加速性能はGSX-R250Rをしのぐ!

89年4月に発売されたゼファーが、大方の予想を裏切って大ヒット。空前のオートバイブームをけん引してきたレーサーレプリカ人気にも、そろそろ陰りが見え始めて来た。その流れを敏感に察知していたのか、スズキは88年6月にRGV250Γをベースにしたネイキッドバージョンのウルフを発売。続く89年9月にはGSX-R250Rベースのコブラを、同12月にはバンディット250を、90年にはGSX-R250ベースのアクロスを投入し、レプリカベースのネイキッドラインアップを拡大していく。これら4台のスペックを見るとすべてベースと同じ45PS。今に例えるならスーパーネイキッドだ。

見比べればすぐにわかるが、コブラはフレームもタンクもシートカウルもGSX-R250Rと共通。カウリングを取り外して丸目1灯ヘッドライトとし、専用メーターとラジエターシュラウドを取り付けて、フロントブレーキを大径シングルディスクにしたのみ。シュラウドの張り出しを強めにすることで、コブラが興奮して頭を広げた姿をイメージしている。

エンジンはストリートユースにおける俊敏性とレスポンスを重視して5、6速のギア比をローギアード化。フロントタイヤをラジアルからバイアスに変更することで、低い速度域での軽快な取り回しと接地感の向上も図られていた。カウルのない分だけ乾燥重量も4kg軽く、エンジンが吹け切ることの少ない市街地やタイトなワインディングでの戦闘力は、GSX-Rよりも明らかに上だった。

地味なデザインが災いしてか大きなセールスにはつながらなかったが、走りのキレとコントロール性を重視する市街地走行中心のベテランライダーには最高の相棒になった。

画像: 加速性能はGSX-R250Rをしのぐ!

Impression
ストリートファイターの元祖とも言える存在がコブラだ

2スト250ccレプリカのRGV250Γに対するWOLFの関係と同じく、GSX-R250Rベースのネイキッドバージョンとして登場したのがコブラ。同時期に存在したバンディットはストリートユース重視の設計だったが、コブラはGSX-Rのスポーツ性能をそのままに、ストリート向きのルックスに仕立てた造り。

おそらくレプリカモデルが一様に採用していたフルカウルが飽きられ始めたという時代背景もあったはずだ。

GSX-Rよりも高く、手前に引かれたハンドル位置によって上体の前傾度は最新250ccスポーツと大差ない程度。しかし車体がコンパクトなうえにステップ位置が高めだから膝の曲がりは大きめで、峠道でのスポーツライディングに合った設定。街乗りやツーリングユースなら初代GSX-R250ベースの「アクロス」やバンディットを、ということだったのだろう。90年代初めのスズキはGSX-R、バンディット、アクロス、カタナ、コブラと、250cc4気筒車を5機種もラインアップしていたことからも、このクラスに注力していたことがうかがえる。

今回の試乗車は残念ながらタイヤのコンディションが悪く、本来のハンドリングを体感することはできなかったが、規制前の45馬力を1万5000回転で絞り出すレーシングライクなエンジン特性はいまだに新鮮。とはいえ極端に低回転域トルクが細いという感じはしないし、ストリートライディングの速度域でもストレスなく加速してエンジンブレーキの効きも自然だ。

当時の新車価格は53万9000円と、最新250ロードスポーツと同等。経済事情の変化を考えてもいまさらながらお買い得なモデルだった。

画像1: Impression ストリートファイターの元祖とも言える存在がコブラだ

【COBRA】 1989年9月 specifications
エンジン型式:水冷4ストDOHC4バルブ並列4気筒
総排気量:248cc
内径×行程:49.0×33.0mm
圧縮比:12.5
最高出力:45PS/15000rpm
最大トルク:2.6kg-m/10500rpm
燃料供給方式:キャブレター[BDST32]
変速機型式:常噛6段リターン
全長×全幅×全高:1990×695×1010mm
軸間距離:1380mm
シート高:730mm
乾燥重量:139kg
燃料タンク容量:13L
タイヤサイズ(前・後):110/70-17・140/60R18
当時価格:53万9000円

画像2: Impression ストリートファイターの元祖とも言える存在がコブラだ
画像3: Impression ストリートファイターの元祖とも言える存在がコブラだ
画像4: Impression ストリートファイターの元祖とも言える存在がコブラだ
画像: GSX-R250Rの廉価版と評されるケースもあるが、それは間違い。走るステージを一般市街地に絞り込み、それに合わせてセットアップされた別のマシンだ。シンプルなノンカウルスタイルが独特な迫力を醸し出している。

