伝統のイタリアン・プレミアムブランド、モトモリーニが復活を果たし、いよいよ日本にも導入されることとなった。そのモリーニの注目モデルのひとつがこのスクランブラー。高級パーツを散りばめた豪華さと高いスポーツ性をあわせ持つ個性派だ。

画像: ストローク十分の前後サスペンションは、スクランブラーというコンセプトに忠実に、ダートでの走破性も視野に造られたマシンだということを実感させる。エンジンもパワフルで、乗って純粋に楽しい1台だ。

ストローク十分の前後サスペンションは、スクランブラーというコンセプトに忠実に、ダートでの走破性も視野に造られたマシンだということを実感させる。エンジンもパワフルで、乗って純粋に楽しい1台だ。

「本気のスクランブラー」を狙うパワフルな走り

5年ほど前から、メーカーとしての復活をかけ、精力的にニューモデルをリリースしているモトモリーニ。このスクランブラーは、新生モリーニの最新モデルのひとつだ。スクランブラーと言うと、そのイキな出で立ちから、近年はストリートユースを念頭に置いたファンバイク的なキャラクターが大勢を占める。このモトモリーニも、その大きさやオフロードモデルっぽいスタイルから、似たようなキャラクターを想像しがちだが、このバイク、ホントによく走る。

重そうに見えるが、車重はタンクが空の状態で200kg。1200ccのスポーツVツインとしては十分に軽い。87度という微妙に狭角のVツインエンジンはショートストロークで振動特性に優れた構造で、その味付けは極めてフラット。117馬力の最高出力は7000回転で発揮するが、2300~2800回転といった極低回転域から、普通に加速できる滑らかさと力強いトルクがある。

このエンジンが非常に使いやすい。トルキーな上に振動が少なく、ストレスも少ない。6速・100km/hは3200回転。穏やかで心地よい排気音を響かせていた。だが2速・70km/hからスロットルをいきなり開けると、フロントをパワーリフトさせ、そのまま100km/hオーバーまで安定して走ってしまう。よく見ると、見るからにフロントが軽そう。リアアームは短いし、フロントタイヤとエンジンの間が空いている。これははっきり「目的」を持ったレイアウトだ。

そのフロントタイヤは19インチで、前後ともオフロード指向のブロックパターン。オンロードでリーンさせ、ブロックとブロックの間に接地点がかかると、ちょっとグニャっとした感触がある。タイヤ自体19インチで幅も狭めなので、ビッグバイクのビシッとした安定感を深いリーンアングルで求めるには無理がある。もちろん、ストリートやツーリングで峠道を遊ぶ程度なら問題はないのだが。

このバイクが狙っているのは「本気のスクランブラー」的な走り。足回りもそうした味付けになっている。オフロードを意識したのだろう、フォークは伸び側のストロークを多めに蓄えており、素晴らしく接地性がいい。しなやかな動きだ。リアのオーリンズも少しソフトだが、奥で踏ん張って衝撃を吸収する。悪路に強く、乗り心地もいい。

フロントの軽さの「目的」はダートでの走破性のためだと言っていい。15cmくらいのステアケース(段差)かあるダートごときなら何の苦もなく走る。相対的にリアが重く、少しパワーを加えるだけでフロントを落ち着かせたままリアを流せ、これも林道での操作を容易にしている。乗り心地もかなりいい。電子制御のライディングアシストなど付いてない割には少し値が張るバイクだが、スクランブラーの名に恥じない走りは、このバイクの最大の個性であり、大きな魅力。乗っていてスゴく楽しかった。

画像: 1970年代に流行したスクランブラーをモダンな視点で甦らせる、というコンセプトのスタイリングはアグレッシブなもの。ボディパネルにはカーボンを多用することで、燃料なしの状態で200kgという軽さを実現。

1970年代に流行したスクランブラーをモダンな視点で甦らせる、というコンセプトのスタイリングはアグレッシブなもの。ボディパネルにはカーボンを多用することで、燃料なしの状態で200kgという軽さを実現。

