JSB1000クラスのレース2は、まさかの多重クラッシュ発生!

本日のラストレースは、JSB1000クラスのレース2。レース1でチャンピオンを決めた中須賀克行は、きのう語っていた通り「プレッシャーから解放されてのびのびレースしたい」ところでしょうが、どっこいそうはレオン・ハスラムが好きにはさせないレース2。しかし、勝負の行方に思わぬアクシデントが襲い掛かります。

レースは中須賀の好ダッシュでスタート! 2番手には4列目10番手から加賀山就臣がロケットスタートを決め、3番手高橋、4番手津田、5番手渡辺といったオーダーでスタート。しかしオープニングラップのおわり、最終コーナーを立ち上がって多重クラッシュが発生。加賀山、渡辺、そしてハスラムが巻き込まれてしまいます。レースは赤旗中断で再スタート。ここで渡辺は脳しんとうを起こして再スタートを取りやめ、両手首を負傷したハスラムは、骨折が疑われたんですが、折れていないとわかるや「オレ走る!」とスペアマシンでの出走を決意! 本職のBSBの最終戦が終わって、WSBK最終戦カタール大会にスポット参戦、それから日本にやってくるという超ハードスケジュールだったのに、レオンすごい! レオン、えらい!

画像: 中断後の再スタートがコレ! ロケットスタートを決めたハスラムは、両手首ねんざしてるんですよ!

中断後の再スタートがコレ! ロケットスタートを決めたハスラムは、両手首ねんざしてるんですよ!

ロケット・ハスラム!

仕切り直し後は、なんとそのハスラムがロケットダッシュ! お父さんのロン・ハスラムさんも一緒に来日していましたから、鈴鹿にいた40歳代以上のファンは「おぉぉロケット・ハスラム!」と思ったことでしょう! 実況の辻野さんももう叫んでたもん(笑)。 レースはハスラムの好スタートから始まり、ややスタートをミスした中須賀もすぐに2番手へ。3手に野左根航汰、4番手に高橋巧、この4人がトップグループを形成して周回を重ねることになります。

このレース2は20周で行なわれましたから、レース1であまり気にしなくてもよかったタイヤマネジメントも、レースの重要な要素。だからでしょうか、中須賀はずっとハスラムの背後でチャンスをうかがい、レースの折り返し地点を過ぎた頃にスパッとパスすると、そのままスパート! アッという間に2番手以下を引き離し、そのままWウィンを決めてしまったのでした。抜かれたハスラムも、再開前の多重クラッシュで両手首をねん挫していて、追いかける余力はなかったように見えました。3番手には野左根をかわした高橋がつけましたが、ハスラムはその高橋を振り切って2着でゴール。3位に復調を印象づけた高橋が入りました。

画像: ハスラムに襲いかかる中須賀。ラインの違い、速い場所の違いを見極めてのパッシングでしたね

ハスラムに襲いかかる中須賀。ラインの違い、速い場所の違いを見極めてのパッシングでしたね

画像: トップに立ってからの中須賀のスパートもすばらしかった! マシンのセットアップ、タイヤチョイス、そしてレースペース配分やタイヤマネジメントが完璧に近く仕上がっていたんでしょう!

トップに立ってからの中須賀のスパートもすばらしかった! マシンのセットアップ、タイヤチョイス、そしてレースペース配分やタイヤマネジメントが完璧に近く仕上がっていたんでしょう!

「レオンが中断前にケガをしてしまったみたいで、それで全力を出せなかったのかもしれませんが、勝ててうれしいです。チャンピオンを決めて、両レースともワールドクラスのライダーを抑えての勝ちなので、余計にうれしいです!」と中須賀。レオンについては、鈴鹿8耐でも一緒に走っているものの、耐久の時は3人で1台のマシンを使う難しさがあるから、スプリントだったらどんだけ速いんだろう、と脅威を感じていたそうです。しかし、初乗りのJSB車で予選で2分5秒台に入れてきたハスラムもスゴかったけれど、それをネジ伏せた中須賀もアッパレでした! こうなると、7回もチャンピオンを獲って、いつまでも国内にいないで、さっとWSBKでもMotoGPでも行ってくれたらいいのに……と思うのが人情。事実、文部科学大臣杯を授与された昨年のオフに、馳 浩大臣から『キミ、世界に行きなさい』とも言われてたしね(笑)。

画像: レース2が終わって、中須賀はチームスタッフに深々と一礼。いいチームだなぁ!

レース2が終わって、中須賀はチームスタッフに深々と一礼。いいチームだなぁ!

「日本でレースをやってて、世界に行きたいと思わないライダーなんかいませんからね。僕もチャンスがあったら行きたい、とずっと思ってましたし、また日本で走ることになっても、この5連覇っていう連勝記録を伸ばすだけです!」(中須賀)

これで2016年の全日本ロードレースは、全クラス全日程を終了しました。雨の岡山で山口辰也に敗れたとはいえ、今年も7戦6勝を挙げた「日本最速男」中須賀は35歳。今まさにアブラが乗りきっている、そんな感じですね。2017年は、タイヤレギュレーション改正(=16.5インチの廃止と17インチ化)があるし、スズキはブランニューマシンを、ホンダもカワサキもさらに戦闘力アップを果たしたニューバージョンで戦いに臨むでしょうから、さらに面白いレースが見られそうです。
合言葉は「ストップ中須賀」。中須賀の6連覇を阻止するのは果たして――!

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