扱いやすく懐も深いがスポーツ性能は一級品

何年ぶりだろうか。空冷DSエンジン搭載車以来の「SS」ブランドの復活である。このシリーズは、敷居の高いスーパーバイクのトップモデル…今でいう「パニガーレ」シリーズなどよりずっと気楽に操れるスポーツ性能と快適さを魅力としている。

スリムで美しい、パニガーレの流れを汲むデザインのフルカウルなど、見た目にはかなり尖った走りをしそうな姿だが、その車体構成はかなりのストリート指向。フレームはモンスター、エンジンはハイパーモタード系のテスタストレッタ°11がベース。つまり、モンスターの、スポーツNK的なハンドリングに、ハイパーモタードの瞬発力をスパイスにした、といったところだ。瞬発力はあっても荒くれ者ではない。パワーは110馬力。スポーツネイキッドやツーリングスポーツたちと比べても、比較的穏やかなチューニングが施されている。

画像: DUCATI SUPERSPORT S 最高出力:110HP/9000rpm 最大トルク:9.5㎏-m/6500rpm 価格:180万9000円/183万9000円(ホワイト)

DUCATI SUPERSPORT S
最高出力:110HP/9000rpm
最大トルク:9.5㎏-m/6500rpm
価格:180万9000円/183万9000円(ホワイト)

実際に走ってみると、このエンジンがすこぶる使いやすい。モンスターよりピックアップはいいが、低中域でよく粘って滑らかに回る。4速の3000回転は峠道で気持ちよく流せる回転域。高圧縮で、フライホイールマスの少ないパニガーレ系エンジンなら、ガタガタして滑らかには回しにくい回転域だ。しかし、このスーパースポーツSはその回転域でも快適に走る。しかも街中で、5速や6速で3000回転より少し低い回転域からでもスムーズな加減速をしつつ流せる。4000回転も回せば、リッタークラスのマルチスポーツなどより強烈な瞬発力でダッシュもできる。許容回転域の半分がパワーバンドで、5000回転から急激なトルク変動のない、スムーズな力が出る。力の核は6500〜9000回転で、振動も少なめ。どこでも使いやすいパワーというのが魅力だ。

今回試乗したのは上級グレードの「S」で、前後にかなり高級なオーリンズのショックが付く。設定されているバネはパニガーレ系よりずっとソフトで、乗り心地を十分に考慮した味付け。これもいい。

比較的アップライトなライポジだが、このタイプは路面からの突き上げなどを受けると強い衝撃が身体に伝わりがち。だが、街中をノロノロ走るぺースから、峠道を3速全開でフルバンクするようなペースまで、見事にスムーズな初期吸収と、落ち着きの良さを発揮。路面が荒れていても硬いとか、跳ねるといった感触はまずない。少し粘るような、落ち着きのあるハンドリングがツーリングでの気楽さを生むが、体重移動をしっかりすれば俊敏に身を翻す。旋回性もツーリングスポーツというよりスポーツネイキッドに近いと言える。

守備範囲の広い優秀な車体とサスが、使い方を選ばないオールマイティな走りを生み、扱いやすいエンジンは「誰にでも操れるドゥカティ」を実現している。しかもそのスポーツレベルが非常に高く、速くも走れる。新世代のSSは、熱い血を潜ませた「ツーリングスーパースポーツ」なのだ。

画像: 扱いやすく懐も深いがスポーツ性能は一級品
画像: パニガーレにも通じるイメージでまとめられたレーシーでエレガントなスタイル。パニガーレと共通のパーツはなく、全てがSS専用にデザインされている。

パニガーレにも通じるイメージでまとめられたレーシーでエレガントなスタイル。パニガーレと共通のパーツはなく、全てがSS専用にデザインされている。

主要諸元
全長×全幅×全高 2070×750×1186㎜
ホイールベース 1478㎜
最低地上高 NA
シート高 810㎜
車両重量 210㎏
エンジン形式 水冷4ストDOHC4バルブL型2気筒
総排気量 937㏄
ボア×ストローク 94×67.5㎜
圧縮比 12.6±0.5
最高出力 110HP/9000rpm
最大トルク 9.5㎏-m/6500rpm
燃料供給方式 FI
燃料タンク容量 16L
キャスター角/トレール 24度/91㎜
変速機形式 6速リターン
ブレーキ形式 前・後 φ320㎜ダブルディスク・φ245㎜ディスク
タイヤサイズ 前・後 120/70ZR17・180/55ZR17