画像: オリジナルの自社開発エンジンは、87度というやや狭角のDOHCVツインで、1187ccの排気量から、117PSを発揮。アンチホッピング機能付きのAPTCクラッチも標準となる。

オリジナルの自社開発エンジンは、87度というやや狭角のDOHCVツインで、1187ccの排気量から、117PSを発揮。アンチホッピング機能付きのAPTCクラッチも標準となる。

画像: スクランブラーの名にふさわしく、エキゾーストはサイド出しを採用するが、一般的な右出しではなく、左出しを選択し、右サイドにはレザー製のサイドバッグを装着する。

スクランブラーの名にふさわしく、エキゾーストはサイド出しを採用するが、一般的な右出しではなく、左出しを選択し、右サイドにはレザー製のサイドバッグを装着する。

画像: マルゾッキ製の倒立フォークは50mm径という太目のものを採用。フォークのトラベル量は155mmと多めに設定されており、このバイクの高い走破性にも大きく貢献している。

マルゾッキ製の倒立フォークは50mm径という太目のものを採用。フォークのトラベル量は155mmと多めに設定されており、このバイクの高い走破性にも大きく貢献している。

画像: リアサスペンションはオーリンズのフルアジャスタブルショックを右サイドにマウントしている。前後のタイヤはメッツラーのビッグエンデューロ用タイヤ「KAROO」を履く。

リアサスペンションはオーリンズのフルアジャスタブルショックを右サイドにマウントしている。前後のタイヤはメッツラーのビッグエンデューロ用タイヤ「KAROO」を履く。

画像: フロントマスクを引き締めるメーターバイザーはカーボン製。ヘッドライトには飛び石よけのガードが装着され、スクランブラーらしいワイルド感を巧みに演出している。

フロントマスクを引き締めるメーターバイザーはカーボン製。ヘッドライトには飛び石よけのガードが装着され、スクランブラーらしいワイルド感を巧みに演出している。

画像: テールランプはLEDを採用。テールカウルはすべてカーボン製となっており、200kgというリッタークラスらしからぬ軽量ボディに大きく貢献するとともに、質感を高めている。

テールランプはLEDを採用。テールカウルはすべてカーボン製となっており、200kgというリッタークラスらしからぬ軽量ボディに大きく貢献するとともに、質感を高めている。

画像: 液晶マルチモニターとアナログのタコメーターの組み合わせ。奇をてらわないデザインで視認性に優れる。起動時にはモトモリーニのロゴが浮かび上がる演出も施される。

液晶マルチモニターとアナログのタコメーターの組み合わせ。奇をてらわないデザインで視認性に優れる。起動時にはモトモリーニのロゴが浮かび上がる演出も施される。

画像: 830mmと高めにセットされたシートだが、肉厚で座り心地は非常に快適。足つきはさすがに小柄なライダーには厳しいが、いったん走り出してしまえば扱いやすく快適だ。

830mmと高めにセットされたシートだが、肉厚で座り心地は非常に快適。足つきはさすがに小柄なライダーには厳しいが、いったん走り出してしまえば扱いやすく快適だ。

撮影:南孝幸

■モトモリーニ スクランブラーの基本情報、スペック
寸法・重量
全長/全幅/全高mm 2140/850/1160
ホイールベースmm 1480
最低地上高mm 180
シート高mm 830
車両重量 kg 200
エンジン・性能
種類 水冷4ストV型2気筒
弁形式 DOHC4バルブ
内径×行程mm 107×66
総排気量cc 1187
圧縮比 12.2
最高出力kW/rpm 86(117PS)/8500rpm
最大トルクN・m/rpm 105(10.7kg-m)/7000rpm
燃料供給方式 FI
点火/始動方式 フルトランジスタ/セル
燃料タンク容量L 20.8
サスペンション
前 テレスコピック
後 スイングアーム
ブレーキ
前 φ298mmダブルディスク
後 φ255mmディスク
タイヤ
前 110/80R19
後 150/70R17
価格
標準現金価格 249万4800円
問い合わせ先 ピーシーアイ株式会社(03-5793-8561)

This article is a sponsored article by
''.