ホンダCBとして正しく走り、走りの中からエンジンを味わう

今の時代に求められるCBを生み出す。官能性能をもっと高める。RSを走らせる前の段階で、開発スタッフの熱い想いは充分に受け取った。

でも、先にも書いたように現代に甦ったヘリテイジとしての空冷4気筒エンジンがカリッカリのロードスポーツに化けてしまうことだけは、走り出す直前までやっぱり心配だった。なにせ名前が「RS」だ。これが例えば「S」だけでCB1100のスポーティなバージョンですよ、と言われていればまだ安心できていたかもしれないけれど、Rまでつくとなると印象が違う。だって、ホンダの技術をもってすれば、空冷4気筒を最先端のスーパーバイクに仕上げてしまうことだって、きっとできてしまうのだ。

そして、ものすごいライディングテクニックを持った少数のライダーにしか楽しめないような、超絶パフォーマンスだけれども、扱うのが難しいオートバイになってしまっていたら、ボクが好きなCB1100の世界、そして愛すべき空冷4気筒エンジンが死んでしまう、とさえ思っていた。

画像: 撮影/柴田直行

撮影/柴田直行

という訳で、RSの名に若干ビビりながら走り出す。発進のフィーリングは従来までと大きく変化は無いけれども、うん、マフラーの音がイイ。早速、RSの名前をを忘れてしまいそうになるほど、空冷4気筒としてのサウンドに包まれて嬉しくなった。まだちゃんと走らせてもいないのに、なんだかこの時点で安心できる気がした。

そして、前後17インチホイールと高性能を謳う前後サスペンションの違いは、車体を傾けた瞬間にすぐに感じられた。動きが軽いな……ほんのすこし視線を曲がりたい方向に向けるだけで、スッとRSは向きを変え始める。でも必要以上に鋭い訳じゃない。あくまで乗り手の意思を反映するように、曲がって行こうとする。量産車ということを考えれば、RS専用にキャスター角を26度に設定するなんてコストがかかりすぎる話だと思うのだけれども、なるほど、この軽さのためか、と納得することができた。ここもいいね、ちょっと嬉しい。

それから、様子を見つつスロットルを開けていく。排気量1140㏄のエンジンの最高出力は7500回転という低めの回転数で90馬力を発生。90馬力だって、ボクにはフルに使いきれるようなパワーじゃないけれども、空冷独特の吹け上がり感は健在で、怖くない。従来モデルよりも、RSは若干フラットなトルク特性かな、と感じつつ、スピードを上げていく。

お、スロットルに対するレスポンスがいいね! 過敏じゃないけれど、活きがいいエンジンっていう感じ。加速したい時に、思った通りに、わかりやすく力強さが湧いてくる。だから、コーナリングでもスロットルオンで後輪に荷重をかけて、ライダーが自分で車体の姿勢をコントロールしやすい。フロントブレーキもいきなりガツンと効いて面食らうタイプではなく、前輪がグッと路面を掴んでから、狙い通りの減速ができる印象だった。

コーナー進入ではスリッパークラッチが安心感を作り出し、出口に向かっては加速と共に車体を安定させられる。しかも、リニアだけれど空冷独特の優しさも重厚さも備えている。なんだよコレ!? 超楽しい!

しかもRSは、そのキャラクターが身体に馴染むほど、どんどんチャレンジしてみたくなる。次のコーナーではこうしてみよう、すこしライディングフォームを変えてみるか……などなど、走りを愉しむ心の余裕がある。

ボクはそもそも「4気筒=速いバイク」で若干ニガテという印象を持っているから、個人的には2気筒のエンジンが好き。だけど今回、RSに乗っていてもっとも感動したのは「4気筒って、こんなに面白いの!?」という発見だった。その時のボクは、空冷とか水冷とか関係なく、4気筒そのものの楽しさに浸っていたように思う。

ああ、そういうことか。開発スタッフの想いが蘇る。現代に求められるCB、そしてホンダ直4エンジンのあるべき姿。CBとして正しくスポーティで、ライダーたちがホンダの4気筒を徹底的に「走り」の中で感じる。

RSはCB1300シリーズとキャラがカブるんじゃないか、なんてとんでもない思い違いだった。これはもう完全に別モノ。もっと言えば、従来のCB1100シリーズとも別モノだ。

今にして思えば、CB1100という名前の印象によって、ボクは見誤っていたのだと思う。RSはCB1300とも従来のCB1100とも別のラインで走る、もうひとつのトップエンド。今の時代の中にあって「CB」の名を冠するに相応しい新しいフラッグシップだったのだ。

 

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モーターマガジン社 (2017-01-24)
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