DETAIL

画像: ヘッドライト上のLEDデイタイムランニングライトが印象的な、シャープなイメージのフロントマスク。ヘッドライトは右がロー、左がハイビームで、スクリーンは手動で上下に調整可能。

ヘッドライト上のLEDデイタイムランニングライトが印象的な、シャープなイメージのフロントマスク。ヘッドライトは右がロー、左がハイビームで、スクリーンは手動で上下に調整可能。

画像: ハイパーモタードに搭載された937㏄水冷Lツイン、テスタストレッタ11°がベース。吸排気系を改良することで、スーパースポーツとの名にふさわしい性格に仕立て直されている。

ハイパーモタードに搭載された937㏄水冷Lツイン、テスタストレッタ11°がベース。吸排気系を改良することで、スーパースポーツとの名にふさわしい性格に仕立て直されている。

画像: 排気系は右2本出しサイレンサーが特徴的な2-1-2レイアウト。マスの集中化のため、エンジン下のプレ・サイレンサーから、短くコンパクトなサイレンサーへと繋げられている。

排気系は右2本出しサイレンサーが特徴的な2-1-2レイアウト。マスの集中化のため、エンジン下のプレ・サイレンサーから、短くコンパクトなサイレンサーへと繋げられている。

画像: フロントブレーキはφ320㎜ダブルディスクで、キャリパーはブレンボ製モノブロック。倒立フォークはオーリンズ製、チタンコーティングされたインナーパイプ径はφ48㎜だ。

フロントブレーキはφ320㎜ダブルディスクで、キャリパーはブレンボ製モノブロック。倒立フォークはオーリンズ製、チタンコーティングされたインナーパイプ径はφ48㎜だ。

画像: アルミ製片持ちスイングアームはパニガーレ同様で、ホイールはアルミ製Y字スポーク。リアショックにはガスカートリッジ一体型のオーリンズ製が標準装備されている。

アルミ製片持ちスイングアームはパニガーレ同様で、ホイールはアルミ製Y字スポーク。リアショックにはガスカートリッジ一体型のオーリンズ製が標準装備されている。

画像: 「S」はタンデムシートカバーが標準装備されていて、タンデムも快適なロングシートの状態から、レーシーなシングルシートスタイルへと簡単に変身できる。

「S」はタンデムシートカバーが標準装備されていて、タンデムも快適なロングシートの状態から、レーシーなシングルシートスタイルへと簡単に変身できる。

画像: コンパクトな液晶メーターは、バーグラフ式のタコメーターや速度、燃料残量、燃費などの基本的な情報はもちろん、ライディングモード、ABSやDTCなどに関する情報までを表示。

コンパクトな液晶メーターは、バーグラフ式のタコメーターや速度、燃料残量、燃費などの基本的な情報はもちろん、ライディングモード、ABSやDTCなどに関する情報までを表示。

RIDING POSITION(身長:176㎝ 体重:68㎏)

ハンドルはけっこう高めで、自然な前傾姿勢を保ったアップライトなもの。馴染むと下半身でのホールドがしやすく、腕、肘、手首にはゆとりをつくりやすいので、長時間のライディングでも手首に負担がかかりにくい。ただ、着座位置によってはフレームの一部にヒザがあたる。

画像1: RIDING POSITION(身長:176㎝ 体重:68㎏)
画像2: RIDING POSITION(身長:176㎝ 体重:68㎏)

[ 問 ]ドゥカティジャパン

TEL.0120-030-292(ドゥカティジャパンお客様窓口)

最新モデルの試乗レポートは、オートバイ9月号に多数収録!

オートバイ 2017年9月号 [雑誌]

モーターマガジン社 (2017-08-01)

This article is a sponsored article by
''.