これから先、もしもバイクの大半がAT車になっても、電動式バイクでクラッチ操作不要になっても、基本となるアイドリング発進の考え方は大切だ。バイクが駆動力の変化でバランスを崩しやすい乗り物であることに変わりないからだ。

低速ターンやコーナリング時にふらつく大きな理由はアクセル操作がラフだから。車体バンク中に駆動力の増減で、車体が前後に揺れるピッチングを起こしているのだ。ラフな操作はバランスを崩しやすい。「車体垂直」で触れたアイスバーンに対応できる繊細な操作があってこそ直進や旋回の安全安心=滑らか走行の実現となる。

それはつまり駆動力の繊細な操作だが、クラッチを持つ一般的なバイクはクラッチ操作をラフにするとラフなアクセル操作以上に面倒な結果を生む。駆動力管理はクラッチに大きく依存しているからだ。逆に言えばアクセルをガンガン回してもクラッチ操作が上手ければどんなギヤシフトでもショックのない滑らか走行ができる。ツルツル路面で2速発進も可能だし、初めて乗るバイクでもアイドリング回転のままフルステアUターンまでできるようになる。アイドリング発進できると走りのすべてに余裕が生まれ、クラッチは痛まず、無駄にエンジンを回さないから燃費もいいはず。

市街地走行で前後の車両などの安全確保ができるなら常にアイドリング発進の練習をしたい。高ぶった気持ちも信号発進のたびに平常心にリセットできるというメリットもある。

画像: 手の大きさや、指の長さなどに個人差があるのは当然。そのため、握りやすい指で、握りやすい本数で操作すれば良い。

手の大きさや、指の長さなどに個人差があるのは当然。そのため、握りやすい指で、握りやすい本数で操作すれば良い。

画像: 握る量によって違うフィーリングの違いを体感!

握る量によって違うフィーリングの違いを体感!

半クラ三兄弟をマスターしよう!

車体垂直:直進前提で両足を出したまま、アクセルは開けずアイドリング状態維持。フルクラッチでギヤを1速に。次にクラッチレバーを少しだけ放し、時速2㎞/hを維持するようにレバー位置を第一段階で固定。これがクラッチつながりはじめの「長男:はじめ君」。次は歩く速度4㎞/hの「次男:二郎くん」でレバーを第2段階で固定、そして6〜10㎞/hの「三男:三郎君」でレバーを固定。半クラッチ3段階固定を2メートル単位で走ってからクラッチレバーを完全に放す。以上の操作で繊細なクラッチ操作力を手に入れる。これが完璧になるとすべてのバイクのバランスが取れ、滑らかに操れるようになる。

画像: イラスト:寺崎 愛

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