ようやく「試乗ダイジェスト」でお届けするのは、ホンダの超人気モデル、CB1100です。
発売当初は納車まで数カ月待ち、なんて状態も続きましたよねぇ。現在はリプレイスマフラーも各社から発売され出して、今後はカスタムの面でも盛り上がりそうな予感です。

画像: フィン間隔や形状、厚みなど、美しく見えるエンジン、をテーマに設計された新世代空冷。この薄さの冷却フィンを成型するため、ロープレッシャーのダイキャ スト技術を使用。防振ラバーなどがないのも美しい。

フィン間隔や形状、厚みなど、美しく見えるエンジン、をテーマに設計された新世代空冷。この薄さの冷却フィンを成型するため、ロープレッシャーのダイキャ スト技術を使用。防振ラバーなどがないのも美しい。

[車種解説]
 東京モーターショーに参考出品されてから2年半。ついにCB1100の市販が開始された。普通に判断すれば09年に生産終了したCB750の後継車だが、実車を目の前にするとそうは見えない。750のような質実剛健さはないが、派手ではなく、迫力や個性を主張しているわけでもない。だが、見る者を惹き付ける「何か」が確かに存在している。また、厳しい騒音・排ガス規制をクリアしつつ、低回転から滑らかに力が湧き出すようなフィーリングを得るため採用されたのが、スクエアに近いボア×ストロークの 1100ccという排気量であり、重いクランクマスであり、アクセル開け始めのツキを穏やかにしたFiセッティングとなっている。 

画像: オレンジ色の針にモスグリーンの文字盤という組み合わせは、往年のCBになぞらえたもの。

オレンジ色の針にモスグリーンの文字盤という組み合わせは、往年のCBになぞらえたもの。

[インプレッション]
 ついにCB1100の市販が開始された。写真で見るよりも実車はコンパクト。オーバー1Lバイクとは思えないサイズで、威圧感はまったくない。大きなハンドルが生むアップライトなポジションで自然に背筋が伸びるし、足の着きやすさも中型バイク並み。何ら気負わずスッと走り出せる。実はこの「スッと」が重要なポイント。発進加速は文句なしにスムーズ。アイドリングのまま発進でき、3000回転程度でポンポンとシフトアップしても充分な加速が得られる。タコメーターなど見ずに音と速度感だけでシフトすればいいし、回転が落ちても慌ててシフトダウンする必要はない。5速・1000回転、つまりトップギアで 30km/hからでも加速する粘り強い特性なのだ。


 田舎道から高速道路までを走ってみたが、実際に多用する回転域は2000~4000回転。追い越し加速でも6000回転以上回すことはなかった。こうした回転域ではひたすら従順なレスポンスで、ギア段数やアクセルの開け方に関係なく一定の加速力を示す。アクセルを閉じた時の反応もマイルドで、ギャップの乗り越え時にギクシャクすることもない。ただし、1100ccという排気量から想像する豪快さは感じられない。身構えて全開加速してもパワーバンドらしきものはなく、あっさり回り切っ
てレブリミッターが効く。もちろん排気量なりの速さはあるのだが、驚くような表情の変化はない。乗りやすさにこだわった意図的な味付けだろうが、52歳になっても若造気分が残っている僕にとっては、もう少し表情が変わるフィーリングがあればもっといいと感じた。

画像1: <試乗ダイジェスト>HONDA CB1100 TYPE Ⅰ(2010年)前篇

 ハンドリングもエンジン特性同様、徹底的に素直。ビッグネイキッドのような重厚感はなく、60km/h以下では中型バイク並みの軽やかさだ。しかも重心位置が低いので驚くほどUターンが楽。ビギナーでも簡単にフルロックターンを習得できるだろう。
 高速道路ではフロントに一定の手応えが出て安心感が高いし、横風にも強い。前後の18インチホイールはレトロ感を強調するための演出ではなく、街乗りでの扱いやすさとクルージング時の安定性を両立させるための必然的チョイスだ。加えて、タイヤ幅が細いのでさほどバンクさせなくても充分な旋回力を発揮する。大げさな体重移動は必要なく、リーンウイズのフォームでスイスイと、心地よいペースで峠道を駆け抜けられる。ステップの取り付け位置が低いので簡単に接地するが、逆に攻める満足感を安全に与えてくれる。
 これといった尖った部分はないが、何から何までライダーに従順。肉体的にも精神的にも、そして免許にも優しいから、大型ビギナーやリターンライダーのパートナーに最適。そして冒頭の「何か」は、「伝統に支えられた気品」というのが僕なりの解釈だ。(太田安治)

画像2: <試乗ダイジェスト>HONDA CB1100 TYPE Ⅰ(2010年)前篇

[タンデムインプレッション]
フラットなシートは乗り降りしやすさでは一番。幅が広いから少し足が開いちゃいますが、お尻には優しいし、段差がないおかげでライダー の腰もしっかり足でホールドでき、安心してタンデム出来ました。ライダーと密着できるし、デートに最適です!(古澤恵)

(写真/赤松孝、南孝幸)

■HONDA CB1100 主要諸元
全長×全幅×全高:2205×835×1130mm
ホイールベース:1490mm
シート高:765mm
車両重量:243kg
エンジン形式:空冷4ストDOHC4バルブ並列4気筒
総排気量:1140cc
ボア×ストローク:73.5×67.2mm
圧縮比:9.5
最高出力:88PS/7500rpm
最大トルク:9.4kg-m/5000rpm
燃料供給方式:PGM-FI
燃料タンク容量:14.0L
キャスター角/トレール:27度/114mm
変速方式:5速リターン
ブレーキ方式(前・後):φ296mmダブルディスク・φ256mmディスク
タイヤサイズ(前・後):110/80R18・140/70R18

This article is a sponsored article by
''.