GSX-R250Rの廉価版と評されるケースもあるが、それは間違い。走るステージを一般市街地に絞り込み、それに合わせてセットアップされた別のマシンだ。シンプルなノンカウルスタイルが独特な迫力を醸し出している。

画像: GSX-R250Rとは想定される常用速度レンジが異なるため、フロントブレーキは小径ダブルから大径シングルに変更。バネ下荷重が減ることから、多用する低中速域におけるフットワークの向上にも少なからず影響している。

GSX-R250Rとは想定される常用速度レンジが異なるため、フロントブレーキは小径ダブルから大径シングルに変更。バネ下荷重が減ることから、多用する低中速域におけるフットワークの向上にも少なからず影響している。

画像: ストレートインテークやSCAI、SPECなどを特徴とする水冷DOHC4バルブ並列4気筒は、基本的にGSX-R250Rと共通。GSX-Rほどのトップスピードを必要としないため、5、6速のギア比を落として加速重視の特性に振っている。

ストレートインテークやSCAI、SPECなどを特徴とする水冷DOHC4バルブ並列4気筒は、基本的にGSX-R250Rと共通。GSX-Rほどのトップスピードを必要としないため、5、6速のギア比を落として加速重視の特性に振っている。

画像: ストローク量が増えるに連れて硬さを増すボトムリンク式モノショックサスペンション。調整範囲はスプリングプリロードのみとなっている。シフトペダルは操作フィーリングに優れるステップ同軸式となっている。

ストローク量が増えるに連れて硬さを増すボトムリンク式モノショックサスペンション。調整範囲はスプリングプリロードのみとなっている。シフトペダルは操作フィーリングに優れるステップ同軸式となっている。

画像: ラジアルフローラジエターの両サイドをガードするように取り付けられた、『コブラ』のネーミングの元にもなっているラジエターシュラウド。大きく口を開けた2つのエアアウトレットがスパルタンムードを強調。

ラジアルフローラジエターの両サイドをガードするように取り付けられた、『コブラ』のネーミングの元にもなっているラジエターシュラウド。大きく口を開けた2つのエアアウトレットがスパルタンムードを強調。

画像: GSX-R250Rと同じデザインの3連メーターとインジケーターランプを1枚のパネルに収めた専用メーター。フロントフォークは、中央に突き出たアジャスターを回転させることでスプリングプリロードが無段階に調整できる。

GSX-R250Rと同じデザインの3連メーターとインジケーターランプを1枚のパネルに収めた専用メーター。フロントフォークは、中央に突き出たアジャスターを回転させることでスプリングプリロードが無段階に調整できる。

画像: ストリートユースとはいえ、素性はGSX-R250のカウルレスバージョンというだけあって街乗りからワインディングでも本家Rにひけをとらない走りが魅力であった。

ストリートユースとはいえ、素性はGSX-R250のカウルレスバージョンというだけあって街乗りからワインディングでも本家Rにひけをとらない走りが魅力であった。

画像: リアブレーキのレイアウトもGSX-R250Rと共通。キャリパーを保持するトルクロッドをフレームに取り付けることで、ブレーキング時にリアタイヤを路面に押し付ける力が働き、ホッピングを抑止する効果を発揮する。

リアブレーキのレイアウトもGSX-R250Rと共通。キャリパーを保持するトルクロッドをフレームに取り付けることで、ブレーキング時にリアタイヤを路面に押し付ける力が働き、ホッピングを抑止する効果を発揮する。

画像: 先代GSX-R250の1ボディ2バレルキャブに対して、1シリンダー1ボディのミクニ製スリングショットキャブレターを採用。これもセッティングを含めてベースとなったGSX-R250Rと共通ユニットとなっている。

先代GSX-R250の1ボディ2バレルキャブに対して、1シリンダー1ボディのミクニ製スリングショットキャブレターを採用。これもセッティングを含めてベースとなったGSX-R250Rと共通ユニットとなっている。

画像: 高い剛性を誇るスタビライザー付きアルミスイングアーム、中空3本スポークホイール、140mm幅の18インチラジアルタイヤ、シンプルなアルミサイレンサー。リアまわりの構成パーツもすべてGSX-R250Rと共通となっている。

高い剛性を誇るスタビライザー付きアルミスイングアーム、中空3本スポークホイール、140mm幅の18インチラジアルタイヤ、シンプルなアルミサイレンサー。リアまわりの構成パーツもすべてGSX-R250Rと共通となっている。

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