走る楽しさを教えてくれる空冷ドゥカティ

登場して以来、世界中で大ヒット中のドゥカティの意欲作がスクランブラー。この「アイコン」は、全部で4つあるグレードの中でもスタンダード的な位置づけで、軽快なフットワークが身上のカジュアルスポーツ。まずはその実力をチェックしていこう。

画像: モンスター譲りの空冷デスモユニットとコンパクトで軽量な車体の組み合わせが生み出すパフォーマンスは、想像以上にスポーティ。スポーツバイク専業メーカーであるドゥカティらしいキャラクターに仕上がっている。

モンスター譲りの空冷デスモユニットとコンパクトで軽量な車体の組み合わせが生み出すパフォーマンスは、想像以上にスポーティ。スポーツバイク専業メーカーであるドゥカティらしいキャラクターに仕上がっている。

スタイリッシュで飽きの来ないカジュアルスポーツ

本格的なオフロード車が登場するまで、ダートロードの主役だったのが『スクランブラー』と呼ばれるモデル。ロードスポーツの車体やエンジンはそのままに、幅の広いハンドルやアップマフラー、ブロックタイヤといったダート走行に適したパーツを装着した各メーカーのスクランブラー達は、1950年代から1970年代にかけてのヒット商品となった。当時ドゥカティが送り出した「スクランブラー」はアメリカ、次いでヨーロッパ市場で大好評を博した伝説のモデル。その雰囲気を再現して登場したのが新しいドゥカティ・スクランブラーだ。

実はこのスクランブラーの写真を見たとき、同社のモンスターをベースにしたファッションバイクなのだろうと勝手に想像していた。排気量の割に軽量コンパクトな車体で適度に速く、ドゥカティブランドならではの高い所有感を持ち、街乗りやショートツーリングを楽しむコミューター的な存在。スクランブラールックは「それっぽさ」を演出する「衣装」なのだろうと。しかし、丸一日試乗して、それだけではないことを思い知らされた。このスクランブラーは、ムードだけではなく、スポーツバイクとしての素質がしっかり備わっていたのだ。
 
ライディングポジションはアップライト。ハンドル幅は面食らうほど広いが、これはダート走行の際、暴れる車体を抑え込むことを考えれば現実的なサイズであり、街乗りでも上半身や手首に負担が掛からないのでラクだ。一方、それに対してステップ位置はロードスポーツ的に高くて後退している。
 

舗装路のコーナーでは下半身で車体をホールドし、手は添えておくだけでいい。跨ると頭の位置が高いので車体姿勢が後ろ下がりに感じるが、動的な車体姿勢はほぼフラットで、ブレーキングから立ち上がりまで過剰な姿勢変化なしで自然にこなしていく。

このスクランブラーは太めのタイヤを装着しているので、タイトターンでは若干フロント回りが重いが、旋回速度を少し落とし、その分だけスロットルオンのタイミングを早めてやると小気味よく曲がる。ピレリ製の専用タイヤは舗装路でのグリップ力も充分で、トレッドパターンから発するロードノイズも気にならないレベル。前後サスペンションのダンピングが効いているので車体のピッチングも少なく、ハンドル幅以外はごく普通のネイキッドスポーツといった乗り味だ。
 
空冷L型2気筒というエンジンはモンスター796系のものを転用しているが、バルブタイミングの大幅変更などで低中回転での扱いやすさが格段に増している。特に3500回転以下でのギクシャク感が減り、多少ラフなスロットル操作でもグズらない。とはいえ、1気筒あたり400ccもあるから、低いギアではダダダッ! と弾けるように飛び出す。丁寧なスロットルワークと適切なギアチョイスに慣れていないビギナーには手強いかもしれないが、操る充実感を得られることが魅力だ。

ただ、低中回転域での力強さと引き換えに、高回転でのパンチ力はモンスターよりもおとなしい。1万回転オーバーまでまったくストレスなく回るのだが、加速感は一定。普通に乗ってるときはもちろん、少々飛ばしているときも、タコメーターを見る必要性はあまり感じられない。約4000回転から急激に振動が減る、という特性を把握してしまえば、シフトポイントも自然に決まる。Lツインの鼓動を楽しむなら3000回転台を使えばいいし、スムーズさを求めるなら4000回転以下に落とさないように扱えばOK。個々の回転域に表情があるのも大きな魅力だ。

「スクランブラー」だけにダート向きと捉える人もいるかもしれないが、それなりの走破性は備えてはいるものの、このモデルは本格オフロードモデルではなく、シャレっけのあるストリートスポーツという印象だ。ライダーにおもねらない走りの個性と、他の何にも似ていないデザインは、さすがドゥカティといったところだ。

