オーリンズ&ブレンボで完成度を高めた円熟メガスポーツ!

カワサキのフラッグシップ、ZX-14Rの上級バージョンとして登場したのがハイグレード。オーリンズ、ブレンボという一流パーツの標準装備だけでなく、ハンドル位置なども見直して、一層の快適性を追求した円熟の1台である。ここで、ニューカラーで登場した2017年モデルに試乗しながら、改めてその魅力を検証してみよう。

画像: 2017年モデルのボディカラーはゴールデンブレイズドグリーン×メタリックスパークブラック。今回はグラフィックの塗り分けが大胆に変わり、アッパーカウル部分とサイドのフィン部分をブラックアウトしたデザインとなっている。日本向けはヘルメットホルダーも装備。

2017年モデルのボディカラーはゴールデンブレイズドグリーン×メタリックスパークブラック。今回はグラフィックの塗り分けが大胆に変わり、アッパーカウル部分とサイドのフィン部分をブラックアウトしたデザインとなっている。日本向けはヘルメットホルダーも装備。

バイク界最強の適応力を持つ懐の深いフラッグシップ!

ZX-14Rは、現在、世の中でもっとも幅広い速度レンジでオールマイティに使えるツーリングスポーツだ。日本の渋滞路から、欧州の速度無制限の高速道路まで、ライダーの技量に関係なく、従順なしもべとしてイージーに峠道をスポーツランできて、快適にどこまでもロングランをこなせる。

エンジンは1441㏄から200PSのパワーを発揮。しかし、無理矢理稼いだリッターSSの200PSとは違う。プラス400㏄分のパワーをゆとりとして蓄えた200PSだ。その威力は絶大で、アイドリングのすぐ上から1万回転以上までストレートに吹け、まるで全回転域がパワーバンドのような出力特性。強力でフラットなトルクに支えられ、リニアにパワーを増す。

また、そのパワー特性を好みに応じて穏やかにしたり、リニアにするモード切り換えもあるし、介入度を調整可能なトラクションコントロール・KTRCも付く。電子制御ライディングアシスト群も充実しているのだ。

このバイクをどこでも扱いやすくしている最大の要素は、この良く調教されたエンジンだといってもいいだろう。トルクに支えられたコシのあるパワーだ。回せば200PSのパワーを、何の緊張感もなく、必要な分だけ正確に抽出できる。しかもその瞬発力はバイク界で最強レベル。振動や過大なメカノイズなどのストレスが無く、どんな速度域からでもギアをホールドしたまま、猛烈な追い越しダッシュをやってのける。

そんな力を受け止めるフレームはエンジンを低めに抱え込んだ高剛性なもので、300㎞/h近い速度でリーンウィズのまま安定した切り返しができる一方、タイトな峠道を俊敏にフットワークする事までできる。クセのない素直なハンドリングで、誰にでも扱いやすいのが魅力だ。さすがにクイックな動きは得意ではないが、軽くスポーツランをこなすには十分すぎる運動性能をもっている。

ZX-14Rの魅力はこの驚異的なオールマイティさと扱いやすさであり、圧倒的に強力な動力性能である。快適さと力強さにより、クルージング時のストレスのなさから速度感覚が麻痺してしまいそうなくらい高速走行が楽。これも特徴だ。

この最新型の14Rは昨年型に対しカラーリング変更のみに留まっているが、これらの魅力は先代モデルのZZR1400から基本的に変わっていない。ツーリング指向の強いZZRから、2012年にスポーティなZXブランドに変更になったが、少し派手になったルックス以外、戦闘的な味付けはなされていない。むしろ快適さを求めるソフトな足回りとなり、熟成されて現在に至る。ブレンボとオーリンズを装備したこのハイグレードも、「上質なスタビリティ」がセッティングのテーマ。スポーツランにとどまらず、あらゆる路面状況下での快適な乗り心地、車体の落ち着きを実現している。

画像: バイク界最強の適応力を持つ懐の深いフラッグシップ!

モデル詳細

画像: ポジション、ロービーム、ハイビームを合わせると6眼となるヘッドライトは、フラッグシップスポーツにふさわしい個性と堂々たる存在感を演出。

ポジション、ロービーム、ハイビームを合わせると6眼となるヘッドライトは、フラッグシップスポーツにふさわしい個性と堂々たる存在感を演出。

画像: メーターの文字盤はブラックからドットパターンに変更。中央の液晶モニターは好みに応じて背景色を白、黒から選べるようになっている。

メーターの文字盤はブラックからドットパターンに変更。中央の液晶モニターは好みに応じて背景色を白、黒から選べるようになっている。

画像: ハイグレードのブレーキシステムはブレンボ製。M50モノブロックキャリパーと組み合わされるディスクは、STDより0.5㎜厚いステンレス製。

ハイグレードのブレーキシステムはブレンボ製。M50モノブロックキャリパーと組み合わされるディスクは、STDより0.5㎜厚いステンレス製。

画像: ハイグレードに標準となるリアショックは、オーリンズとの共同開発となるTTX39。伸側、圧側の調整機構の独立したタイプだ。

ハイグレードに標準となるリアショックは、オーリンズとの共同開発となるTTX39。伸側、圧側の調整機構の独立したタイプだ。

主要諸元
 
全長×全幅×全高:2170×780×1170㎜
ホイールベース:1480㎜
シート高:800㎜
車両重量:269㎏
エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブ並列4気筒
総排気量:1441㏄
ボア×ストローク:84×65㎜
圧縮比:12.3
最高出力:200PS/10000rpm
最大トルク:16.1㎏-m/7500rpm
燃料供給方式:FI
燃料タンク容量:22ℓ
キャスター角/トレール量:23度/93㎜
変速機形式:6速リターン
ブレーキ形式(前・後):φ310㎜ダブルディスク・φ250㎜ディスク
タイヤサイズ(前・後):120/70ZR17・190/50ZR17

RIDING POSITION(身長:176㎝ 体重:68㎏)

昨年型からグリップ位置が変わり、上に13.2㎜、手前に13.3㎜近づいた。ハンドル幅も16.8㎜広がっており、街中でも十分に楽になっている。日本では関係ない話なのだが、200㎞/hほどで巡航する時に、とてもバランスのいい前傾度に感じるポジションだ。

画像1: RIDING POSITION(身長:176㎝ 体重:68㎏)
画像2: RIDING POSITION(身長:176㎝ 体重:68㎏)

(写真/南 孝幸)

オートバイ 2016年12月号 [雑誌]

モーターマガジン社 (2016-11-01)

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