視野の広さは安全運転に直結する!

速度が上がるほどライダーの視界は狭くなる。呼吸が浅く、緊張した状態では目が開いていても認識すべきことが見えていないことになるのだ。脳へ入って行くべき情報が遮断されているからなのだが、逆説的にはわずかに速度を落とすだけで目に入る情報は一気に増大するとも言える。

これに加えて注意したいのが身体的な問題。広い視野を確保するには、昔から伝統の背中を丸めてアゴを引くというフォームは考え直したい。上目使いでは視界が広くならず、周囲の危険察知ができないか遅くなる。また、顔面の向きが狭く、目標物を目で追う形になるため正確な距離把握と状況認識にも不利になるからだ。

コーナリング時に頭までリーンさせる合理的な理由はないし、そもそもハンデになるだけ。なので、アゴは引くよりも逆にアゴを少し出し、耳と目を水平線でつなぐフランクフルト平面、あるいは耳と鼻下でつなぐカンペル平面で良い。これで広い視野が確保でき、水平バランスがより正確に取りやすくなる。綱渡りの人が水平バランスをとるためアゴを引かず、下を見ない理由はそこにある。次のポイントは目標物に対して顔面を向けること。これにより両目での三角測量が可能となり、正確な距離把握と状況認識が可能となる。

前傾姿勢の強いバイクに乗ると視線が低くなりやすく、視野も狭くなりやすい。これはサーキットのような環境ではちょうど良いが、市街地ではより広い視野確保と瞬時の高精度な視線移動が不可欠となるのだ。

安全な状態

アゴを引かずに広い視野で交差点に差し掛かると、注意すべきさまざまなことが見えてくる。通過速度や右左折速度をわずかに落とすだけで、さらに情報量が増えて安全安心の対処ができるようになる。さらに呼吸管理と脱力管理が連動すれば、より正確にミスのない交差点チェックができる。

画像: 安全な状態

キケンな状態

交差点の通過や右左折をハイペースで行うと見落としてしまうものが多くなり、同時に緊張度が増してどうしても無意識に背中を丸め、アゴを引いて視界を狭くしやすい。視界に入るものだけを見ていては、季節や曜日や時間、あるいは天候の違いで生じる危険への対処力が低下してしまう。

画像: キケンな状態

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