画像: 往年の名車・スクランブラーのヘリテイジイメージに、最新のデザインとメカニズムをミックス。単なるレトロではなく、現在までスクランブラーが生産され続けていたらこう進化したのではと思わせるスタイルだ。

往年の名車・スクランブラーのヘリテイジイメージに、最新のデザインとメカニズムをミックス。単なるレトロではなく、現在までスクランブラーが生産され続けていたらこう進化したのではと思わせるスタイルだ。

画像: 803cc空冷デスモLツインはモンスター796用ベースで、カムの変更など全回転域でスムーズな加速が得ら れるようリファイン。ルックスもより上質に仕立て直された。

803cc空冷デスモLツインはモンスター796用ベースで、カムの変更など全回転域でスムーズな加速が得ら れるようリファイン。ルックスもより上質に仕立て直された。

画像: エンジン右側で大胆にうねった形状のエキパイと組み合わされるサイレンサーは、ショートなスラッシュカットタイプ。Lツインの歯切れのいいサウンドを堪能できる。

エンジン右側で大胆にうねった形状のエキパイと組み合わされるサイレンサーは、ショートなスラッシュカットタイプ。Lツインの歯切れのいいサウンドを堪能できる。

画像: 10本の細いスポークが美しい専用ホイールは18インチで、かつてのフラットトラックレーサーのスポークホイールをオマージュしたデザイン。タイヤもスクランブラー専用。

10本の細いスポークが美しい専用ホイールは18インチで、かつてのフラットトラックレーサーのスポークホイールをオマージュしたデザイン。タイヤもスクランブラー専用。

画像: 突き出た形状のショートサイレンサーをかわすために、アルミ鋳造スイングアームは大きく湾曲した特徴的な形状のデザインとされている。リアホイールは17インチを採用。

突き出た形状のショートサイレンサーをかわすために、アルミ鋳造スイングアームは大きく湾曲した特徴的な形状のデザインとされている。リアホイールは17インチを採用。

画像: 車体左サイドにマウントされたリアショックはKYB製。リンクを介さずにスイングアームにマウントされる直押し式だ。シンプルなモノショックだが、プリロード調整は可能。

車体左サイドにマウントされたリアショックはKYB製。リンクを介さずにスイングアームにマウントされる直押し式だ。シンプルなモノショックだが、プリロード調整は可能。

画像: クラシカルな丸目1眼のヘッドライトだが、ライトリングに沿ってLEDのポジションランプを配置。ユニークな工夫で、ひと目見たら忘れない独自の個性を演出している。

クラシカルな丸目1眼のヘッドライトだが、ライトリングに沿ってLEDのポジションランプを配置。ユニークな工夫で、ひと目見たら忘れない独自の個性を演出している。

画像: 一見するとアナログメーター風のコンパクトなケースに収められるメーターは液晶式。デュアルチャンネルABSなど、装備やメカニズムは最新スペックで固められている。

一見するとアナログメーター風のコンパクトなケースに収められるメーターは液晶式。デュアルチャンネルABSなど、装備やメカニズムは最新スペックで固められている。

画像: 小ぶりに見えるシートだが、下部にはグラブバーも備えており、タンデムユースにも対応。シート自体は肉厚で座り心地も快適だ。シート下にはUSBソケットも備える。

小ぶりに見えるシートだが、下部にはグラブバーも備えており、タンデムユースにも対応。シート自体は肉厚で座り心地も快適だ。シート下にはUSBソケットも備える。

撮影:南孝幸、森浩輔

ドゥカティ スクランブラー アイコンの基本情報、スペック
寸法・重量
全長/全幅/全高mm 2100/845/1150
ホイールベースmm 1445
シート高mm 790
キャスター度 24
トレールmm 112
車両重量 kg 186
エンジン・性能
種類 空冷4ストL型2気筒
弁形式 OHC2バルブ
内径×行程mm 88×66
総排気量cc 803
圧縮比 11.0
最高出力kW/rpm 54(72HP)/8250
最大トルクN・m/rpm 67(6.8kg-m)/5750
燃料供給方式 電子制御燃料噴射
点火/始動方式 フルトランジスタ/セル
燃料タンク容量L 13.5
サスペンション
前 テレスコピック
後 スイングアーム
ブレーキ
前 φ330mmディスク
後 φ245mmディスク
タイヤ
前 110/80ZR18
後 180/55ZR17
価格
標準現金価格 99万9500円(レッド)/101万4500円(イエロー)
問い合わせ先 ドゥカティジャパン(0120-030-292)

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