位を入れ替えながらマルケス×ドビツィオーゾのトップ争いが激しくなり、終盤はそこにペドロサも加わって、という展開。やはり最後はラストラップの戦いとなって、ドビツィオーゾ前、マルケス後ろ、というポジションから、マルケスが遠慮なくアタックを仕掛けて、最終コーナーでは、ゼロスペースのインにマシンをねじ込んだマルケスを、ドビツィオーゾがうまくいなしてトップでゴール。ドビツィオーゾが今シーズン3勝目を挙げました。

画像: 04ドビツィオーゾを追う93マルケス、その背後に26ペドロサ 結局この順でフィニッシュ

04ドビツィオーゾを追う93マルケス、その背後に26ペドロサ 結局この順でフィニッシュ

画像: 最終ラップの最終コーナー カウンター当たってるマルケスと体を起こしてるドビツィオーゾ これはドビがうまくマルケスをいなしている、という感じですね なんもなくてホントよかった

最終ラップの最終コーナー カウンター当たってるマルケスと体を起こしてるドビツィオーゾ これはドビがうまくマルケスをいなしている、という感じですね なんもなくてホントよかった

MotoGPでは、ドビツィオーゾは2008年から16年まで、ホンダで1勝、ドゥカティで1勝しかしていませんから、今年だけで生涯勝ち星を上回った、と。それくらい、今年のドビツィーゾは強い! マルケスとバチバチのバトルをやって勝ち切ったライダー、久しぶりに見ましたね!
「最終ラップの最終コーナーは、マルケスがアタックしかけてくると予想していたので、それをうまく対処できた」とドビツィオーゾが言えば、マルケスは「ドビツィオーゾをパスするのは難しかった。本当に、持てるすべてを出し切った素晴らしいバトルだった」とコメント。
しかし、無事だったからよかったものの、あの最後のバトルはヤバかったよね。ドビツィオーゾがなんとかかわしたけど、もし接触していたら、もしひっかけてドビツィオーゾが転びでもしていたら、また遺恨を残す結果になったと思います。でも、それがマルケスの危うい魅力ですね。「あの最終コーナーでは限界を超えていたよ。でもそれがMotoGPショーだよ、へへへ」って、もちろん安全に絶対の自信があるから、のアタックだったんでしょう。
これでシーズンを折り返し、7レースを残してポイントランキングは以下の通り。

■Rd.11 オーストリアGPまで
1:マルク・マルケス        174
2:アンドレア・ドビツィオーゾ   158
3:マーベリック・ビニャーレス   150
4:バレンティーノ・ロッシ     141
5:ダニ・ペドロサ         139

ドビツィオーゾがランキング3位から2位に浮上して、トップのマルケスまで14ポイント差! 5位ペドロサも4位ロッシへのポイント差を9ポイントから2ポイントに縮めたオーストリアGPとなりました。
次回イギリスGPは8/27決勝です!

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